2022.07.13
働き方改革が進められているうえに新型コロナウイルスが流行したことで、インターネットを活用したテレワークを導入する企業は急増しました。総務省が発表した「令和3年通信利用動向調査」によると、テレワークを導入している企業の割合は51.9%に達しています。
また、ワクチンが普及したアフターコロナの働き方として注目されている方法が、テレワークと出社を組み合わせたハイブリッドワークです。このようなリモートワークやハイブリッドワークにおいて、業務上のやり取りをしたり外部とのミーティングをしたりするためには、Web会議システムが便利です。
Web会議システムを導入しテレワークやハイブリッドワークがスムーズになったものの、画質や音質、それぞれの端末の設定などで新たな問題に直面する企業も出てきました。たとえば複数人同士でWeb会議システムを使って会議をする際、使用する個人のパソコン端末それぞれでマイクや音量の調整が必要となり時間を取られるケースがあります。
Web会議システムで大人数の会議を行うと、ネットワークの接続が安定せず、音質や画質が悪くなり、オンライン会議に集中できないといった問題もあるでしょう。
グループ対グループでこのような問題に直面しているなら、Web会議システムよりもテレビ会議システムのほうがおすすめです。テレビ会議は通信の安定性が高く、専用機器を会議室に置いて使う仕組みのため、個人のパソコンをそれぞれ個別に設定する必要がありません。
本記事ではテレビ会議の解説と選定のポイント、おすすめのテレビ会議システム4選を比較して紹介します。テレビ会議システムの選び方に迷っている担当者はぜひ最後までお読みください。
テレビ会議とWeb会議は同じものだと思っている人もいますが、本来はそれぞれ別のツールを差しています。
テレビ会議とは、会議室にオンライン会議を行うために設置する専用機器を常設して使用するという特徴があります。会議室のなかをすべて映し出せるため、複数人で同時にオンライン会議に参加可能です。そのため、参加メンバーが一人ひとりオンライン会議接続用の端末を持ち運ぶ必要はありません。
専用回線を使用することから通信も安定していて、大勢で参加しても画質や音質が悪くなりにくいという特徴もあります。以上のことから、テレビ会議は国内外の拠点間会議や役員会議、カンファレンス、本社と現場の空間共有など、拠点の部屋と部屋をつなぎたいとき、安定した画質や音質が必要なときに便利でしょう。しかし、近年ではインターネットを使用して接続するテレビ会議システムもあります。
Web会議システムとの違いは、使用するツールにもあります。Web会議システムはパソコン等の端末単位で使うのに対し、テレビ会議システムは専用機器を使用します。それぞれ使用するアプリケーションのアカウントやパソコンを用意する必要はありません。
テレビ会議は大人数のオンライン会議に向いており、綺麗な映像と音声で臨場感のあるやり取りができるというメリットがあります。一方、Web会議システムよりも導入や維持にコストがかかる点には注意が必要です。
導入を検討する際は、選定ポイントをチェックし、自社のニーズを満たす製品を探すようにしましょう。ここでテレビ会議システムを選ぶ際に確認すべき4つのポイントを解説します。
現在利用しているWeb会議システムがある場合は、まずそのWeb会議システムがテレビ会議システムを提供しているかどうか調べてみてはいかがでしょうか。同じ会社が提供するシステムであれば、セットアップや調整、操作の方法が似ている場合が多いため、導入や連携をスムーズに進められます。
Web会議システムのオプションとして、新しく契約せず今の契約に追加して利用できる製品もあります。
テレビ会議システムのプロトコルが標準規格(h.323)に準拠していると、ほかのWeb会議システムと接続ができます。プロトコルとは、情報を送受信するために音声や映像、データ圧縮などの方式を定めた手順を指します。
テレビ会議とWeb会議システムが連携できればツールの活用の幅が広がります。オンライン会議だけでなく、会議室とテレワークをしている人をつなぐことも可能です。オフィスワークとテレワークを組み合わせたハイブリッドワークでのコミュニケーションツールとしても役立てられるでしょう。
テレビ会議では内部資料や機密情報を共有するため、セキュリティ対策ができているテレビ会議システムを選ばないと、情報漏えいのリスクがあります。たとえば以下のような機能があると効果的です。
ミーティング参加者のみにIDとパスワードを付与する機能です。通信相手が本人であると確認できます。
通常のID・パスワード認証に加えて、電話番号やメールなどを使って本人確認を行う機能です。万が一ID・パスワードだけの認証よりもセキュリティが強固なため、アカウントの乗っ取りやなりすまし行為などを防止できます。
送受信する通信データに鍵をかける機能です。外部から通信を傍受できないようにします。
インターネットから分離したネットワークでオンライン会議の接続ができる機能です。不特定多数が利用できるインターネットとはつながらないため、ウイルス感染や侵入、盗聴、情報流失などのリスクを回避しやすくなります。
パソコンやタブレットなどのデバイスごとに割り当てられているIPアドレスを指定して、会議に参加できる端末を制限できる機能です。許可していないデバイスは会議に参加できないため、所持者不明の不審な端末からの参加を防げます。
テレビ会議は専用回線による接続が一般的でしたが、近年はインターネットで利用できるツールが増えました。特に利用されている接続方式がIP接続です。IP接続は、VPNを始めとした企業IPネットワークを利用してテレビ会議を接続する方式です。
IP接続は、専用回線を契約するよりも安くテレビ会議システムを利用できるというメリットがあります。ただし既存の企業IPネットワークを利用する場合は、通信帯域を圧迫しないようにテレビ会議を導入する必要があります。
既存のIPネットワークの通信帯域を圧迫してしまうと、通信が遅延したり、ネットワークがダウンしたりする懸念があるためです。場合によっては新しいIPネットワークの構築も検討しなければならないでしょう。
テレビ会議の中にはIPネットワークではなく、インターネット回線で利用できる製品もあります。セキュリティ面ではIPネットワークよりも劣りますが、複雑なネットワーク設定が必要ないため、導入や運用がスムーズであるメリットがあります。
ここからは4つのテレビ会議システムを比較して解説します。ここでご紹介する4つのテレビ会議システムは、いずれも各Web会議システムのオプションとして利用できるテレビ会議システムです。導入する際は会議室単位でライセンスを追加します。ここではそれぞれの特徴を解説するので、サービス比較の参考にしてください。
Zoom Roomsは、Web会議システムZoom ミーティングを提供するZoom社のテレビ会議システムです。パソコンではなく据え置きの専用機器を使って、会議室でZoomによるオンライン会議を開催できます。それぞれ必要デバイスを準備する方法もありますが、マイクとスピーカー、コントローラー、カメラが一体型となったシステムからも選べます。
Zoom Roomsライセンスを契約すれば、追加コスト不要でデジタルサイネージを利用できるオプションもあります。専用のディスプレイをテレビ会議で使っていない間は、ディスプレイ広告や電子掲示板として活用できるため、社内の情報共有に使ったり、来客に向けて情報を告知したりできます。
Zoom RoomsはZoomのサイトから直接契約する以外に、ブイキューブ社を通して代理店契約をする方法もあります。直接契約ではできない請求書支払いに対応できる他、サポートや必要な情報提供も受けられるため、導入に不安がある人は一度問い合わせしてみてはいかがでしょうか。
Google Meet ハードウェアは、Web会議システムGoogle Meetを使うことができるデバイスやテレビ会議システムです。機器は自社で組み合わせるタイプもあれば、ディスプレイやカメラ、スピーカー、接続機器がセットになったキットもあり、ニーズに合わせて選べます。
2021年にはディスプレイ一体型ツールであるSeries One Desk 27とSeries One Board 65が発表されました。カメラやスピーカーはもちろん、デジタルホワイトボードアプリも内蔵されているため、ホワイトボードを用意しなくても絵や図を用いる会議が行えます。
Google Meetの利用を想定したテレビ会議システムですが、別のWeb会議システムの使用も可能です。
Microsoft Teams Roomsは、Microsoft社が提供するWeb会議システムMicrosoft Teamsを利用できるテレビ会議システムです。機器はPolyやHP、YAMAHAなどの様々なメーカーから登場しています。
接続機器とスピーカー、カメラなどがセットになった製品も多く、テレビ会議をゼロから導入する企業も選びやすいでしょう。製品は、3〜5人用のスペース向けや、中規模スペース向け、大規模スペース向けから選べます。
Cisco Webex Roomはシスコシステムズ合同会社が提供しているテレビ会議システムです。接続機器やディスプレイ、スピーカー、マイクが一体となった製品は6種あり、会議室の規模に応じて選ぶことができます。ディスプレイを組み合わせられるシステムも6種類から選べるため、すでに自社にあるディスプレイにつなげて使うことも可能です。
これらのツールでWebex Meetingを使ってオンライン会議をすることができます。Webex Meetingは日本語だけでなく、英語、フランス語、イタリア語など多言語に対応しているWeb会議システムです。エンタープライズプランであれば、1,000人規模のオンライン会議ができます。
Zoom Rooms |
Google Meet ハードウェア |
Microsoft Teams Rooms |
Cisco Webex Room |
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インターネット回線の利用 |
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外部Web会議連携 |
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セキュリティ機能 |
暗号化 パスワード設定 ユーザー管理 ログ管理 アクセス権限機能 IPアドレス制限 二段階認証 |
ユーザー管理 アクセス権限機能 IPアドレス制限 暗号化 パスワード設定 二段階認証 |
ユーザー管理 デバイス制限 暗号化 二段階認証 |
ユーザー管理 アクセス権限機能 暗号化 パスワード設定 |
専用機器を設置して使うテレビ会議システムは、Web会議システムよりも通信が安定しており、多人数対多人数のオンライン会議に向いています。鮮明な映像や聞き取りやすい音声で通信できる点もメリットです。
すでに導入しているWeb会議システムで規模の大きいオンライン会議をする際に課題を感じている場合は、テレビ会議システムでその課題を解決できる可能性があります。選定のポイントを踏まえ、自社に合うテレビ会議システムを探してみてはいかがでしょうか。