新型コロナウイルスの影響で「テレワーク」が普及し、Web会議システムを利用したオンラインミーティングが浸透しています。MM総研の調査によると、2020年上半期においてWeb会議システムで最も高いシェアを占めたのはZoomでした。
Zoomで会議をするとき、快適さを左右する一つの要素がカメラの性能です。パソコンの内蔵カメラでは文字が鮮明に映らなかったり、画面が暗くなってしまったり、不便に感じて外付けWebカメラの購入を検討している方もいるのではないでしょうか。
Zoom会議でWebカメラを使用するのはおすすめですが、使用するシチュエーションにあったものを購入しなければ、内蔵カメラと大差がない結果になってしまう可能性があります。
そこで本記事ではWebカメラ選びでの失敗を防ぐために、必ずおさえておきたいポイントと、実際におすすめのスペックを兼ね備えたWebカメラ7選をご紹介します。
個人で使う小規模なZoomミーティングなら内蔵カメラでも問題ない場合もありますが、仕事の重要な会議やセミナーでは外付けのWebカメラを使用することをおすすめします。内蔵カメラでは画角や画質の面から、対応できる人数や照明環境に限界があるためです。
例えば価格10万円前後のパソコンに内蔵されているカメラのスペックは以下の場合が多いです。
画素数が高くないだけでなく、パソコンの内蔵カメラはホワイトバランスが十分でないため、映像の色を不自然に調整してしまうことがあります。ホワイトバランスとは太陽光・電球など微妙に色の異なる光を調整する機能です。
実際にパソコンの内蔵カメラとWebカメラでは同じ照明環境下でも以下のように差が出ます。
左:HD(1280 × 720)の内蔵Webカメラ
右:フルHD(1920 × 1080)の外付けWebカメラ
内蔵カメラを用いた映像のキャプチャ画像は光が強く入ってしまい、全体的に白いもやがかかったような写りになっています。一方、外付けWebカメラを使用した方は光量が調整され、より鮮明です。
明るさや光のチラつき、色調が気になる方はWebカメラを導入してみてください。機種によってはソフトをインストールすることで光や色合いの調整ができます。
また、マイクの音質や集音性という観点からも、Zoom会議にはWebカメラの使用がおすすめです。パソコンに内蔵されているマイクだとパソコンが負荷の高い処理をしている際、ファンの音が入ってしまい、クリアな音声にならないデメリットがあります。ノイズキャンセリング機能も付いていないので、騒音を拾ってしまいます。
テレワーク中のセミナーやWeb会議を快適に集中して行いたいなら、目的や使用環境に合ったWebカメラを準備したほうが良いでしょう。
Webカメラは、機能、画質、マイクなど選ぶときに知っておくべきポイントが多くあります。ここでは、Zoomに最適なWebカメラの選び方を紹介します。
項目 |
おすすめスペック |
画質・解像度 |
200万画素以上・720p以上 |
画角 |
会議人数によって選択
|
内蔵マイク |
無指向性 ステレオタイプ ノイズキャンセリング機能つき |
最短撮影距離 |
資料を映すのであれば5cm未満 |
フレームレート |
30fps以上 |
画質の判断基準となるのが、画像を構成するドットの数を表す「画素数」と画素数の密度を表す「解像度」です。解像度が低いと画質が粗くなるため、最低でも720p以上、予算があれば1080pのモデルを選ぶのが良いでしょう。
さらに高画質な4Kのものもありますが、注意したいのがZoomでは解像度が1080p以上にならないよう制限されている点です。
4Kの映像が撮れるWebカメラを使っても、Zoom上では画質は1080pに落とされてしまいます。録画目的でWebカメラを使うことがある場合は4K対応のものもおすすめですが、使用がZoomに限られるのであれば解像度は1080pあれば十分です。
Webカメラの画質を判断する指標としては解像度を用いるのが一般的ですが、画素数の目安も記載しますので、を参考にしてみてください。
画角とは、「画面に写る範囲をカメラの位置から見た角度」のことです。複数人が出席する会議やホワイトボードやスクリーンを映しながら進めるセミナーで使う予定がある方は、必ずチェックしておきましょう。
画角の目安は以下です。
*一般的なパソコンの内蔵カメラと同等
画角が広くなると映せる範囲が広くなるため、複数人を同時に映したZoom会議が可能になります。ただし、画角は広ければ広いほど広範囲を映せるものの、80°より広くなると画面に歪みが生じ始め、120°より広くなるとかなり歪みが大きくなることを考慮しておきましょう。
画角はとりあえず広いものを購入するのではなく、Zoom会議の参加人数に最適化することをおすすめします。
また画角が狭くても、パン・チルトというレンズが上下左右に動く機能があれば歪みなく広範囲の撮影が可能です。
多くのWebカメラには内蔵マイクが付いています。マイクで差が出るポイントは、集音範囲と音源の種類の2点です。
内蔵マイクの集音範囲には以下3つの種類があります。
基本的に多くのWebカメラは無指向(全方位)マイクですが、個人使用に限る場合は正面の音のみを集音する単一指向性マイクもおすすめです。また、イヤホンなどに使用されている、騒音を削除するノイズキャンセリング機能があると音声がクリアになります。
音源の種類には「モノラル 」と「ステレオ」があります。
基本的にステレオマイクの方が音質に優れてます。1万円以上の価格帯のWebカメラは多くがステレオですが、数千円の安いものはモノラルの場合もあります。音質を大きく左右する点なので、必ず確認しましょう。
被写体にピントを合わせられる最も短い距離のことを、最短撮影距離といいます。フォーカス機能に特化していないWebカメラだと最短撮影距離が公表されていないものも多いですが、大きく分けて以下の2つの数値を目安にしてみてください。
オンライン授業や商品の営業などでテキストを画面越しに共有する機会がある方は、最短撮影距離が10cm未満のものをおすすめします。細かい文字を移すことがない会議等での使用であれば、最短距離は30cm程度のもので十分でしょう。
またカメラ越しでの資料共有が頻繁にある方は、書画カメラの購入を検討してみるのもおすすめです。
出典:M11-8MV|AVer Information
>>M11-8MV
デスクライトのような見た目で垂直方向からの撮影に優れています。書画カメラなら最短撮影距離が5cm未満のものもあり、フォーカスしたときにぼやけないよう、画素数や解像度も高く設定されています。
フレームレートとは、1秒間ごとに切り替わるコマ数です。Zoom会議に使用するなら30fpsのWebカメラがおすすめです。「fps」は1秒間に切り替えているフレームの数を示します。
あらゆる映像は、静止画像を連続的に切り替えて動きを出しているため、フレームレートの値が大きいほどより動画の動きが滑らかになります。
ただし、フレームレートに関してもスペックが高ければ良いわけではありません。Zoomは30fps以上にならないよう設定されているため、仮に60fps対応のものを選んでも適用されません。
話し手の表情や文字を伝える程度であれば15fpsでも問題ありませんが、細かな動きを伝えたいシチュエーションが想定される場合は30fps以上のものを選びましょう。
ZoomでWeb会議をするときには部屋の大きさ、参加する人数に合わせて目的に合ったWebカメラを用意する必要があります。
先ほど紹介したWebカメラを選ぶ判断基準として以下を踏まえ、スペックが高いものや価格とのバランスが良いWebカメラを紹介していきます。
▼スペック
製品名 | 画角 | 解像度 | マイク性能 | 価格(税込)* |
ロジクール C930e |
90° | 1080p | 全方位ノイズキャンセリング | 14,570円 |
ロジクール MeetUp |
120° | 2160p | RightSound(ノイズや声の大小を自動調節) | 119,070円 |
ロジクール C920s |
78° | 1080p | ステレオ | 7,480円 |
ロジクール BRIO | 65°/78°/90° | 2160p | ノイズキャンセリングデュアル全方位マイク | 28,350円 |
120° | 1080p | 指向性マイク2基搭載(集音範囲約6m) | オープン価格(100,000〜120,000円) | |
AVer Information CAM540 |
86° | 2160p | ◯(詳細記載なし) | オープン価格(140,000〜180,000円) |
エレコム UCAM-C750FBBK |
66° | 1080p | モノラル | 8,778円 |
*2021年5月時点での価格です。オープン価格の商品については主要通販サイトの販売価格を参考にしています。
出典:C930e|logicool
①高度な1080pウェブカメラ
②最長1M離れた場所からも音をクリアに拾い上げる
③カスタマイズ可能なカメラ設定
ロジクールが販売している「C930e」は90°の広画角から、3〜5名のZoom会議に対応可能なWebカメラです。全方位に対してノイズキャンセリング機能が付いており、クリアに音を拾い上げます。
「明るさ」「ズーム」「コントラスト」「フリッカー」などをアプリから簡単に調整可能です。
高画質かつ、4倍ズーム機能があるにもかかわらず1万円とリーズナブルなので、幅広い機能が欲しいものの費用を安くおさえたい方はまず「C930e」を選んでおけば間違いないでしょう。
画角 |
90° |
画素数 | 300万画素 |
内蔵マイク | 全方位ノイズキャンセリング |
価格* | 14,570円(税込) |
解像度 | 1080p |
パソコン側接続端子 (付属ケーブル長) |
USB 2.0 TypeA(1.5m) ※ケーブルの取り外し不可 |
設置方法 | クリップ/三脚 |
*2021年5月時点
公式サイト:ロジクール(Logicool)C930e
出典:MeetUp|logicool
①ボリュームの異なる声を自動的に平滑化
②カメラの位置とズームを自動的に調整、全員をフレーミング
③最長3年間の保証で安心
ロジクールの「MeetUp」は小会議室用の超広角レンズを搭載したWebカメラです。120°の広角レンズなので、2〜6人のZoom会議に適しています。価格は8万円〜と高いですが、カメラの位置とズームを自動的に調整し、会議室内の人々を検出してフレーム内に収めてくれるRightSightテクノロジーが強みです。
また、雑音がどの方向から届いているかを判定し、特定の音を増幅/減衰させる3つのマイクが内蔵されており、大きい声と小さい声を自動的に平滑化し、ノイズを抑制してくれます。
内蔵カメラでは決して実現できない快適なZoom会議を体験できるでしょう。
画角 |
120° |
画素数 | - |
内蔵マイク | 3つのビームフォーミング要素を装備する 統合マイク |
価格* | 119,070円(税込) |
解像度 | 4K Ultra HD |
パソコン側接続端子 (付属ケーブル長) |
USB 2.0 TypeA(5.0m) ※付属の電源ケーブルから給電が必要 |
設置方法 | 据え置き型 |
*2021年5月時点
公式サイト:ロジクール(Logicool) MeetUp
出典:C920s|logicool
①フルHDで1万円以内の高いコストパフォーマンス
②オートフォーカス機能あり
③プライバシーシャッター付き
ロジクールのC920sは、画角が78°と1〜3名での Zoom会議に最適なWebカメラです。レンズから7cm以上離れた被写体に対して作動するオートフォーカス機能があるため、出席者の顔だけでなく、資料やホワイトボード等の文字も自動的にピントを合わせて映し出してくれます。
また、レンズを隠せるプライバシーシャッターがついており、カメラを使用しないときにはレンズをふさげます。傷や汚れから守りながらもプライバシーに配慮した設計です。
Logicoolにはさらに安いモデルもありますが、C920sより安いモデルはマイクがモノラルなので、音質が劣ります。画質、音質ともに内蔵カメラとの違いをはっきり感じたい方はC920s以上のモデルを選びましょう。
画角 |
78° |
画素数 | 300万画素 |
内蔵マイク | デュアルマイク(ステレオ) |
価格* | 8,470円(税込) |
解像度 | 1080p |
パソコン側接続端子 (付属ケーブル長) |
USB 2.0 TypeA(1.5m) ※ケーブルの取り外し不可 |
設置方法 | クリップ/三脚 |
*2021年5月時点
公式サイト:ロジクール(Logicool) C920s
出典:BRIO|logicool
①RightLight機能でどのような照明環境でも鮮明に映る
②遅延のないスムーズなストリーミング
③シチュエーションに合わせ3種類の視野角を選べる
ロジクールの「BRIO」は画角を三段階に調整できるため、Zoom会議の出席人数に合わせて画角を変更したい方に最適です。「RightLight」といわれるロジクールの独自システムを搭載しており、照明条件に合わせオートで光が調整されます。照明が小さくても、逆に明るすぎても最適なコントラストに調整して、常に被写体を目立たせてくれます。
マイクはノイズキャンセリングを採用したデュアル全方位マイクを装備。背景雑音を増幅せず音声をクリアにしてくれます。
Zoom上では適用されないものの、画質は4Kに対応しているので、会議の録画用に使うのもいいでしょう。
画角 |
65°/78°/90° |
画素数 | - |
内蔵マイク | ノイズキャンセリング/デュアル全方位マイク |
価格* | 28,350円(税込) |
解像度 | 2160p |
パソコン側接続端子 (付属ケーブル長) |
USB 2.0 TypeA(2.2m) |
設置方法 | クリップ/三脚 |
*2021年5月時点
出典:VB342+|Aver Information
①電動パン・チルト機能搭載で幅広い画角に対応
②AVer スマートフレーム機能で参加者全員が最適な位置に映るよう自動調整
③直径6mの範囲で音声の集音を行い、発言中の人物に対して自動追尾ズーム
Aver Informationの「VB342+」は、8人程度の中規模なZoom会議での使用に向いたWebカメラです。直径6mと集音範囲の広さが魅力です。発言中の人物に対して、音声に反応して自動で追尾してズームしてくれます。
画角は120°と広いかつ、左右180°と上下105°のパン・チルト機能があります。さらに独自のスマートフレーム機能で、ワンボタン操作で参加者全員が最適な位置に映るように自動調整してくれるので、見切れる心配はありません。
画角 |
120° |
画素数 | - |
内蔵マイク | 集音範囲約6mの指向性マイク2基搭載 |
価格* |
オープン価格 |
解像度 | 4K |
パソコン側接続端子 (付属ケーブル長) |
USB 3.1 TypeA(1.8m) |
設置方法 | 据え置き型 |
*2021年5月時点
公式サイト:AVer Information VB342+
①上下左右に動かせるパンチルト機能あり
②最大16倍ズーム
③状況に合わせ自動でフレームを調整、最適化
Aver Informationの「CAM 540」は7〜24人の大規模なZoomにも対応可能のWebカメラです。画角は86度と広くはないものの、スマートフレーム機能で人の顔を検出して自動的にズームイン・アウトをしてくれるため、大人数の会議にも最適です。
上下左右を動かすパンチルトも使用可能で、映す範囲を広げられるので大きな会議室やセミナーでもストレスなく使用できます。価格は高いですが、特に追加料金なしで3年保証が付属するのが嬉しいポイントです。
画角 |
86° |
画素数 | - |
内蔵マイク | ◯(詳細記載なし) |
価格* | オープン価格 ※主要通販サイトでは140,000〜180,000円で販売されています |
解像度 | 4K |
パソコン側接続端子 (付属ケーブル長) |
USB 3.1 TypeA(1.8m) ※USB3.1 Type-A to Type-C変換アダプタ付 ※付属の電源ケーブルからの給電が必要 |
設置方法 | 据え置き型 |
*2021年5月時点
公式サイト: AVer Information CAM 540
出典:UCAM-C750FBBK|ELECOM
①500万画素対応の超高精細の映像
②2,000万画素の静止画撮影も可能
③サポート機能「WebCamアシスタント」あり
ELECOM(エレコム)の「UCAM-C750FBBK」は、あまり予算がないものの高精細な映像を配信したい方におすすめです。映像配信だけでなく、2,000万画素の静止画撮影にも対応しています。
無料ダウンロードできる「WebCamアシスタント」をインストールすれば、YouTube投稿機能、動画の簡易編集機能などの機能を使用可能です。
約9,000円と映像のクオリティに対してかなり低価格におさえられている一方、マイクがモノラルである点と画角が狭い点には注意が必要です。音質を重視する人や複数人で使用したい人には向きません。
低価格でありながら高音質を求める方は前述の「Logicool C920s」、または次章以降で紹介するカメラをおすすめします。
画角 |
66°° |
画素数 | 500万画素 |
内蔵マイク | 無指向性モノラルマイク |
価格* | 8,778円(税込) |
解像度 | 1080p |
パソコン側接続端子 (付属ケーブル長) |
USB 2.0 TypeA(1.5m) |
設置方法 | クリップ/三脚 |
*2021年5月時点
公式サイト:エレコム(ELECOM) UCAM-C750FBBK
Zoomのカメラは個人使用であればパソコン内蔵カメラでも問題ありませんが、テレワーク環境を快適にするのなら外付けのWebカメラは欠かせません。
外付けカメラにもたくさんの種類があるため、会議の人数、ホワイトボードや資料を映すのかなど、一度しっかりと考えて目的に合ったものを選びましょう。
今回紹介した商品の中でも、「Logicool C930e」は特に価格と画質、音質スペックのバランスが良く、パソコンの内蔵カメラに物足りなさを感じている人のエントリーモデルとしておすすめします。
どのWebカメラを購入するか悩んでいる人は今回紹介した以下をぜひ参考にしてみてください。