これは、Zoomとサードパーティ製のアプリケーションをシームレスに繋ぐもの。Zoomミーティング中にさまざまなアプリを連携させて、Zoomミーティングをさらにスムーズに行えるようになるだけでなく、Web会議を多彩に拡張することができます。
2020年12月現在、まだ日本での提供は開始されていませんが、近く世界で利用が開始される見込みです。
ここでは公式サイトで連携が発表されているアプリの一部をご紹介します。
「Zapps」は、Web会議サービス「Zoom」を運営する米Zoom Video Communications(ZVC)がカンファレンス「Zoomtopia」で発表したZoomの新機能です。
この機能を使うことで、サードパーティ製のアプリをZoomと連携させ、Web会議中にさまざまなアプリを利用できるようになります。これにより利用者はデスクトップ上で複数のアプリを行き来する必要がなくなり、さまざまな作業をZoom上だけで完結させることができます。
Web会議の最中だけでなく、ミーティング前後にも生産性向上や効率化を図れる機能であり、有料プランに登録したユーザーだけではなく、無料のユーザー向けにも提供される予定です。
ちなみに、「Zapp」は「Zoom」と「Apps」を組み合わせた言葉。「Zoom対応アプリ」を意味しており、ZVCでは「最高のアプリケーションをZoomエクスペリエンスにもたらし、シームレスな生産性と魅力的なエクスペリエンスを実現します」と発表しています。
Zappsが実装されたZoomアプリケーションには、ミーティング中もしくはアプリの基本画面に「Zapps」の表示がされるようになります。
従来、Web会議中にサードパーティのアプリを利用する場合には、デスクトップ上でアプリを行き来する必要がありましたが、Zoomアプリと一体化してシームレスにサービスや機能を連携させることができるようになります。
これにより利用者は複数のアプリを同時に起動させる必要がなくなり、さまざまな作業をZoom上だけで完結できます。
こうしたZappに対応する初期パートナーとして、ZVCではZoomと連携、もしくは連携準備中のアプリケーションに以下の37のアプリを挙げています。(太字で示したアプリは後ほど詳しく解説します)
日本ではまだあまり馴染みのないアプリもありますが、今後さらに連携アプリは増えていくでしょう。
ここでは、日本でのユーザーも多いと思われる、あるいは特徴的なアプリとの連携・活用シーンをいくつかご紹介します。
クラウドサービスとして利用者の多い「Dropbox」は、Zoomと連携したZappとして、「Dropbox Spaces」という機能をZoomミーティング上に提供します。
このDropbox Spacesに日程や計画、プロジェクトをアップし、複数人で共有・運用することが可能になります。
そのため、Zoomミーティングが開始される前にDropbox Spaces上でZoomミーティングの予定を伝え、ミーティングで検討すべきタスクを一覧にして事前に共有する、といった使い方が可能となります。
ミーティングが始まったら「Zapps」をクリックし、Dropboxを選ぶと事前に共有したファイルをZoom上で展開し、ノートやファイル、添付データの共有などもシームレスに行えるようになります。
また、ミーティング中のチャットや録画も、Dropbox上に記録することができます。
ビジネスチャットツールとして日本国内の大企業をはじめ多くのビジネスシーンで活用されているSlackも、Zoomとの連携を始めるアプリの一つです。
連携以前より、Slackでのチャット上からZoomミーティングを立ち上げることは可能でした。これが、Zoom側のZappsからも立ち上げることが可能になります。
たとえば、Zappsから「Slack」を呼び出し、「ワークスペース」や「チャンネル」を選びワンクリックでZoomミーティングを立ち上げることができるようになります。
ミーティング参加者を選ぶのも簡単で、Zoomミーティング画面からSlackのチャットに投稿することも可能です。
また、ミーティング終了後には、Slackのチャンネル上に情報を共有したり、録画した映像をSlack上から再生したりすることもできます。
デンマーク発の「Zendesk」は世界140カ国以上、10万社以上で利用されているカスタマーサービスソフトウェアです。
問い合わせメールを「チケット」という概念に置き換え、顧客からの問い合わせを「オープン」「保留中」「解決済」といったステータスで管理することができます。この「Zendesk」も、Zappsに対応します。
Zendesk for Zappsでは、Zoomミーティングから直接、Zendeskサポートチケットを作成・編集・コラボレーションできます。
特に、問い合わせを行った顧客の情報をすべてZoomミーティング上で閲覧・編集でき、新たな「チケット」もワンクリックで作成可能になるため、対応者は顧客の対応に集中することができ、問題解決の効率が高まります。
さらに、Zoomミーティングの重要なメタデータは、簡単に参照できるように、関連するZendeskサポートチケットに自動的に添付されます。
「Miro」はホワイトボードの共有アプリです。使いやすく、高機能なホワイトボードとして注目を集めており、誰でも直感的に利用することができます。
Zoomには、デフォルト機能で誰でも無料で使えるホワイトボード機能が付随していますが、Miroの機能はさらに先進的で高機能なものばかりです。Zappsに加わることで、Zoomのデフォルトホワイトボードに代わるアプリになるでしょう。
たとえば、バーチャルなポストイットを貼り付けたり、ガントチャートやロジックツリーなど、さまざまなテンプレートを選んでそれをベースに書き込んでいくことができます。
ミーティング終了後も、引き続きそのホワイトボードを編集することができます。
Miro単独での利用も可能ですが、Zappsとして連携することで、Zoomミーティングをより効率的に行い、生産性向上にもつなげることができるでしょう。
ZVCでは、2020年内に最初のZappが提供される見込みとしていますが、2020年12月現在、まだ日本国内では提供されていません。
先述の通り、利用開始後には無料ユーザー、有料ユーザーを問わず誰でも利用できるようになる予定です。
ここでは、Zappsとして連携が予定されているアプリのごく一部をご紹介しました。この他にもさまざまなアプリが連携しており、ニッチなニーズなどにも幅広く対応しています。
また、利用がスタートした後には、さらに多くのアプリやサービスが連携していくことが予想されます。Zoomミーティングをさらに高機能にすることができ、効率化や生産性向上にもつなげることができるZappsの動向に、ぜひ注目してみてください。