新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、テレワークや在宅勤務の導入が進む中、Web会議システム「Zoom」を利用する頻度も高まってきました。Zoomはすでに高機能で便利なサービスですが、自社でカスタマイズして利用したいと思う企業もあるかもしれません。
そこで使いたいのが、Zoom SDKです。開発者がZoomを使ったアプリケーションを簡単に作れるSDKは、公式から配布されているものでデモがついています。そのため、ベースになるものを使いながら、必要な機能を拡張して開発できます。
本記事では、Zoom SDKのご紹介、ラインナップ、利用方法を簡単にご紹介します。
*Zoom SDKはZoomが開発・提供しており、ブイキューブでのサポートは行っておりません
SDK(Software Development Kit)とは、少ない労力でアプリケーションを開発できるよう、プログラムやAPI、サンプルコードなどをパッケージにした、ソフトウェア開発キットです。
SDKを用いることで、簡単に既存システムやアプリケーションに必要な機能を実装できたり、アプリケーション同士の連携が可能になったりします。
SDKについて調べる中で、よく「API」という言葉も目にすると思いますが、SDKとAPIは別物です。API(Application Programing Interface)とは、ある一つの機能に特化したプログラムで共有可能なもの、ソフトウェアの機能を共有する仕組みのことです。
同じことが実現できるように思えるかもしれませんが、「書くのが難しいAPIを簡単にしてパッケージにしたもの」がSDKです。もちろんSDKを使う中でAPIが使われています。
では、ZoomのSDKを利用することで、どんなことができるのかご説明します。
ZoomのSDKを利用することで、簡単に自社アプリ内にZoomのビデオ通話などの機能を組み込むことができるようになります。
ユーザーはZoomが使われていることを知らずに、開発者が自身のサービスにビデオ通話などの機能を組み込んで提供できるのです。機能の実行はZoomの基盤に任せるだけです。
Zoom SDKは2種類あります。
「Fully Customizable SDKs」はZoomが2020年10月14日(米国時間)に発表した新しいSDKです。これまでのSDKは、ハードウェア製品への機能の組み込みや、他のアプリケーションとの連動を実現するものでしたが、「Fully Customizable SDKs」では、Zoomの機能を独自で開発した製品やサービスかのように利用できるようになります。
具体的には以下のような違いがあります。サポートされているプラットフォームや、Zoomのプラン、オプションの違いによって比較してみてください。
Fully Customizable SDKs | Client SDKs | |
---|---|---|
サポートされているプラットフォーム | Android iOS Web |
Android iOS Windows macOS |
ミーティングオプション | Zoomセッション | ミーティング ウェビナー |
会議識別子 | セッション名 | ミーティング ID/番号 |
Zoom ミーティングとの互換性 | ✕ | ◯ |
デフォルトの会議UI | ✕ | ◯ |
カスタムUIサポート | ◯ | ◯ |
プレミーティング管理 | ✕ | ◯ |
ユーザーログイン | - | メール SSO API |
RAWデータ | モバイルプラットフォームで利用可能 | ✕ |
参照:https://marketplace.zoom.us/docs/sdk
「Fully Customizable SDKs」は、開発者にとって優れた使い勝手で、最小限のコードで実装できます。
ビデオ通話や音声通話、リアルタイムのインタラクティブなビデオ・オーディオストリーミングなど、ユーザーとの接続機能を強化するように構築されています。画面共有やセッション内のチャットもカスタマイズ可能です。
月に最大1万分を無料で利用することができ、その後はニーズ似合った柔軟な支払いプラン(従量課金制)で利用できます。年間ボリュームプランもあります。
参考:https://zoom.us/ja/fully-customizable-sdk.html
ZoomのSDK利用にあたっては、以下のページからサインアップして、フォームに記入が必要です。
登録が承認されるとサンプルコードやモバイル・Webのデモアプリ、開発者向けドキュメントにアクセスできるようになります。
【サインアップ】
https://zoom.us/docs/en-us/fully-customizable-sdk.html
ZoomのSDKの基礎知識をご紹介しました。
自社のシステムやアプリケーションに、ZoomのSDKを用いてカスタマイズすることで、簡単により便利な体験を作ることができます。Zoomの強みは、安定したビデオ通話です。その他の細かな機能も組み込むことができます。
まずは、必要とする機能を洗い出し、SDKで組み込むかどうか検討してみてはいかがでしょうか。