2020年は、新型コロナウイルス感染症の広まりによる外出自粛により、大勢が集まるイベントは延期や中止が相次ぎました。施設自体が休業を余儀なくされたこともあり、感染症をきっかけとして多くのイベントがオンラインへと変換しています。
イベント・コミュニティのプラットフォームPeatix (ピーティックス) を運営するPeatix Incの調査では、コロナ禍以前ではオンラインイベントを開催していた主催者は2割以下でしたが、今では9割近くがオンラインイベントを行っています。
オンラインイベントは感染症の状況関係なく開催できるほか、会場代がかからない、場所を問わずに手軽に参加できる、アーカイブがあれば時間の制約もない、といった点が魅力的です。しかし一方、オンラインイベントはコミュニケーションが一方的になりがちで、参加者が離脱しやすい、といったデメリットもあります。
そこで、オフラインとオンラインのよさをかけ合わせた「ハイブリッド型イベント」が注目されています。実際に同調査によると、コロナ禍ではなくてもハイブリッド型イベントを検討している人は78.3%にも及んでいるそうです。
イベント開催を行う企業であれば、アフターコロナとなってもオンラインイベントやハイブリッド型イベントを検討すべきといえるでしょう。そこで今回は、日本でのシェア率78.4%と圧倒的な人気を持つ「Zoom」を利用したハイブリッド型イベントの開催方法について解説します。
ハイブリッド型イベントとは、オフラインでイベントを開催しつつオンラインで配信も放送する方法です。両方の参加方法を用意することにより、イベントをその場で楽しみたい人と遠方や移動時間を確保できないような人、両方とも楽しむことができます。
会場に足を運び現地にいる参加者とは、直接インタラクティブなコミュニケーションが取りつつ、居住地関係なく多くの人にイベントに参加してもらえるため、オフラインイベントとオンラインイベント両方のメリットを得られます。
イベントを録画しアーカイブを残せば、イベント当日に予定があった人も視聴できるようになり、さらに多くの人にイベントを届けることも可能です。
一方、ハイブリッド型イベントは、現地で参加する人と、オンラインでイベントに参加する人で温度差が生じやすいという懸念点もあります。 そのため、オンライン参加者もコミュニケーションがとれるような、ハイブリッド型ならではの工夫が必要でしょう。
先程も説明しましたが、日本のZoom利用率は78.4%と、かなり高いシェア率となっています。ここでは、Zoomを利用したハイブリッド型イベントを開催する方法を説明します。
まずはハイブリッド型イベントに適したZoomを用意しましょう。
オンラインイベント、ハイブリッド型イベントを開催するのであれば、ZoomミーティングよりもZoomウェビナーがおすすめです。ZoomミーティングとZoomウェビナーの機能の違いは以下のとおりです。
Zoomミーティング |
Zoomウェビナー |
|
参加人数 |
ライセンスに応じて 100人~500人(オプション加入で1000人まで) |
ライセンスに応じて 500~5万人 |
参加者画面 |
参加者全員 |
ホストとパネリスト |
Q&A機能 |
× |
○ |
おすすめの用途 |
・ミーティング ・商談 ・研修会 |
・対話できる集会 ・講演会 ・大規模なミーティング |
Zoomミーティングだと参加者全員の画面が表示されます。参加者はミュートや画面オフなどの機能は使用できますが、黒い画面は残ります。参加者や主催者の操作ミス等で画面や音声をオンにすると、イベント中に参加者の音声や映像が流れてしまう可能性もゼロではありません。
Zoomウェビナーであれば、ホストとパネリストだけの画面表示となるため、配信したいイベント動画だけを流せます。
また、Zoomウェビナーにはイベント中に質問ができるQ&A機能や、事前登録機能、一斉招待など、オンラインイベントやハイブリッド型イベントに便利な機能もあります。イベント後は視聴者数や離脱率などのレポート作成も可能です。
そのため、オンラインイベントやハイブリッド型イベントをするのであれば、Zoomウェビナーの導入がおすすめです。Zoomウェビナーは、Zoomミーティングの有料プランに加入しているのであればオプションとして使えます。企業プランならすでにプランに含まれています(ただし参加人数は1000人まで)。
参考:Zoom meetingsとZoom Webinarsの比較
ハイブリッド型イベントでは、現地におけるイベントの映像を配信して行います。パネリストが1人しかいないセミナーであれば、カメラで映す範囲も、マイクで拾わなければならない音も1人分で済むため、パソコン1台で配信できます。しかし、オンラインイベントを配信するハイブリッド型イベントでは、さまざまな専用機器を用意し使いこなすことが必要です。
例えば、基本的にマイクやカメラは必須です。さらに、音響ミキサーでBGMと登壇者の声、歓声などの音量も調節もしなくてはなりません。
オフラインイベントを撮影することになると映し出す範囲も広くなるため、さまざまなところを映せるようカメラは複数台あったほうがよいでしょう。カメラを複数しようするのであれば、配信するカメラを切り替えられるビデオスイッチャーも必要です。
そのほか、複数の映像をマルチモニター化するためのHDMI分配器など、映像配信のための専用機器もあると望ましいでしょう。このように、ハイブリッド型イベントを開催するためには、専用の配信機材とそれを利用できるスタッフが必須です。
自社に機材の準備や、配信技術を持つスタッフがいない場合は、配信のサポートやスタジオなどを活用するとよいでしょう。ノウハウがまったくない企業でも、簡単にハイブリッド型イベントができるようになります。
ハイブリッド型イベントで起きがちな課題として、オフライン参加者とオンライン参加者に臨場感や一体感の差が大きくなるという点があります。そこで、オンライン参加者もイベントに積極的に参加できるような工夫が必要です。
Zoomでもイベント中に自分の意見を書き込めるチャット機能や、パネリストに質問ができるQ&A機能はあります。しかし、よりオンライン参加者に会場との一体感を感じられるようにするには、ほかのツールの利用もおすすめです。そうすることにより、オンライン参加者が会場にいるときと同じ体験ができるようになり、参加者全体の満足度が上がります。
また、オフライン参加者とオンライン参加者の管理を一括でできるシステムを利用すれば、参加履歴やアンケート結果を同時に集計でき、オンライン、オフラインで別途集計する手間も必要ありません。このようなシステムも利用することで、ハイブリッド型イベントのデメリットをカバーできるでしょう。
ハイブリッド型イベントは、オンラインイベントの手軽さと、オフラインイベントの一体感や臨場感を兼ね備えたものです。コロナ禍に推進されたオンラインイベントですが、手軽に多くの参加者を集められるという特徴により、アフターコロナでも引き続き開催されるといわれています。
同時にハイブリッド型イベントにも注目が集まっていて、今後は数多くのイベントがハイブリッド型イベントになるのではないかという予測もされています。
ハイブリッド型イベントを開催するときは、日本で多く使われているZoomを利用して配信できます。ただし、カメラやマイク、音響ミキサーなど専門機器や、配信に精通したスタッフがいないと臨場感のある映像を届けられません。こういった場合は、専門の業者に依頼することがおすすめです。
また、ハイブリッド型イベントに特化したツールを利用すれば、オンライン参加者とオフライン参加者とで同じような体験をしてもらうことや、参加者の一括管理もできるようになります。