東日本エリアの通信インフラを構築・維持管理しているNTT東日本。同社では、新規事業に関連する技術や各地のベテラン技術者が持つ希少スキルの継承と共有に課題を抱えていた。特に、熟練技術者のスキルを若手技術者に伝承するシステムは早急に構築する必要があり、同社では動画共有プラットフォーム「Qumu」を導入。「Qumu」をベースにした社内での情報共有システムを「TechREC」と名付けて運用し、効率的な技術共有プラットフォームを実現させた。
IoT機器に関するマニュアルや希少スキルは紙やPDFでは伝わりにくかった。
動画によって情報を社内共有する方法が確立されていなかった。
一般的な動画プラットフォームの流用はセキュリティ上の不安がある。
紙では伝わりにくかったIoT機器のマニュアルやベテラン技術者の希少スキルを誰でも分かりやすく説明可能に。
普及段階でまだ事例が少ない機器のマニュアルや、ベテラン技術者だけが持つ希少なスキルを動画で誰にでも分かりやすく説明できるように。
スマートフォンアプリも備えている「Qumu」のプラットフォームは誰でも使いやすいUI。オフライン再生も可能なので、いつでもどこでも視聴可能。
工場現場やマンホールの中など圏外箇所でも社内マニュアル等の動画を参照可能に。
部門ごとのアクセス制限や人事データを基にAzureADと連携した2段階認証も可能なので、動画の視聴環境を常にセキュアに保てる。
新規事業や機器に関するコンフィデンシャルな情報も、部門や関係者ごとにアクセス可能なユーザーを設定可能なので、情報の漏洩対策も万全に。
直感的に扱うことができ、動画編集や視聴をスムーズに行えるHPを備えていること。
最適なUIを備えたスマートフォンアプリがあり、アプリ上でオフライン再生ができること。
セキュアな環境を確保でき、動画に対してフィードバックが可能なこと
現場ではベテラン技術者にしかできない技もあり、それらを若手技術者にどのように引き継いでいくのかということも、特に弊社の東北エリアにおける大きな課題でした。
動画による情報共有に慣れていない世代からは導入を疑問視する声も当初はありましたが、「Qumu」を採用し、動画による技術の伝承が社内の課題を解決する大きな手立てになるということが認知されるにつれ、社内での動画プラットフォームの活用が一気に広がったように思います。
重要な施設や設備を構築・維持管理することから、弊社の社内指揮管理系統は非常に確固としたものがあるのですが、そのために動画による情報共有をトップダウンではなくボトムアップで行うというのは、社内でもユニークな取り組みになっています。
これからの社会のあり方を想像した時、こうしたプラットフォームを社内で活用していること自体が、企業価値を高める要素になるのではとも感じています。
東日本電信電話株式会社 ネットワーク事業推進本部 設備企画部
ビジネス推進部門 ビジネスプランニング担当
課長 吉村 健二郎 氏
弊社では数年前から、IoTの領域においてさまざまな挑戦を進めています。ただ、主力サービスである「フレッツ光」などに比べると普及段階にあるため、まだ現場における保守や維持管理に関するノウハウが少なく、関連技術の保持・共有に課題がありました。
故障やトラブルなどへの対応は年に数回ほどだったため、その対応方法をリアル会場における研修などで共有するのではなく、動画で共有しアーカイブとして積み重ねていくほうが効率的で効果的ではないかと考えたのが、動画プラットフォームの活用を模索したきっかけです。
弊社では導入した「Qumu」をベースにした動画プラットフォームによる情報活用を「TechREC」と名付けて、利用しています。従来、現場における技術マニュアルは多岐に及び、どれもが非常に細かく、言葉では伝えにくいこともありました。その点、動画によって効率良く理解でき、さらにベテラン技術者が持つ希少スキルも映像で記録しておくことで、若手技術者へも的確に技術継承ができるようになりました。
コンテンツは一人が作るのではなく、さまざまな部門・立場の人間が作成してアップロードできるようにしています。活用の幅も広がってきており、社内施策に関するノウハウや新入社員などに向けた各部署の仕事紹介などもアップされています。今後も活用の幅を広げていければと考えています。
東日本電信電話株式会社 ネットワーク事業推進本部 設備企画部
ビジネス推進部門 ビジネスプランニング担当
尾﨑 真理 氏
料理のレシピでも、実際に作る動画を見ながらだと容易に理解できます。同様に、IoT機器の操作方法やメンテナンスに関しても、動画でマニュアルを作成し、それを現場で視聴しながらのほうがより確実に、的確な作業を行えるのではないかと考え、2019年春から動画プラットフォームの模索を始めました。
弊社が求めていた要件としては、システムだけの提供ではなく基盤となるUIがホームページなどとしてすでに構築されているものであること、そして、スマートフォンアプリが提供されており、オフライン再生にも対応していることを挙げていました。社内にも似たような既存のサービスはありましたが、上記の要件に加え、セキュアな環境を確保でき、かつ動画に対してフィードバックが可能なこと、それらをカスタマイズではなく標準機能として備えていることから、「Qumu」が最適であると判断し、導入しました。
技術保持に関する動画プラットフォームの活用は社内でも初めての試みであり、また、共有する情報にもセキュリティの観点からさまざまなレベルがあるため、活用を進めるうえで困難なこともありましたが、現在では社内での活用が広がるにつれて、視聴データの分析なども進めています。
東日本電信電話株式会社 ネットワーク事業推進本部 設備企画部
ビジネス推進部門 ビジネスコーディネート担当
中川 大貴 氏
今後、動画コンテンツおよび「Qumu」をどう活用していくかは、まだまだ検討すべき点も多いのですが、「Qumu」は機能としてできることも多いですし、カスタマイズの自由度も非常に高いと実感しています。
ポイントとなるのは、業務プロセスの中に動画活用をいかに組み込んでいくかということになるかと思います。例えば、多くの社員が普段よく閲覧している社内のサイトに導線を貼ったり、マニュアルに自然に動画を組み込んでいくなどといったことが考えられます。また、業務プロセスそのものを動画ネイティブに変えていくということが必要になってくるのではないでしょうか。
近い将来に、「業務で動画を活用する」ということが自然になっているという状態を目指していきたいと思っています。
東日本電信電話株式会社 ネットワーク事業推進本部 設備企画部
ビジネス推進部門 ビジネスプランニング担当
主査 平岡 好孝 氏
東日本全域の通信インフラをカバーしているNTT東日本。同社では社内における情報共有プラットフォームとして「TechREC」の運用をスタートさせた。「Qumu」をベースにしたこのプラットフォームは、普及段階でまだ事例が少ないIoT機器の操作や、ベテラン技術者の希少スキルなど、紙ベースでは説明が難しい技術やマニュアルを動画で記録し、コンテンツとしてアーカイブすることで社内の情報共有システムとするもの。当初は技術系の動画を中心としていたが、動画による情報共有が進むにつれ、社内のさまざまな部署がコンテンツを制作しアップするようになるなど、活用の幅が広がっている。
普及段階でまだ事例が少ないIoT機器の操作やメンテナンスマニュアルなどを動画で作成し、それを現場で視聴可能に。
オフライン視聴も可能な「Qumu」のアプリを活用することで、ベテラン技術者のスキルも、誰もが確実に、どこでも的確に再現できるようになった。
いつでも何度でも確認できるので認知度・理解度の向上にもつながっている。
コンテンツは特定の部署や人物だけが制作するのではなく、広くアップロード可能にすることで、動画による情報共有は社内全体に広がりつつある。
たとえば、社内施策に関するノウハウや新入社員などに向けた各部署の仕事紹介などもアップされるように。当初は想定されていなかったような分野にまで動画活用の幅が広がっている。