パソコンとインターネットの普及以前、“アナログ”だった企業のコミュニケーション。電子メールやグループウェア、さらにはビジュアルコミュニケーションツールなど多様なコミュニケーションツールの登場で、企業のコミュニケーションやビジネスを大きく変化させました。今回は、企業のコミュニケーションツールの進化とその可能性を考えます。
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企業のコミュニケーション手段は、2000年頃まで「対面」「電話」「紙の書類のやりとり・配達」「FAX」などが多数を占めていました。しかし、企業にもパソコンやインターネットが普及の波が訪れます。経済産業省による従業員1人あたりのパソコン所有台数の調査(情報処理実態調査)を見ると、1995年には0.3台、それが2000年には0.7台を突破。2006年には0.9台近くとほぼ1人1台という環境が実現しています。
一方、企業のインターネット利用率を見ると、2003年にはすでに97.5%(全体)。2013年では産業や従業員規模に関わらず95%以上がインターネット利用という状況に。ほぼすべての企業や店舗などがインターネットを利用しているのが現状と言えます。
こうしたITの普及にともない、企業には電子メール、グループウェアなどのデジタルコミュニケーションツールが導入されるようになりました。
近年、ますますコミュニケーションツールの多様化が進み、社内SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)、インスタントメッセンジャー(チャットツール)、映像と音声で対話するテレビ会議/Web会議サービスなどが多くの企業に導入されています。新たなツールの登場により、企業のコミュニケーションはより能動的で活発なものになると期待されます。しかし、新たなツールの登場でコミュニケーションが万能になるわけではありません。“使い方”が問われるようになっているのです。
例えば「金額確認など、重要なオファーに大急ぎで返事が欲しい」という場合、メールサーバーに送受信歴が記録される電子メールを利用するのは正しい選択でしょう。ただし、電子メールには即時性がありません。返事を急ぐメールを送った場合は、電話によるフォローも欠かせないでしょう。「メール」と「電話」という2つのツールを併用することで、即時性を保ちながら重要な数字などの聞き違いを避け、メールでエビデンスを残すこともできます。
同様のことはグループウェアやWeb会議サービスなど、他のコミュニケーションツールにも当てはまります。それぞれのツールの特徴を理解し、適切に使い分けや併用することによって合理的・効率的に社内外のコミュニケーションを維持していくことができるでしょう。
つまり、「即時性の高さ」「保存性の高さ」「セキュリティ」などさまざまな角度からツールを選択し、複合的に活用することが今後、コミュニケーションをスムーズにするコツといます。
また、コミュニケーションツールが多様化した今、それぞれのツールを手軽に連携し、選んで使い分けられるような環境作りが求められています。具体的にどのようなイメージか、下記のモデルケースで見てみましょう。
東京本社のA氏と福岡支社のB氏がオンラインストレージ上にアップロードされた資料を共有し、チャットで打ち合わせをしています。
しかし、チャットだけでは細かなニュアンスが伝えきれないため、A氏はB氏にWeb会議を申し入れました。
ここでB氏は「名古屋支社のC氏のアドバイスも欲しい」と提案し、グループウェアでC氏のスケジュールを確認。C氏が在席とわかったので、Web会議に参加要請。Web会議参加要請のアラートメールが届いたC氏は、Web会議参加を受理し合流しました。
会議の流れは、A氏とB氏のチャットの履歴を見て理解したC氏。こうして三者で有意義なコミュニケーションを図ることができました。
このケースでは、それぞれ別の拠点にいるA氏・B氏・C氏が、同じオフィスで机を並べているかのように、バーチャルな対面型コミュニケーションが実現できたわけです。同様のコミュニケーションを対面で実施する場合、三者の拘束時間、移動時間、交通費などを考慮すると、容易ではありません。
自社の業務形態や環境により、最適なツールを選ぶこと、連携して使えることが重要です。
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