新型コロナウイルス感染症の流行が要因で、政府は企業に対してテレワークを活用し出社を控えるよう要請しています。令和3年11月に改定された「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」では、各企業にテレワーク等の実施状況を自身のHPで公表するように呼びかけています。
転職サイト「エン転職」による1万人アンケートによると、求職者は、企業を選ぶ際に「希望の働き方(テレワークなど)ができるか」といったことを重視する人が増えている状況です。そのため、感染症対策とより優秀な人材確保のためには、テレワークの導入が必要になってきています。
しかし、テレワークはすべての企業が導入できるわけではありません。なかには、業務のほとんどはテレワークにできるにも関わらず、電話を利用するためだけにオフィスに社員を配置しないとならない、といった企業もあるのではないでしょうか。
もし、テレワーク導入のときに電話だけがネックであるのなら、Zoom PhoneなどのクラウドPBXを導入すると、完全にテレワーク化も可能になります。そこで今回は、テレワークやハイブリットワーク導入に電話業務がネックになっている企業、オフィスの電話をクラウドPBXに替えたい企業に向けて、Zoom Phoneの特徴や機能について詳しく説明します。
Zoom Phoneとは、Zoomが提供するクラウドPBX(クラウド電話システム)です。
通常、固定電話は回線がある場所に行かなければ発着信ができません。しかし、Zoom Phoneとその固定電話を紐づければ、インターネットがつながるところであれば、どこにいてもその電話を使えます。今まで使い続けていた電話番号を変更することなく、インターネットを介して受発信できるようになり、自宅にいながら会社の電話を利用可能です。
そのほか、Zoomのモバイルアプリ、デスクトップアプリ、デスクトップアプリ、Zoom Roomsといった各サービスとZoom Phoneを紐づければ、それぞれの会話をシームレスに統合できます。電話しながら、ZoomのアプリやZoom Roomsに移行するようなことも可能です。
クラウドPBXとは、インターネット上にPBX(電話交換機)を設けるサービスです。クラウドPBXを利用すると、電話回線がなくてもインターネット回線があれば、内線や外線、転送などの電話機能を利用できるようになります。
通常、固定電話を設置するときはオフィスにPBXを設置します。そのため、オフィスの電話で受発信するためには、オフィスに行かなければなりませんでした。しかし、クラウドPBXがあれば、インターネット環境がある場所なら、個人のパソコンやスマートフォンで会社宛ての電話を受けたり、会社の電話番号で電話をかけたりできます。
クラウドPBXのなかの1つであるZoom Phoneは、以下のようなメリットがあります。
それぞれどのようなことか解説します。
Zoom Phoneを契約すると、インターネット環境がある場所であれば、会社の固定電話をどこでも使えます。会社の電話番号宛にかけられる電話も自宅で受けられるようになるため、電話のためだけに出社しなくても済みます。
ヘルプデスク業務も在宅勤務可能になるため、業務内容によってはフルリモートワークも可能となるでしょう。
Zoom Phoneは高度暗号化標準のアルゴリズムを使用し、音声データの暗号化をサポートしています。さらに、通話メディアも AES-128 アルゴリズムの SRTP によりトランスポートされるため、情報漏えいのリスクを最小限にできます。
またZoom Phoneには録音機能があり、通話したあとは通話のレコーディングや通話内容の転送などが可能です。顧客との通話で何かトラブルが起こったとしても、録音データを参照すれば水掛け論にならずに済みます。通話内容を複数人で確認し、問題改善を行えば、コンプライアンス強化にもつながるでしょう。
Zoom Phoneはシンプルな構造で、直感的な操作が可能です。
同じZoomが提供するZoomミーティングでは、ワンクリックで簡単にWeb会議に参加、会議設定などの各種設定もひと目でやり方が分かるようなUIなど、だれでも操作できるような工夫がなされています。Zoom Phoneも、このようなZoomミーティングの経験が活かされ、IT系に苦手意識がある人でも簡単に運用や管理ができます。
上記画像は、Zoom Phoneの管理ポータルです。編集や複製、削除もワンクリックででき、管理者としての操作も簡単にできます。
クラウドPBXの導入が決まっても、どの種類にしようか迷ってしまう企業も多いでしょう。ここではZoom Phone ならではの特徴を解説するので、クラウドPBXを選択するときの参考にしてください。
Zoom Phone の1番の特徴は、Zoom ミーティングとの連携がしやすいという点です。
電話で通話しているときにZoom ミーティングに切り替えたくなったときは、通常は通話を終了したあと再度Zoomでつなぎ直さなければなりません。しかしZoom Phoneであれば、電話している最中にシームレスにZoom ミーティングに切り替えられます。そのときに参加者は手動で参加しなおす必要はありません。
Zoom Phoneは以下のような外部ツールと連携できます。
ツールの名前 |
連携してできること |
・Salesforceから直接電話を利用可能 ・デスクトップ画面と電話を切り替えなくても通話可能 |
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・Microsoft TeamsとZoom Phoneをシームレスに連携 ・Microsoft Teamsから直接Zoom Phone をかけられる |
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・Google カレンダーから直接電話できる ・Zoom Phone の管理が簡素化する ・Gmailの受信箱から電話をかけられる |
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・Slackから通話できる ・Slackの機能を拡張可能 |
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・通話の文字起こしや分析ができる |
Zoom Phoneは2022年6月から0ABJ番号を新たに割り当てられるようになりました。
0ABJ番号とは、日本で一般の加入者に割り当てられる電話番号形式の1つで、0から始まる10桁の電話番号です。1桁目は0で固定されていますが、2桁目以降は地域によって番号が振り分けられているところが大きな特徴です。
そのため、0ABJ番号であれば電話番号だけでオフィスがどこの地域にあるのかが分かります。そのため、0ABJ番号は地域密着型のビジネスをする企業にはとくにおすすめの電話番号です。また、0ABJ番号は圏外になることもなく通話品質も高いため、通話が途切れたり、声が聞こえにくかったりすることで顧客に不快な思いを与えにくいというメリットもあります。
通常、0ABJ番号は電話がある場所にセッション・ボーダー・コントローラーを設置する必要があります。しかし、法的な本人確認の手続きを行えば、その装置を設置しなくても0ABJ番号を利用可能となりました。そのため、Zoom Phoneでも固定電話と同じような電話番号を発行できるようになり、よりビジネスフォンとして使いやすいものになっています。
参考:Zoom Phone日本ユーザー向けにネイティブな0ABJ番号の提供を発表
Zoom PhoneはZoomが提供するクラウドPBXです。電話をクラウド上に配置するような仕組みで、自宅にいながらオフィスにかかってきた固定電話にも対応できるようになります。
Zoom Phoneは電話をしながらZoomミーティングにシームレスに移行できるなど、Zoomならではの機能が搭載されており、すでにZoomを導入している企業にとってかなり便利なものです。電話応対がネックでフルリモートワークにできない企業は、ぜひZoom Phoneの導入を検討してみてください。