2020年に発生した新型コロナウイルスの影響により、日常生活および働き方において、私たちはさまざまな変化を強いられるようになりました。同年2月には、政府による大規模なスポーツやイベントの中止または延期の要請が行われ、それ以降イベントのおよそ80%がオンラインの場へと舞台を移しています。
そのような状況ではありますが、2022年現在は3年ぶりに行動制限のない夏を迎え、各地でさまざまなリアルイベントが開催されるようになっています。
しかし、オンラインイベントにはコロナ禍を経ても得られるメリットが多くあるといえ、オンラインイベントは今なお開催され続けています。最近はリアルイベントとオンラインイベントをどちらも実施するハイブリッドイベントを見かける人も多いのではないでしょうか。
そこで本記事ではオンラインイベントの動向を改めて振り返り、コロナが収束しても得られるメリットや開催形式、オンラインイベントにおすすめのツールを解説します。
参照:2021年Peatixイベント調査レポート 、令和4年7月入域観光客統計概況(令和4年8月30日発表)
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Peatixイベント調査レポートによると、2020年4月6日の緊急事態宣言以降、80%ものイベントがリアルの場からWebの場へと移行し、イベント開催の形はインターネットを介して実施するオンラインイベントが主流となりました。
それ以来、オンラインイベントは入社式や社員総会などの社内イベント、自社セミナーや新商品発表会、展示会、株主総会など社内外で多岐に渡って実施されています。
このように、リアルイベントからオンラインイベントへの転換のきっかけは新型コロナウイルス感染症といえるでしょう。しかしオンラインイベントのメリットは、感染症対策だけではなく、自宅から気軽に参加でき、企業側もコスト削減につながる、といったものもあります。
そのため、新型コロナウイルス感染症が沈静化した後でも、オンラインイベントは開催されると予測できるでしょう。実際に2021年の株式会社ブイキューブの調査によると、コロナ禍収束後もオンラインイベントを希望する人は8割以上にのぼっています。
その一方、ぴあ総研は「もし2022年3月までにイベント開催制限が完全撤廃されるならば、ライブ・エンタテインメント市場は早ければ2023年にコロナ前の水準に回復する可能性がある」と発表しました。このようにリアルの場に人が戻ると予測されている現在、注目されているイベントの形がハイブリッド型イベントです。
ハイブリッドイベントとは、リアルイベントとオンラインイベントを同時に実施するイベント形式です。
現に、東京ゲームショウ2022は、千葉県幕張メッセのほか、オンライン上のバーチャル会場にて同時開催されるハイブリット型イベントでした。出店企業は605、リアルの来場者は14万人にも上り、盛況を博したそうです。
以上のことから、コロナ禍を経て新たな価値を見出されたオンラインイベントは、リアルイベントに人が戻ったとしても、継続して開催されると予測できます。
パソコンやスマートフォンなどの端末とインターネット環境さえあれば参加できるオンラインイベントは、人と対面せずに自宅に居ながら参加できます。そこでコロナ対策の一環である三密回避の手段として普及しました。
しかし前章でも触れたようにオンラインイベントには、コロナ対策に留まらないメリットがあります。一つは遠方から簡単に参加できること、もうひとつは金銭的・時間的コストを抑えられることです。それぞれ詳しく解説します。
オンラインイベントはインターネット環境さえあれば参加できるため、開催地からどんなに離れた場所に住んでいても参加できます。たとえば、福岡県在住の人が東京都の催しに参加するとしたら、従来のリアルイベントであれば、片道の移動時間だけでも飛行機で約1時間20分、新幹線で約5時間もの時間が必要です。
そのため、リアルイベントの参加に際しては、移動にかかる時間や日程を考慮して参加の可否を決めなくてはなりません。
これに対してオンラインイベントであれば、インターネット環境がある場所であればどこからでも参加でき、会場に向かうまでの移動時間を考慮せずにスケジュールを組めます。イベントの参加の可否が地理的な条件に左右されないため、交通や宿泊の準備をする必要もありません。結果として、より多くの参加者を募ることができるようになります。
主催者にとっては、今まで接点のなかった人にアプローチできるようになり、参加者、主催者両方ともメリットがあるといえるでしょう。
リアルイベントでは会場費、人件費、機材費、企画費、制作費などの費用がかかります。しかしオンライン開催となると、インターネット上に会場を用意するため、会場の用意は必要なくコストは安く済みます。
ハイブリッドイベントを開催するとしても、従来のリアルイベントより会場を小規模にしてコストを抑えるという選択肢も生まれるでしょう。オンラインイベントは会場までの移動が必要ないことから、参加者、主催者双方において、交通費や宿泊費を削減できるメリットもあります。
それぞれどのようなものか解説します。
セミナー形式は主催者側が情報を発信し、参加者はそれを視聴する形のイベントで、ウェビナーとも呼ばれています。固定の発信者に対し視聴者は複数人です。このことから1対N型とも呼ばれています。
基本的に視聴者は参加しない形式であるため、コミュニケーションは一方通行です。ただし気持ちを表現できる絵文字やスタンプを押せる機能、コメントをリアルタイムに書き込めるチャット機能などを利用し、参加者からの反応を求めることも可能です。
セミナー形式のオンラインイベントは、社内外の講演会や社外向けの自社セミナー、新製品発表会、社内向けの社長訓示、入社式、社員総会などで利用されます。
発信者がリアルタイムでイベントを実施し、視聴者はチャット機能などを使って質問や意見を発信する形をWeb会議形式といいます。特徴は相互にコミュニケーションを取れることで、セミナー形式が1対N型と呼ばれるのに対し、Web会議形式はN対N型と呼ばれています。
イベントには実施時間が決まっているため、参加者が数十人~数百人規模だと、全員とコミュニケーションするのは困難なケースもあります。こういった場合は、イベント内で複数のグループ分けするブレークアウトルーム機能があるツールを利用して、次章のテーブル形式として開催するほうがよいでしょう。
Web会議形式のオンラインイベントの主な用途は、座談会、説明会、社内研修、オンライン授業などです。
参加者の人数が多くても双方向にコミュニケーションを取れるイベントが可能な形式がテーブル形式です。これはオンライン上で少人数のテーブル(グループ)に分かれ、講義を受けたりディスカッションを行ったりできる形式です。
テーブル形式であれば少人数で全員とコミュニケーションを取る時間を確保できるため、大人数でも開催可能です。テーブルとテーブルの間を自由に行き来できるツールを使えば、好きなテーマのテーブルを選んで自由に参加できるイベントにしたり、ゲストが各テーブルを順番に周ったりできます。
ブレークアウトルームが作成できるツールであれば、テーブル形式としてオンラインイベントを開催可能です。この形式は社内外の展示会や懇親会、合同説明会、合同カンファレンスなどに採用されています。
オンライン上に疑似会場を作り、各ブースに動画やPDF資料、URLリンクなどのコンテンツを設置して情報を発信できる形式がメタバース形式です。参加者はアバターというキャラクターを操作して会場内に入りブースを回ります。そのため、まるで仮想空間のなかに実際に自分がいるような感覚になり、オンラインでありながらリアルイベントに参加しているようになる点が特徴的です。
一部のブースにウェビナー動画を設置し、別のブースでテーブル形式のイベントを行うなど、複数の形式のオンラインイベントを同時に実施する方法もあります。用途は合同展示会や展示即売会、社員総会などです。比較的規模が大きく、臨場感や盛り上がりが求められるイベントに向いています。
オンラインイベントの最適なツールやプラットフォームは、開催の形式によって異なりますが、なかでもおすすめするツールがZoomです。
世界75万以上の企業や団体に選ばれているZoomは、Web会議に使うツールであるとイメージしている人も多いのではないでしょうか。このWeb会議を実施する機能であるZoom ミーティングを使えば、Web会議形式のオンラインイベントが開催できます。
少人数のグループに分割できるブレークアウトルーム機能を使えば、テーブル形式のオンラインイベントも可能です。
また、Zoomにはオプション機能で、Zoom ウェビナーも利用できます。Zoom ウェビナーはセミナー形式のオンラインイベントに特化していて、参加者がパネリストだけに注目できるようになっています。
すでにZoomを導入している企業なら、操作感がわかりやすいため、オンラインイベントの準備もそつなく進められるでしょう。
オンラインイベントにZoomが使われる理由はこれだけではありません。Zoomには事前登録ページを作成できる機能があります。これを使って事前登録を義務付けておけば、参加者予定のリストや実際の参加状況をCSV形式でエクスポート可能です。参加者リストの作成や出席の確認の手間が大幅に省けるでしょう。
また、Zoomは主要CRMやマーケティングオートメーションシステムと連携可能です。これを活用してオンラインイベントを開催すれば、参加者の管理やアフターフォローなどの持続的な関係づくりをスムーズにできます。
オンラインイベントには感染対策になるほか、遠方からでも簡単に参加できる、コストを抑えられるというメリットがあるため、コロナ禍が終息したあとでも利用され続けると考えられます。
ただし、人々がリアルの場に戻りつつある今は、リアルイベントとオンラインイベントを同時開催するハイブリッドイベントという形も注目を浴びるようになっています。
オンラインイベントを開催するときには、どのような形式が適切なのか検討しつつイベントプランを練ってみましょう。セミナー形式やWeb会議形式、テーブル形式で開催するのであれば、Zoomの利用がおすすめです。