2018年9月、肥後銀行では熊本市の本店内に行内放送局「ひぎんNet-TV」を開設した。従来の文書による伝達手段に加え、映像によるコミュニケーションを強化するために、ニュース仕立ての「Weeklyニュース」を行員向けに配信している。動画配信だけでなく、トップメッセージのライブ配信やコンテンツ作成の内製化など、幅広い分野のノウハウを蓄積することで、将来的には動画を活用した顧客サービスの展開も視野に入れている。肥後銀行でのこうした取り組みを支えているのが「Qumu」である。
文字ベースの通達では、受け手の理解力に差があったり、通達を見なかったりすることにより、理解のレベルにばらつきが発生。
行内やお客様への訴求力強化のために動画を活用したいが、制作ノウハウがない。
教育用のライブラリは従来も設置していたが、外注した動画の画質のクオリティが低く、これらの外注した動画は作成に時間がかかった。
ニュース仕立ての「Weeklyニュース」の収録や、トップメッセージの配信ができるスタジオを本店内に開設。
行内放送局を開設し動画活用のインフラを整備。各店舗で行員が文字以上の伝達力を持つ動画コンテンツを視聴することで、通達やマーケット情報の理解の平準化を実現。
コンテンツの企画、収録、編集までを内製化。行内向けコンテンツでノウハウを蓄積し、将来的にはお客様への配信も視野に。
動画作成から配信まで行うために、行内放送局を担当する行員がテレビ局などで行われる外部研修を受講。行内で動画コンテンツを内製化し、日々の動画配信を通じてノウハウを蓄積。
従来は外注していた動画コンテンツの作成も、行内インフラの整備により高画質の教育ライブラリに移行。
外注不要となったことで、オリジナルコンテンツ制作にかかっていた時間やコストも削減可能に。
わかりやすいインターフェースで、操作性に優れていること。
将来的にはお客様への配信も視野に入れているため、高画質の配信が可能であること。
行内情報を扱うため、外部に情報が流出しないセキュリティが整っていること。
株式会社肥後銀行 経営企画部 広報室 室長 縄田 聡子 氏
金融機関としてのサービス提供のあり方を見直す必要があったことが、動画の内製化にこだわった大きな理由です。地方は人口減少、過疎化などの課題を抱えており「伝える力」「表現の仕方」は今まで通りでというわけにはいかなくなってきています。
例えば、遠隔またはご高齢でご来店が難しいお客様とパソコンやスマートフォンの画面を通じてサービスの情報提供をするといったことも視野に入れた場合、ステップのひとつとして動画を作るノウハウを蓄積する必要が出てきます。
当行の経営層は、日頃から20年、30年といった先を見据えたビジョンを語ってくれます。「スタジオを作って行員自らが動画コンテンツを作成する」という当行の取り組みは、金融機関の次のあり方を考えた布石のひとつとなっているのです。
株式会社肥後銀行 経営企画部 広報室 企画役代理 上村 司人 氏
3年前に現在の部署に配属された際に言われたのが「行内放送局を作るための異動なので、ニュース仕立てのコンテンツの作り方を学んでほしい」という言葉でした。
私を含む2名が3カ月間、取引先のケーブルテレビ局で実務を学んだり、営業店から異動してきた行員がアナウンススクールに通い1からキャスターとしての教育を受けるなど、準備を行いました。
2019年1月から、毎週5〜6分の長さの「Weeklyニュース」を全店に配信しています。文字通達だと受け手の理解に差があったり、通達を見なかったりということもあります。動画ですべてが伝わるわけではありませんが、動画は短時間でも得られる情報量が多く、理解の平準化という効果が顕著です。
金融機関としてのサービス提供のあり方を見直し、本店内に行内放送局のスタジオを開設した肥後銀行。動画の活用は多岐にわたり、将来的にはお客様など外部への動画による情報発信も視野に入れている。
本店内に行内放送局のスタジオが整備されたのは2018年9月のこと。2019年1月より、スタジオで収録し5~6分の長さに編集した「Weeklyニュース」を配信している。
本格的な機材を導入して開設された行内放送局。編集室で収録から編集に携わっている経営企画部 広報室の菊池 俊太朗氏は地元ケーブルテレビ局で、キャスターを務める松山愛氏はアナウンススクールで、それぞれが求められるスキルを身につけた。
店舗の営業開始前に各店舗で「Weeklyニュース」を視聴。マーケット情報やイベントのレポートなど、盛りだくさんの内容が5~6分のニュース仕立ての動画コンテンツに編集されており、情報理解の平準化という効果が生まれている。
2019年の上期中には、スマートフォンにより教育ライブラリの動画コンテンツの視聴を予定。時間を効率的に使って、行員個々人のスキルアップを狙う。
最先端の情報やサービスなどを、積極的に外へ出て取材しコンテンツ化して行員に伝えることで、行員が普段目にしない情報を吸収できるようにする。
現在は行内向けの動画配信であるが、今後蓄積したノウハウを活かして、将来的にはお客様向けなど行外向けの動画コンテンツ配信も視野に入れている。