西日本旅客鉄道株式会社(JR西日本)は、日本の主要な鉄道インフラを担う企業である。同社では人材減少等を背景に、線路や土木構造物等の維持管理の役割を担う施設部門全体で、今後活躍する社員に対する技術継承が課題となっていた。特にOJTや紙媒体が中心で、指導者個々の経験やノウハウに頼る部分もあり、教育内容の更なる標準化が求められていた。当初は社内のチャットツールでの動画共有を試みたが、容量や検索性の問題で運用に限界があった。そこで、データ保持の永続性やコスト面を評価し、Qumuを活用した動画ポータル「J-Tube」を構築。導入後、新規教育の質の均一化や、動画による「疑似体験」を通じた現場のコミュニケーション活性化を実現し、組織強化と安全・品質の向上に貢献している。
指導者によって教育の質にバラツキがあり、更なる標準化が求められていた。
学んでから実践するまでに時間が経過してしまっていた。
紙や活字の教材では、現場の「勘と経験」や指導者の想いが伝わりにくい側面があった。
指導者の質に左右されない、質の高い共通教育を実現。
どこでも同じ内容を学べる環境を整え、社員全体の技術レベル向上を目指す。
スキマ時間や実践直前に動画で学ぶ「能動的な学習」が可能に。
集合教育と実践のタイムラグを解消し、学んだ内容がすぐに活かせる環境を実現。
紙や活字では伝わらない暗黙知や現場のノウハウを映像で共有。
災害対応などの貴重な経験も疑似体験でき、部門を越えたコミュニケーションも活性化。
当社では従来の教育はOJTや集合研修が中心で、能動的な学習を促しにくく、指導者ごとの教え方によって教育効果に差が出やすい点が課題でした。また、テキスト等、活字の教材が多く、集合研修で学んでも現場実践までにタイムラグがあり、学んだことを定着させるための取り組みが必要だと考えていました。
5~6年前から動画活用を検討し、当初は社内のチャットツールでの動画共有を試みました。しかし、動画が増えるにつれて保存容量が圧迫され、検索性も悪くなっていました。
プラットフォーム選定で最も重視したのは、契約終了時にデータが抹消されないことでした。Qumuはデータをしっかり保持できる点と、3,000人規模でのコストメリットが決め手となり、Qumuを基盤とした「J-Tube」を構築しました。
導入後、特に技術継承の面で大きな効果を感じています。
1つ目は、従来は紙やOJTで伝えきれなかった現場の「勘」や「コツ」といった「暗黙知」の継承です。
2つ目は、年に数回しか行わない重要業務や異常時対応といった、経験する機会の少ない「経験知」の継承です。安全上の留意点をまとめた動画が非常に多く再生されており、実践前に「疑似体験」として学ぶことで技術の定着に役立っています。
3つ目は、「他部署の知見」の共有です。J-Tubeで他部署の工夫や取り組みを見て情報交換を行うなど、部門を越えたコミュニケーションも活性化しました。
分業体制や働き方の変化に伴い、個人が経験できることが減る中で、動画による「疑似体験」 は組織強化に不可欠です。今後はQumuでの取り組みを通じて、個人の成長と鉄道の安全につなげていきたいです。
西日本旅客鉄道株式会社 鉄道本部 イノベーション本部 業務プロセス変革 加島 敏博 氏
JR西日本では、施設部門の技術継承や教育のために「J-Tube」を構築・活用している。現場のノウハウや重要業務、異常時対応など、従来は紙やOJTで伝えていた内容を動画化し共有。職員はスマートフォンやタブレットで必要な動画をいつでも視聴でき、実践前の学習や技術の定着に役立てている。また、動画を通じて他部署の取り組みを知ることで、部門を越えたコミュニケーションも活性化している。
紙や活字では伝わりにくい「作業のコツ」や、年に数回しか行わない重要業務、災害対応といった「疑似体験」が難しい内容も動画化。スマートサーチ機能で必要な動画にすぐにアクセスでき、技術の定着率向上に貢献している。
Qumu(J-Tube)に動画が一元管理されたことで、他部署の工夫や取り組みが可視化された。他部署の動画を見て電話で情報交換を行うなど、組織の壁を越えたコミュニケーションが活性化。今後は定例教育の一部を動画に置き換え、教育の質と効率の両立を目指している。