基本的にイベントは「見る」「聞く」がかかせません。また、内容によっては参加者側から「問いかける」「アンケートを記載する」という事も必要になります。そのため、映像・音声・テキストデータのインタラクティブな送受信が必要です。
また、不特定多数のユーザーにストリーミング配信を視聴してもらう場合、最初のハードルは手軽にアクセスできるかという点。スマホアプリの場合、インストールが面倒でユーザーが離れるケースもあります。また、AppStoreに申請・審査が必要なため、リリースに時間もかかります。
そこで登場する技術として、ブラウザで視聴が可能なHLSやWebRTCがあります。
メリットは以下の通りです。
デメリットは遅延(映像が配信者から参加者へ届くまでの時間)が10〜20秒程かかることです。
メリットは以下の通りです。
デメリットは、P2Pで通信できない環境への対応を自前で行うことの難しさや、大規模な参加者がいるライブ配信への対応が難しい点です。
ライブ配信・ビデオ通話・音声通話をかんたんに実装できる「V-CUBE Video SDK」の一つである「Agora.io」は、WebRTCでのストリーミング配信やビデオ通話にも対応しています。
前述の課題である「P2Pで通信できない環境」や「大規模な参加者がいるライブ配信」への対応も容易です。
主な特徴は以下の通りです。
双方向性: 映像表示17人、音声通話10,000人、視聴1,000,000人のキャパシティ
※多人数が通話しているところを配信することも可能
低遅延 : 平均76ms
※エッジサーバー間での計測値。エンド間の遅延は平均で150ms〜300msになります。
安定性 : パケットロス70%にまで耐久
また、ストリーミング配信やビデオ通話に特化しているSDKなので、付随する機能(ミュート、ボリューム調整、デバイス選択等)のAPIも豊富です。
音声周りのチューニングも簡単です。エコーキャンセルやノイズキャンセルを有効にしたい場合もあれば、マイクなどの機材が整ってる場合はそれらを無効にしたい場合もあります。また、バイノーラル音声(立体音響)や、ボイスチェンジャーを使いたいという要件もあるかもしれません。
Agora.ioではこれらのニーズに対応したサンプルコードが公開されています。
ワークスタイルとしてのビデオ通話は、今回のコロナウイルス騒動で世間一般にも広まってきました。今後はストリーミング配信やビデオ通話を用いる業界がさらに増えてくると思われます。
こちらは実際に「agora.io」を取り入れたサービスの一例です。
既に以下のようなイベントのオンライン化が始まっています。
ここでは、これらをオンラインサービス化する上での課題とagora.ioを用いた解決方法をご説明します。
[課題]
接続不良のクレーム対応に想定以上の工数がかかる。
[解説]
システムにバグがない状況でも、エンドユーザーのデバイスや回線によっては快適なビデオ通話ができない場合もあります。一方、ユーザーはそれなりの料金を支払うため、クレームすることが予想されます。
[解決策]
1. 事前に接続確認できる環境をユーザーに提供する。「agora.io」ではSDKを用いた接続確認ツールのサンプルを用意しています。このツールを用いて事前にユーザーのデバイスや環境に問題がないかチェックし、実際の握手会までに改善してもらうことが可能です。
2. どれだけ入念に事前確認を実施しても、当日にトラブルが発生することがあります。その場合、「agora.io」では詳細な解析ツールを提供していますので、これを用いて問題点を洗い出し、ユーザーにトラブルの原因を説明する事が可能です。
[課題]
ストリーミング配信とビデオ通話をセットにした実装が難しい。
[解説]
講師がある程度レッスンを行った後、テーブル毎にディスカッションや作業をするような教育イベントは多いと思います。ストリーミング配信だけであれば、HLSを利用することが可能ですが、遅延秒数が大きいのでビデオ通話には向いていません。逆にWebRTCでは大人数での視聴に対応させる事が難しくなります。そのため、独自で実現するにはストリーミング配信はHLS、ビデオ通話はWebRTCという2つの技術を個別に実装する必要が出てきます。
[解決策]
Agora.ioはストリーミング配信とビデオ通話の両方に対応しています。1つのSDKで実現が可能なため、開発工数の削減や、安定したサービスの展開が可能です。
2020年はコロナによるイベント中止が相継ぎました。
しかし、そうでなくとも、毎年のインフルエンザの流行や、度重なる災害等、イベントが開催できなくなるリスクはいくつも存在します。
今後もニーズが増え続けていくと思われるオンラインイベントについて、本記事が参考になれば幸いです。