「Web会議サービスを導入したけれど、あまり使われていない」…様々な会議や打ち合わせに役立てようと導入したは良いが、“あまり使われない”というケースもしばしば発生してしまうようです。まず、Web会議サービスを利用することで、自社における業務の、何を変えることができるのかを考えることが重要です。
Web会議サービス検討時には「導入コストを上回る経費削減効果が得られるか」「活用により目的とする効果を得られるか」といった費用対効果を考えることは欠かせません。
その時のポイントの1つを紹介すると「現在、行われている定期的な会議やミーティングのうち、どれだけをWeb会議に置き換えることができるか?」ということと「その利用頻度はどのくらいか?」ということを算出することです。具体的には次のような項目を事前にヒアリングするなどして集計し、定量化して考えることが必要です。
・Web会議を活用する部署はどこか、利用頻度はどのくらいか(毎日、毎週、毎月)
・Web会議により節約できる「交通費」「出張費」「会議室利用費」はどのくらいか
このようなポイントを押さえることで、最初は「なんとなく便利そう」「他拠点との連絡に役立ちそう」「出張費を減らせそう」というような理由から始まった検討が、より具体的な根拠となることでしょう。このため、「導入したけれど使われない」という事態を避けられるとともに、「どのくらいの効果が得られるのか」が明確になりますので、稟議書などを作成する際にも役立つと考えられます。
では次に、Web会議サービスの「用途」と「頻度」を試算した例をご紹介します。
全国に複数拠点を持つ製造業のA社。本社と製造拠点間での打ち合わせが多い同社では、移動時間や関係スタッフ全員そろっての会議が難しい点などが課題となっていました。しかし、新たにコストをかけてコミュニケーションツールを導入すべきかどうか懸念していました。
そこで、Web会議サービスを必要とするかどうか各拠点と部署にヒアリング。もし、あまり多くなければ、これまで通り電話、メール、移動・出張しての会議で対応してもらおうと考えていました。
該当部署にヒアリングしたところ、「電話やメールでのコミュニケーションに限界を感じている」という部署が意外に多いことが判明しました。また、設計と製造現場での打ち合わせなどでは、多い時には「毎日のように対面して対話できればよいと思っている」という意見も得られました。
しかし実際の費用対効果はどうなのか?という懸念点は残っています。そこで、「Web会議サービスを使いたい部署数×利用回数」を算出。同じ回数だけ移動して会話するコストよりもはるかに低コストでWeb会議サービスが導入できると判明しました。
ちなみにA社が考えたWeb会議サービスの「用途」は下記の通り。
・異なる拠点間の担当者・担当チーム間での打ち合わせ
・本社と全拠点をつなぐ全体会議
こうした会議の「利用回数」が具体的にどのくらいになるのかを割り出し、試算したのです。
なお、導入したWeb会議サービスは、月額料金が固定のクラウド型。目に見える移動コストの削減という効果もありましたが、最も大きい効果は「必要な時に、必要なだけ、確実にコミュニケーションが図れること」でした。ほかにもA社は「社内の意思疎通や業務が円滑になった」「従来フル稼働していた社内会議室のスケジュール調整が不用になった」といったメリットを掲げています。
この例のように、まずは自社の会議・打ち合わせをWeb会議に移行した場合の用途や利用頻度、削減できるコストを試算してみると良いでしょう。WEB会議サービスの導入効果をシミュレーションすることで、削減できるコスト、得られる効果を総合的に考え、より具体的な検討を進めていけるのではないでしょうか。