オンライン展示会とは、インターネット上の仮想空間(ウェブサイトや専用プラットフォーム)で開催される展示会のことです。従来の展示会場に足を運ぶ形式とは異なり、PCやスマートフォンから場所を選ばずに参加できるのが最大の特徴です。動画配信や資料ダウンロード、チャット、オンライン商談などの機能を組み合わせることで、非対面ながらも効果的なビジネスコミュニケーションを実現します。
オンライン展示会と従来のオフライン(リアル)展示会には、主に「コスト」「商談の性質」「データ活用」の面で大きな違いがあります。それぞれの特徴を比較表にまとめました。
| 比較項目 | オフライン(リアル)展示会 | オンライン展示会 |
|---|---|---|
| 会場・コスト | 会場費や設営費、人件費等で高額になりやすい | システム利用料が主で、比較的安価に開催可能 |
| 商談の質 | 会場を歩く中での「偶発的な出会い」が多い | 目的を持って訪れる「指名検索」のユーザーが多い |
| データ取得 | 主に名刺情報のみ。行動把握は困難 | どの資料を読み、どの動画を見たか等、詳細なログを取得可能 |
| 来場者の心理 | ブースに立ち寄ると断りにくい心理が働く | 興味がなければクリック一つで気軽に離脱できる |
オフライン展示会は「熱量のある体験」や「偶然の出会い」に強みがある一方、オンライン展示会は「効率的な集客」と「緻密なデータ分析」において圧倒的な優位性を持っています。
オンライン展示会は、単なる一時的な感染症対策としての代替案ではなく、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する重要な一環として定着しました。
その背景には、インサイドセールスの強化や営業活動の効率化が求められるビジネス環境の変化があります。移動時間や出張費をかけずに全国・全世界から集客できる仕組みは、効率的に見込み客(リード)を獲得したい企業にとって、今や欠かせない戦略的手段となっています。
オンライン展示会を開催、または出展するにあたって、目的に応じて大きく分けて2つの形式があります。自社のリソースやターゲットに合わせて最適なほうを選びましょう。
自社で専用のランディングページ(LP)や特設サイトを構築して開催する形式です。
世界観を重視したい企業や、すでに一定のハウスリスト(既存顧客名簿)を持っている企業に向いています。
ITmediaやDMMなどが主催する大規模なオンラインイベントに出展する、あるいは既存のSaaS型イベントプラットフォームを利用する形式です。
手軽にオンライン展示会を始めたい企業や、新規リード(見込み客)の獲得を最優先とする企業に適しています。
オンライン展示会で成果を出すためには、来場者を飽きさせず、スムーズに情報収集や商談へ誘導するコンテンツ制作が欠かせません。ここでは、代表的な4つのコンテンツについて解説します。
3DCGで構築された仮想空間内を、アバターを使って自由に回遊する形式です。ゲームのような高い没入感を提供できるため、企業の先進性や世界観を強力にアピールできます。最近では、実際に空間を歩いているような体験ができる「ウォークスルー型」の技術も注目されています。
従来のWebサイトに近い、馴染みのあるレイアウトで構成される形式です。
動作が軽く、スマートフォンからでもスムーズに閲覧できるため、効率を重視するビジネス層の情報収集に適しています。3D形式と比較して制作コストを低く抑えられる点も大きな魅力です。
具体的なサービス例としては、ブース型のイベントプラットフォーム「EventIn」などが挙げられます。
基調講演や製品デモなどを動画で配信するコンテンツです。
Zoomや専用の商談ツールをプラットフォームと連携させ、その場で直接対話を行う仕組みです。効率的な商談を実現するには、チャットボットなどで事前にヒアリングを行い、スムーズに予約や接続へ誘導する導線設計が極めて重要になります。
オンライン展示会は、単なるリアルの代替品ではなく、ビジネスの可能性を広げる戦略的なメリットを多く備えています。
リアル開催で発生する多額の会場費やブースの施工費、スタッフの人件費、パンフレットの印刷費などを大幅に削減できます。また、物理的な設営が不要なため準備期間も短縮でき、より高い頻度でイベントを開催することが可能になります。
「誰が、いつ、どの資料をダウンロードし、どの動画を何分間視聴したか」といった詳細な行動ログを正確に把握できます。単なる名刺交換に留まらず、顧客の関心度に基づいた「確度の高いリード」を見極められる点は、オンラインならではの大きな価値です。
インターネット環境さえあれば参加できるため、移動コストやスケジュールの都合で来場できなかった遠方の顧客や、海外のターゲットとも接点を持つことができます。また、天候や災害などの外部リスクに左右されず、安定して開催できる点も強みです。
オンライン展示会を成功させるためには、その特性ゆえの課題を正しく理解し、事前に対策を講じておくことが重要です。
オンラインでは、実機に直接触れたり、会場特有の熱気や空気感を感じたりといった体験を提供することができません。
来場者はクリック一つで退場できるため、興味を惹くことができなければ一瞬で離脱してしまいます。また、リアル会場のように通りがかりの人へ声をかけることも困難です。
通信環境や使用デバイスのスペックによっては、ページが正しく表示されないなどのトラブルが起こる可能性があります。
オンライン展示会を成功させるための全体的な流れを、6つのステップに分けて解説します。
まずは「名刺獲得数」なのか「商談数」なのか、あるいは「認知拡大」なのか、具体的なゴールを設定します。この目的によって、用意すべきコンテンツや選ぶべきプラットフォームが大きく変わるためです。
STEP1で決めた目的に基づき、自社単独開催にするか、合同出展にするか、またどのツールを利用するかを決定します。
オンライン上で目を引く資料の作成や、ウェビナー用の動画撮影・編集を行います。画面越しでも情報が伝わりやすい「オンライン映え」するクリエイティブが重要です。
オンライン展示会は、開催前の集客が成否の8割を握ると言っても過言ではありません。自社のメールリストへの配信や、SNS広告などを駆使してターゲットに周知します。
誰がチャット対応を行うのか、トラブルが起きた際の連絡フローはどうするかなど、当日のオペレーションを事前に固めておきます。
展示会が終わった後は、取得したログデータを即座に分析します。関心の高い顧客を特定し、インサイドセールスが迅速にアプローチすることで、商談化率を高めます。やりっぱなしにせず、次回の改善につなげるPDCAを回しましょう。
コロナ禍以前は約15万5000人が来場していた「Interop Tokyo」。2021年は「リアルな場での偶発性をオンラインの世界でも体験できるようにするには、どうしたらよいか」が検討された結果、「オンライン上にバーチャルな会場を作る」という発想が生まれ、リアルとオンラインのハイブリッドでの開催を決定。オンライン会場には先述の「EventIn」が採用されました。
ITエンジニア向けの国内最大規模カンファレンス「Developers Summit」。主催する株式会社翔泳社では、新型コロナウイルス感染拡大に伴って同イベントを2021年2月開催ではフルオンライン化しました。その結果、2020年の実地開催では4656名だった事前登録者数が6556名へと増加。特に地方参加者は3倍の人数に。同社では、セッションの配信に「V-CUBEセミナー」を採用し、大規模な配信にも対応させつつ、併せて導入した「EventIn」を活用し、講演後の質疑、ブース出展などスピーカー、協賛企業、参加者らのコミュニケーションの場も同時に実現しました。
展示会の派生形的な活用例としてご紹介します。毎年延べ15万人あまりが受験する関西有数の私立大学・近畿大学。同大のオープンキャンパスは受験生への情報発信の場として重要な機会である一方、2020年以降は新型コロナウイルスの影響でリアル開催が困難に。同大では、一般的な動画配信プラットフォームを応用したライブ配信なども行ってきたが、大規模な配信時の不安定性と、参加申込などを行う専用サイトの構築の手間が課題となっていました。そこで同大では、専用サイトの構築も簡単な「EventIn」を採用。2022年春のオープンキャンパスはハイブリッド方式で開催し、内容の充実とともに効率化も実現しました。
※他にも近しい事例は多数ございますので是非ともご活用ください
オンライン展示会は、場所や時間の制約を超えてビジネスチャンスを広げることができる、非常に強力な手段です。
成功させるための鍵は、まず「明確な目的設定」を行い、開催後には「取得したデータをいかに活用するか」にあります。リアルの代替としてだけでなく、デジタルならではの強みを活かすことで、より効率的な営業活動が可能になります。
まずは自社に合った形式を検討し、スモールスタートからでもオンライン展示会の第一歩を踏み出してみましょう。