企業にとって電話は、顧客と直接コミュニケーションが取れる重要なツールです。しかし、コミュニケーション方法の多様化やリモートワークの普及、人手不足などを理由に対応業務が負担となっているケースも見られます。
楽天コミュニケーションズの調査によると、64.4%の中小企業が「電話対応に課題がある」と回答。理由としては「対応する人がいない」「人材が不足している」などが挙げられました。
参照:楽天コミュニケーションズ、「中小企業の電話対応に関する実態調査」結果を発表 | 楽天コミュニケーションズ株式会社
そこで本記事では、電話対応業務の効率化を図るCTIとPBXの仕組み・連携について解説します。CTIとPBXを連携させることで、対応業務の効率化だけでなくコスト削減なども実現できるでしょう。
CTI(Computer Telephony Integration)とは、コンピューターと電話・FAXシステムを連携させる技術です。これにより、電話の発着信・通話の転送・録音・履歴の管理などの機能がコンピューターで制御できるようになります。
例えば、電話対応が業務の中心となるコールセンターでは、CTIが大いに活躍するでしょう。顧客情報の自動表示や通話内容の記録、ワンクリックによる電話発信などが可能となり、業務効率化を促進します。
さらに、業務プロセスを自動化することで、人的ミスの減少・対応時間の削減につながる点もメリットです。
PBX(Private Branch Exchange)とは、企業内の電話交換機のことで、複数の電話機で同一回線を利用するための装置です。外線と内線を接続し、社内の電話システムを管理します。
従来のPBXは、物理的な機器としてオフィス内に設置しなければなりませんでした。専用回線の敷設やメンテナンスも自社で対応が必要なため、初期費用やランニングコストの大きさがネックといえます。しかし近年では「クラウドPBX」と呼ばれる仮想的なPBXが普及し、低コストによる導入が可能となりました。
クラウドPBXは、物理的な機器を必要とせず、インターネットを介してどこからでもアクセスできる電話システムです。ベンダーが提供するサービスを利用するためメンテナンス不要で、柔軟性が高くコスト削減にもつながります。
PBXは企業内の電話システムを管理するシステムですが、単独では基本的な通話管理(発信・着信・転送・保留など)に限られます。一方、CTIはコンピューターを使ってPBXの機能をさらに拡張し、電話システムとさまざまなアプリケーション(CRMシステムやERPシステムなど)を連携できる点が特徴です。
CTIとPBXの連携は、さまざまな機能が利用できるようになることから、コールセンターのような電話対応が多い業種に向いています。例えば、顧客情報や対応履歴の自動表示により迅速な顧客対応が可能です。通話の振り分けを自動的に行うことで、業務の均等化が図れ、生産性の向上も実現できます。
CTIとPBXの連携で業務プロセスが自動化されることにより、作業負担の軽減や顧客満足度の向上などが期待できるでしょう。
CTIとPBXの連携によって利用できる主な機能には、次のようなものがあります。
主な機能 |
特徴 |
自動発信(オートダイヤル) |
・画面上でワンクリックするだけで、自動的に電話発信ができる ・リストに従って迅速かつ大量の発信が可能 ・電話番号の打ち込み作業がないため誤発信を防げる |
着信ポップアップ |
・着信時に通話相手の顧客情報(名前・取引履歴・サポート履歴など)が自動的にポップアップ表示される ・オペレーターは事前に顧客情報を把握でき、迅速かつ的確な対応が可能になる |
通話履歴の自動記録 |
・通話の内容や履歴が自動的に記録され、CRMシステムや他の業務アプリケーションに保存される ・通話後の参照や分析が簡単になり、顧客対応の質を向上できる |
インタラクティブ・ボイス・レスポンス(IVR) |
・顧客からの電話をガイダンスに従って適切な窓口へ自動的に転送する ・自動音声応答システムを構築できる ・顧客対応の効率化や問い合わせの早期解決につながる |
通話録音と分析 |
・通話内容をデータとして保存でき、通話品質の管理や顧客対応の改善に活かせる ・録音した通話を分析することで、対応の改善点やトレーニングの材料にできる |
スキルベースルーティング |
・顧客からの着信を、最も適した担当者(スキルや経験に基づく)に自動で振り分ける ・発信者の待ち時間短縮と担当者とのマッチング精度を向上できる ・顧客満足度を向上につながる |
CTIは、PBX以外にも以下のようなアプリケーションと連携が可能です。いずれもCTIとの連携により、顧客情報と通話履歴・通話内容を紐づけ、管理ができます。
PBXは電話システムを管理する機能ですが、近年のクラウド化によりCTIの機能を有するクラウドPBXも登場しています。これにより前述のような機能をクラウドPBX1つで実現できるようになりました。
例えば、Zoomが提供するクラウドPBX「Zoom Phone」もその1つでしょう。日本では2021年からサービスが開始され、高い通話品質と機能の豊富さが特徴です。料金は4つのプランから選べますが、契約にはZoomミーティングのアカウントと「5ライセンス以上かつ年間契約」が必須となります。
以下は基本機能の一部です。
主な機能 |
特徴 |
共有ライン |
グループ内で電話番号と各種電話機能を共有できる |
内線通話 |
内線電話化したデバイス同士で通話が可能 |
コールキュー |
特定の着信に対して、呼び出しルールを設定できる |
自動転送 |
特定の着信に対し、担当者や外部の電話番号へ自動的に転送できる |
コールパーク |
通話を保留し、別のデバイスから再開できる |
保留機能 |
保留中の通話を簡単に再開できる |
自動応答 |
さまざまなシーンを設定した自動応答を設定できる |
通話録音 |
自動あるいは手動で通話内容を録音できる |
営業時間設定 |
時間帯に合わせて受発信のルーティングを管理できる |
Zoom ミーティング |
Zoom Phoneの通話をそのままZoom ミーティングに昇格・転送できる |
連携できるアプリケーション |
Salesforce、Slack、Microsoft Teams、Google Workspaceなど |
また、「コールログ(受発信のログを取得)」「通話モニタリング機能」「デバイス管理」など、管理者向けの機能も備えています。その他、IP電話番号を追加できる「国内050番号追加」や、一般固定電話と同じ形式の番号が使用できる「国内0ABJ番号追加」などのアドオンも追加可能です。
電話対応業務の課題解決には、CTIとPBXの導入・連携が役立ちます。コールセンターのような電話対応が中心となる業種では、電話システムとアプリケーションを連携させることで、業務プロセスの自動化が実現し、業務の効率化と負担軽減につながるでしょう。また、生産性と顧客満足度の向上も期待できます。
今回紹介したZoom Phoneは、設備コストを抑えながらCTI・PBXを導入したい方におすすめです。ブイキューブではトライアルにも対応していますので、希望する際にはお問い合わせください。