東北地方で2番目に人口の多い、福島県の南部に位置する「いわき市」。過去には東日本大震災や豪雨による大規模災害を経験している。いわき市消防本部では、過去の災害対策を振り返り、アナログな共有では現場状況が把握しづらいことと、他機関との連携が難しいことを課題としていた。そこで、リアルタイムに現場状況を集約し、複数拠点で情報共有が可能になることを目指して、「V-CUBE Board」「V-CUBE コラボレーション」で実証実験を行い、無線や活字での情報共有で感じていた課題を解消できるかを検証した。
ボード上の地図に付箋やピンを使って書き込んでも、災害発生場所は把握できるが、現場のリアルな状況をあわせて確認しづらい。
無線からの情報を活字でまとめたものを、さらに集約したり蓄積することが難しい。紙ベースでは情報の展開をスムーズにできない。
集約された情報を、市役所や警察など他機関へ共有できない。認識のズレが発生し、迅速かつ正確な意思決定ができなくなる。
アナログに共有・集約していた現場情報をデジタル化し、大画面のボードに投影した地図とあわせて表示。地理情報と現場情報を把握しやすくなる。
大画面の「V-CUBE Board」に地図と現場情報をセットで表示することで、災害状況をイメージしやすくなる。複数人が同時に書き込めるため、スピーディーに情報共有・把握ができる。
現場からの情報をリアルタイムに集約することで、被害状況を把握でき、より具体的に対策を検討可能。地図ベースに客観的に把握できる。
無線での情報共有を「V-CUBE コラボレーション」に置き換えることで、現場状況をリアルタイムに伝えられる。これまで紙ベースで共有していた情報を、再度まとめ直す必要もなく、そのまま共有できる。
遠隔拠点ともリアルタイムでの接続が可能。災害対策本部との連携もスムーズになり、認識の齟齬が生まれない。迅速な意思決定が可能になる。
「V-CUBE コラボレーション」によってリアルタイム接続できることで、市役所や警察など複数拠点で災害状況をリアルタイムに共有できる。これによりスピーディーに意思決定ができ、被害拡大の防止に繋がる。
電子地図や現場から届く画像・映像を大画面に表示し、情報を集約できること。
複数人が同時に、双方向に書き込みながら、関係者全員が視覚的に情報共有できること。
災害対策本部と現場、警察など、複数拠点で情報の共有やコミュニケーションが可能なこと。
今回ブイキューブの「緊急対策ソリューション」を使用して実証実験を行ったのは、無線などアナログな情報共有では現場の被害状況を正確に把握できないことが大きな課題として挙がっていたからです。
これまでに東日本大震災や記録的な大雨による被害を受けてきました。その当時の対策チームの動きを振り返っても、浸水エリアが広大で現場状況が分かりづらいことが課題でした。
また、市役所や警察など他機関との連携が難しく、消防本部に集まった現場情報をうまく活かしきれないと感じておりました。
そこで、より正確に現場状況を把握して、複数拠点とも連携を取りながら、スピーディーな意思決定ができることを目指し、実証実験を行うことにしました。
いわき市消防本部 消防本部 警防課
主幹兼課長補佐 消防司令長 二瓶 耕一 氏
実証実験で使用した大画面の「V-CUBE Board」では、複数人が囲み同時にタッチパネルで操作したり書き込んだりできる点が魅力的でした。「V-CUBE コラボレーション」の遠隔会議機能によって、リアルタイムに現場情報が届くため、それらの情報を電子地図上にマッピングしてより正確に把握できます。
これまでは地区ごとにどのような被害があるかを活字で整理して紙ベースで共有していましたが、迅速かつ正確に共有できておりませんでした。しかし、今回実証実験を行ってみたところ解消に近づけると感じました。
また、大規模災害であれば、複数拠点とも常時接続してリアルタイムにコミュニケーションを取り、迅速な意思決定を行うことが求められます。これらの「緊急対策ソリューション」で可能になると感じています。
日常的に利用できるため、消防訓練や研修、点検業務においても活用できると考えています。
いわき市消防本部 消防本部 警防課
警防係長 消防司令補 佐藤 東 氏
東日本大震災や豪雨による大規模災害を経験している、福島県の南部に位置する「いわき市」。いわき市消防本部では、無線などアナログな共有では現場状況が把握しづらいことと、他機関との連携が難しいことを課題として、2022年7月に「V-CUBE Board」「V-CUBE コラボレーション」を用いた実証実験を行った。リアルタイムに現場状況を集約・共有することを目指して、無線や活字での情報共有で感じていた課題を解消できるかを検証した。
これまでの災害対策においては、現場から無線で情報共有が行われ、対策本部でホワイトボード上の地図に情報を集約していた。直接マーカーで書き込んだり、ピンや付箋を活用してマッピングしたりして、地理情報と被害状況をテキストで把握していた。
しかし、テキストの情報だけでは、現場状況が分かりづらいことが課題で、どのくらいの被害があるのかをイメージしづらかった。そのため、マッピングされた情報だけでなく、リアルタイムに現場の画像や映像を共有し、より正確に現場の状況を把握できるようにすることが求められていた。
今回の実証実験では、「V-CUBE Board」上に地図や現場の写真など、多様なデータを並べて操作し、情報集約が簡単に行えるかを検証した。直感的な操作で、簡単に書き込むことができた。大画面のため複数人が囲んで議論することもでき、同時に双方向に書き込んで情報を付け足すこともできる。
リアルタイムでの視覚的なコミュニケーションをとることができる「V-CUBE コラボレーション」を使うことで、遠隔にいる関係者とも正確な情報共有が行える。地図をベースに被害状況のイメージを共有することで、迅速な意思決定をサポートする。