我が国の安全で快適な航空業務を担っている国土交通省 航空局が注目したのは、大規模災害が発生した際に航空局関係者間で正確かつ効率的に情報を提供するための緊急通報管理装置(EMMU)。東日本大震災時に痛感した情報共有の課題を解決するために、全国の空港など遠隔地の現場から本局への情報伝達を確実に図る手段として、EMMUに採用された遠隔会議システムが「V-CUBE コラボレーション」だ。
災害発生時は、通信環境が不安定になりがちで、緊急を要する状況であるにも関わらず、音声の途切れ等により、意思疎通も困難になってしまう。
現場からの情報伝達手段は電話とメールのみ。デジタルカメラで撮影した情報は、持ち帰ってからでないと確認できず、本局で迅速な状況把握が困難。
状況を把握する手段が電話やメールのため、本局はその場ですぐに的確な判断を下し、指示を出すことが難しい。
遠隔地やタブレットでも、高音質な音声伝達が実現でき、現場との意思疎通、正確な情報伝達ができるように。
通信が不安定になりやすい災害発生時においても、音声の途切れにくいスムーズな会話が行えるので、現場から本部へ情報が集まり、本部で状況を把握。航空局関係者への情報提供も迅速に行える。
現場のタブレットとの連携で、高画質のデータをリアルタイムで共有し、すぐに状況把握ができるように。
リアルタイムで送られてきた今現在の状況の映像に具体的な指示を書き込んで強調したり、図面や地図上に警戒エリアを書き込むことで重要事項を正確かつ迅速に伝達できる。
リアルタイムに現地状況を確認しながら判断を下せるので現地からの映像に直接書き込み、指示を出すことができる。
現場の映像と図面を並べて比較したり、インターネットで収集した気象情報、災害情報などを、テーブルを囲んだ全員で共有しながら、対応の協議を行い指示を出すことができる。
緊急時の現場の状況を写真や映像で収集可能であること 。
災害や事故が発生した場所の帯域が細くても、音声や映像が途切れずクリアであること。
本局から現場へ、手書きでの書き込み指示ができること 。
国土交通省 航空局 交通管制部
運用課 情報第一係長 岡上 貴広 氏
決め手になったポイントは、必ず音声がつながる接続性の高さでした。何よりも正確な情報を伝えることが優先される緊急時において、音声が途切れてしまえば意思疎通も図れなくなるからです。また、今回は現場からのリアルタイムな情報伝達を図るためにタブレットを使用していますが、安定した通信環境が期待できないような現場でも音声が途切れにくく、会話がスムーズに行えると評価しています。
国土交通省 航空局 交通管制部
運用課 情報第一係 村方 秀彰 氏
導入後は、現場が情報共有に使用する機器がタブレット1つで済むようになり、情報を受けとる側も把握しやすくなりました。たとえば空港内で関係者の確認が必要な状況を発見したとき、その場で写真を撮って送り、その写真を見ながらテレビ会議ができたり、写真にリアルタイムに指示を書き込んでこちらから指示を送り返したりと、音声・資料・映像を組み合わせてより効果的な情報共有を図れるのが魅力です。
日常的には、「V-CUBE コラボレーション」の音声通話を利用した全国の空港との遠隔会議で利用しています。ちょっとした議題でも空き時間を活用し、複数拠点間で会議が開けるので重宝しています。
また、個人的に興味を持ったのが「V-CUBE Board」です。「V-CUBE コラボレーション」と合わせれば、緊急時の対策本部としての機能を強化することのみならず、さらには国際的にも通用する緊急時の情報共有システムになるのではないかと考えています。
国土交通省 大阪航空局 鹿児島空港事務所
管制保安部 主幹航空管制運航情報官 岸本 康照 氏
私も「V-CUBE コラボレーション」の採用検討に関わったのですが、途切れないネットワークで現場の状況を即時共有できるので、最適な仕組みだと判断しました。多くの人命を預かる空港にとって、緊急時でも通信を確保できることは何より重要なテーマで、映像より音声を優先して伝送する仕組みに大きなメリットを感じています。
日常的には、空港の点検で屋外から事務所への情報伝達でも活用しています。現場の状況を「V-CUBE コラボレーション」のカメラ機能で運用室にリアルタイムに送信し、Web会議で情報共有しています。航空機の離着陸など騒音が多い空港でも、非常にクリアな音声で聴きとれて満足しています。
「日本の空の安全」を担う国土交通省 航空局では、全国の空港など遠隔地の現場から本局への確実な情報伝達を目的に遠隔会議システム「V-CUBE コラボレーション」を導入。タブレットで撮影した現場の状況をリアルタイムで共有できる体制を構築した。
従来は、緊急時の現場の状況は、デジタルカメラで撮影し運用室に持ち帰りメールで送信することで関係者全員に連絡していたため、時間がかかっていた。しかし、「V-CUBE コラボレーション」とタブレットを連携させることで、リアルタイムで映像と音声を共有できるようになった。
日常的な活用としては、空港の点検で屋外に出るときにタブレット端末を職員が携帯し、事務所との情報伝達に使用。点検項目は、滑走路、エプロン、誘導路などに異常がないか、臨時点検ではバードストライクの状況報告など多岐にわたる。
「現場の状況を『V-CUBE コラボレーション』のカメラ機能で運用室にリアルタイムに送信し、Web会議機能を使って情報共有しています。航空機の離着陸など騒音が多い空港でも、ヘッドセットの使用で非常にクリアな音声で聴きとれて満足しています」(鹿児島空港事務所 管制保安部 岸本氏)
また、報告書もその場で記入して送れるため、今では点検が終わったと同時に報告を終えることも可能になり、業務効率化にも貢献している。
他の空港との企画会議なども、従来は年1回集まる程度で、それ以外はメールのやりとりで補っていた。「V-CUBE コラボレーション」は操作が簡単なため、気軽に月に何度も空港間での会議が行えるようになり、めったに顔を合わせない人ともコンスタントに情報交換できるようになった。「10 拠点を同時につないでも違和感なく通信できる」との評価も。