株式会社ブイキューブは、場所や時間に制約されず、ライフステージや個々のスタイルに合わせた選択が可能な社会の実現を目指しています。その実現に向けて、様々な分野におけるコミュニケーションの変革、オンライン化を推進する事業を展開しています。
その事業の一つがイベントDXです。株主総会、決算説明会、製薬、採用など、様々な分野におけるイベントのオンライン化を支援しています。プロダクト提供のみならず、イベント開催にあたってのディレクションやログ解析など運用支援にも力をいれています。また最先端の技術(XR/メタバース等)を活用し、年間約4,000以上のビジネスイベント、株主総会では200社以上と業界トップクラスの配信実績がございます。
第23期定時株主総会開催時の弊社の概要は以下のとおりです。今回は初のバーチャルオンリー型、最新の3DCG背景合成技術で配信いたしました。当日の様子はオンデマンド動画として公開しております。
創業 | 1998年10月16日 |
資本金 | 3,465百万円(2022年12月31日現在、資本剰余金を含む) |
連結社員数 | 477名(2022年12月31日現在) |
上場市場 | 東京証券取引所プライム市場 証券コード:3681 |
議決権有の株主数 | 22,805名 |
決算基準日 | 12月31日(3月総会) |
開催方法 | バーチャルオンリー型株主総会・3DCG配信 |
日程 | 2023年3月28日(火) |
3DCGは、従来の単なる背景合成とは異なり、立体のバーチャル空間にイベントの世界観を演出できる配信です。「他社との差別化」や「先進性の印象づけ」ができるため、参加者のイベント体験価値=エンゲージメントの向上が期待できます。エンゲージメントの向上は参加率や離脱率の改善につながるため、導入する企業が増えています。
弊社の株主総会では、議長を始めとした出席役員の映像にバーチャルセットを合成する方法で3DCGを活用いたしました。
バーチャルオンリー型の株主総会を実施することになった経緯ですが、弊社自身が「バーチャル株主総会サービス」を手掛けている事業者として先進的なバーチャル株主総会に取り組むべきという意識を全社的にもっており、役員も事務局も、特段の反対意見などなく、自然な成り行きで実施を決定しました。
3DCGについても、オンラインでの映像配信を得意とする弊社の株主総会で活用をすることで、将来的に他社の株主総会でも活用できる技術であることをお伝えする目的で導入が決定されました。
バーチャルオンリー型の開催準備により特に変わったことは、招集通知とシナリオの内容です。バーチャルオンリー型で開催している企業の事例を参考に、会社法上必要な事項を満たすのはもちろん、障害発生時の対応方法を盛り込むなど、配信スタッフとの連携を考慮してシナリオを作成しました。
昨年3月の株主総会で定款変更を済ませていたものの、初めてのバーチャルオンリー型の開催ということもあり、慎重に準備を進めていきました。
3DCGの活用にあたって変わったことは、専用の機材の設置と、わかりやすい配信のレイアウト図をシナリオに入れることを意識した点です。配信会場は弊社のオンライン配信専用のスタジオを利用しました。専用の機材や背景合成に必要なグリーンバックを持ち込み、議長、事務局と配信スタッフが連携を取りやすいように座席の配置を検討しました。
また、今年から一部で動画を活用するようにしたこともあり、株主様には、よりインタラクティブな映像をお届けできる一方、映像の切り替えが多くなるなどオペレーションが複雑になりました。そのため、リハーサル等の回数を増やし、円滑に進むよう綿密に確認を進めました。
合成するバーチャルセットは通常のビジネスイベントで利用するものではなく、株主総会の配信に相応しい雰囲気のものを作成しました。
配信会場における構成図
現場の様子で大きく変わったことは、株主様用の席がなくなったことです。配信スタッフ・役員のスペースを以前より広く設けることができました。
ここからは、現場の様子をより詳しく紹介します。
弊社の株主総会は、例年午後2時開会です。当日は朝9時より配信スタッフや事務局スタッフが順次現場に入り、準備を進めていきます。機材等の確認が完了するお昼過ぎには遠隔参加の役員も含めて関係者が揃い、直前リハーサルを行います。今回は議長、会長、常勤監査役の3名が配信会場に入り、その他の役員は遠隔からの参加となりました。新任取締役候補者の1名が米国から参加していたこともあり、遠隔からの映像音声が問題なく配信会場に届き、オンラインの株主様からも視聴することができるか、特に入念なチェックが進められました。
全ての準備が完了すると、緊張感の中、午後2時のオンタイムで弊社初のバーチャルオンリー型株主総会がスタート。議長も今年が初めての対応の中、進行が進められます。冒頭ではリアルタイムに株主様の決議状況を集計できる「拍手機能」を活用し、株主総会の延期又は続行の決定権限に関する議長への一任決議が承認されました。事業報告では動画を再生しながら、その裏で株主様からのオンラインでの質問状況などの確認が進みます。その後、事前に株主認証システム「株主総会Portal」で受け付けたコメントとあわせてオンラインからの質問に回答をします。オンラインからでも活発にご質問をいただきました。その後、議案の採決を進め、新任取締役からの挨拶があり、弊社初のバーチャルオンリー型株主総会は無事に終了しました。
同日に、事業説明会を同じ配信会場から3DCGを活用して実施しました。
オンラインで配信していたため株主様の様子は直接は見られませんでしたが、「バーチャル背景がとてもいいですね!すばらしい株主総会だったと思います。」といったお褒めのコメントをいただくことができました。3DCGによる背景合成という最先端の技術を用いたことで、印象に残る配信になったと感じています。
ここで、株主様がどのようにバーチャル株主総会に出席していたかを説明します。株主様は招集通知に記載の弊社「株主総会Portal」にアクセスすると、指定された期間において、事前コメントを送信することができます。さらに、株主総会当日は、そのサイトを経由して出席でき、配信プレイヤー右側のタブより、議決権行使や質問等の受け付けが可能でした。過去何度かバーチャル株主総会を出席型・参加型で開催していたこともあり、当日は、「アクセスできない」という問い合わせもなく、株主様がシステムに慣れてきていただいていることを実感しました。
ハイブリッド出席型からバーチャルオンリー型への変更で変わることとして、「議決権行使や質問、動議の受付方法が一本化できること」が挙げられます。物理会場出席の株主様、オンライン出席の株主様で、それぞれ異なる受付方法を取っている企業が多いかと思いますが、受付方法を統一することで、運営の手間削減にもつながるかと思います。ただし、弊社はこれまで、会場の株主様にはタブレットをお渡しし、オンラインからの出席と同様の受付方法を行っていたため、バーチャルオンリー型に変更したことで、この点が大きく変わったわけではありませんでした。
それでは、事務局の当日の対応を細かく紹介します。弊社総会では、法務やIRメンバーが社内のチャットシステムや文書共有のクラウドシステムを活用して、関係者と連携しながら運営を進めました。弁護士や証券代行の担当者も配信会場に同席して進行を見守ります。株主様からの質問や議決権の行使状況はリアルタイムでシステム上に反映されるため、それらを文書共有のシステム上に転記しながら関係者に共有します。また、遠隔出席の役員とはZoomで接続しつつ、チャットを活用して連絡を取り合いました。普段社内で使い慣れているシステムとバーチャル株主総会のシステムを組み合わせて活用することで、役員と事務局がスムーズに連携しながら総会を進めることができました。
「バーチャルオンリー型」・「3DCG」での配信という初めての試みで、検討事項はもちろんありましたが、弊社のバーチャル株主総会の配信専門スタッフの協力もあり、順調に運営準備を進めることができました。
来年の開催にあたっては、今回の経験を活かし、リハーサル回数や確認項目を減らすなど、運営側の負担を減らすことができそうだと思っています。
また、バーチャルオンリー型の開催によって、より多くの株主様に株主総会に出席する機会を提供できたと感じています。今後も株主様のご要望に真摯に耳を傾け、時代に合ったより利便性の高い株主総会の態様を模索し続けたいと思います。