周年記念は、単に企業が長く続いたことを「お祝い」するためだけのイベントではありません。自社の過去を振り返り、これから目指すべき未来へのビジョンを全社で共有することで、極めて重要な「経営戦略」を問い直す機会です。
また、コロナ禍を経て周年記念のトレンドも変化しています。近年では、会場でのリアルイベントとオンライン配信を組み合わせた「ハイブリッド開催」や、パーティーの豪華さよりも「SDGs」や「社会貢献」を意識した取り組みが注目されています。さらに、経営側が一方的に開催するのではなく、社員が主体となって企画を進める「ボトムアップ型」のプロジェクトが増えているのも特徴です。
意外と混同しやすいのが「周年」と「年目」の使い分けです。
例えば、2000年創業の場合、2010年は満10年の「10周年」であり、同時に「11年目」のスタートとなります。
また、記念日の基準として「創業(事業開始)」「設立(法人登記)」「創立(組織立ち上げ)」などの言葉がありますが、迷った場合は「登記簿上の設立日」を基準にするのが一般的です。
周年記念を成功させるために最も重要なのは、「誰のために」「何のために」行うのかという目的を明確にすることです。目的は大きく「社内向け」と「社外向け」に分けられ、それぞれ得られる効果が異なります。
社内向けの最大の目的は、エンゲージメントの向上です。日々の貢献に対する慰労と感謝を伝え、従業員満足度(ES)やモチベーションを高めることにあります。また、普段は意識する機会の少ない創業の精神や企業理念(ミッション・ビジョン・バリュー)を改めて共有し、組織文化を醸成する絶好の機会でもあります。イベントなどを通じて部署を超えた交流の場を設けることで、社内コミュニケーションを促進し、組織の一体感を高めることも期待できます。
社外向けの目的は、取引先、顧客、株主、協力会社など、長年支えてくれたステークホルダーへ感謝を伝えることです。「長く続いている企業」であること自体が強力な実績となり、相手に安心感を与え、信頼関係をより強固なものにします。さらに、これまでの歴史を振り返るだけでなく、今後のビジョンや新規事業の方向性を対外的に発表する場としても有効です。企業のブランド価値を高めるだけでなく、周年を機にリブランディングを行うケースも多く見られます。
周年記念事業は、通常の社内イベントとは異なり準備期間が長期にわたるため、計画的な進行が不可欠です。直前になって慌てないよう、一般的なスケジュールの流れを把握しておきましょう。
特に大規模な会場を使用する場合や、こだわったクリエイティブを制作する場合は、1年前からの始動が理想的です。ここでは、開催当日までの標準的なステップを解説します。
まずはプロジェクトの基盤作りからスタートします。
骨組みが決まったら、具体的なコンテンツ制作と運営準備に入ります。
「周年記念=堅苦しい式典」というイメージをお持ちではありませんか? 「せっかくの機会だから、ありきたりなことはしたくない」「社員が心から楽しめるものにしたい」という担当者様に向けて、具体的で効果的なアイデアをカテゴリ別にご紹介します。
定番の形式から、社員の家族を巻き込む形まで、目的や社風に合わせて選定しましょう。
形に残る制作物も、見せ方を工夫することでマンネリを回避し、より伝わるものになります。
社外への発信力を高め、認知拡大やファン作りにつなげるための施策です。
多くの企業が陥りやすい失敗を回避し、プロジェクトを成功に導くためには、以下の4つの要点を押さえておく必要があります。
周年記念において最も避けるべきなのは、「あれもこれも」と要素を詰め込みすぎて、結局何が言いたいのか分からなくなってしまうことです。 例えば、「社員を労いたい」のか、「社外へ技術力をアピールしたい」のかによって、最適なプログラムや演出は全く異なります。「誰に」「何を」伝えるのかというコンセプトを初期段階で固め、準備の途中で迷ったらいつでも立ち返れる「軸」を作っておくことが重要です。この軸がぶれないことで、一貫性のあるメッセージが伝わり、参加者の心に残るイベントになります。
周年プロジェクトを一部の担当者や役員だけで進めてしまうと、現場の社員にとっては「やらされ仕事」になりがちで、当日に社内が白けてしまう原因になります。 成功の鍵は、いかに多くの社員を巻き込み、当事者意識を持たせるかにあります。例えば、若手社員や部署横断のメンバーで実行委員会を組織したり、記念品のデザインやキャッチコピーを社内公募やアンケートで募ったりするのも効果的です。プロセスから参加してもらうことで、イベント当日を全員で作り上げる「自分たちの記念日」へと昇華させることができます。
長期間にわたる周年事業では、当初の計画通りに進まないことが多々あります。特に制作物の修正回数が重なったり、演出機材の追加発注が必要になったりと、予期せぬ出費や遅れはつきものです。 ギリギリの予算やスケジュールで組んでいると、突発的なトラブルに対応できず、クオリティを落とさざるを得なくなります。最初から全体スケジュールの1〜2割程度の余裕(バッファ)を持たせて計画を立てておくことが、不測の事態を防ぎ、担当者の精神的な余裕にもつながります。
イベント当日の成功で満足してしまいがちですが、周年記念事業は「やって終わり」ではありません。 開催後に、社内報で当日の様子をレポートしたり、Webサイトでステークホルダーへ報告を行ったり、サンクスメールを送付したりするまでが周年事業です。イベントで高まった熱気や一体感を冷まさないよう事後フォローを行うことで、感謝の気持ちがより深く伝わり、次の周年に向けた企業の成長エネルギーへとつながっていきます。
記念品選びの基本は、「記念に残るもの」と「実用性」のバランスです。
詳細は専門のカタログなどで確認し、相手の負担にならないものを選びましょう。
周年記念は、過去の歩みを労い、未来への結束を固める絶好のチャンスです。準備は大変ですが、明確な目的を持って取り組めば、必ず企業の成長につながる大きな資産となります。まずは早めの準備スタートから、最初の一歩を踏み出してみてください。
そしてもし、「リアル開催だけでなくオンライン配信も視野に入れている」「企画コンセプトの設計から運営までまるごと相談に乗ってほしい」という場合は、ぜひ一度、株式会社ブイキューブにご相談ください。周年記念イベントの事例も数多くございます。
こうした記事を公開しているのは、お客様の目線に立ちたいからです。そのためには最初のヒアリング、課題共有がもっとも大事だと考えております。弊社のプランナーが壁打ちから入らせて頂きますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。