クリエーターが自由に会話できる作業通話アプリ
開発者が注目したのは「Agora」の優れた音声品質
デザイナーやイラストレーターなどの若いクリエーターの間では、通話アプリを使って「おしゃべり」をしながら一緒に作業をする文化が存在する。グループインタビューを通じ、そのトレンドをいち早くつかんだミクシィの新規事業開発室では、クリエーターの「おしゃべり」に特化した通話アプリ「mocri」(もくり)の開発に着手。多くの音声通話プラットフォームを検証した結果、音声通話SDKである「Agora」を採用した。映像によるコミュニケーションはあえて排除し、あくまでも音声の品質と安定性を求めた開発チームは、「Agora」を選んだ理由に優れた音声品質と安定性を第一に挙げた。
クリエーター用作業通話アプリにおける課題
一般的な通話アプリは音声が不安定
作業通話の経験者に対するヒヤリングでは、広く一般的に使われている通話アプリで通話が途切れたり、音声が遅延する点に不満の声もあった。
既存の通話アプリはUIが複雑
積み重ねで開発されたアプリや、ゲーマー向けの多機能のアプリはUIが複雑で使いにくく、簡単・気軽に作業通話を始めるのに適していない。
開発・運用のコストが膨大
新たに作業通話アプリを開発する際に、すべてをゼロから行うと、開発および運用で大きなコストが必要になる。
「Agora」でこう解決!
複数製品を比較した結果、高音質の「Agora」を採用
海外の競合製品も含めて多数の音声通話プラットフォームを比較したが「Agora」の音声品質と安定性に優位性。
社内に音声専門のエンジニアがいないため、開発当初から外部の音声通話プラットフォームの利用を想定していたが、比較検証した製品の中でもっとも高品質だったのが「Agora」であった。
音声通話SDKをベースに気軽に使えるシンプルなUIに
「mocri」のユーザーは各々が作業をしながらの「おしゃべり」を楽しむために、気軽に会話できるシンプルなUIが適している。
アカウントを作成し、決まった相手との会話が可能な「ルーム」か、フレンドであれば誰でも入室できる「フリースペース」で気軽な会話が行える。
開発期間中は無料で使える 運用フェーズも低コストで運用
海外の音声通話プラットフォームの中には開発期間中もコストが発生。機能の追加や改善によるアップデートなどにかかる運用コストも低減。
「Agora」なら開発期間中はノーコスト。開発コストを低減し、購入手続きなどの社内手続きも必要なく、スムーズな開発を実現した。
「Agora」選定のポイントは?
音声の品質は高く、安定しているか?
複数ユーザーが会話する通話アプリとして、高い音声品質と安定性を確保できること。
- 複数ユーザーによる会話を、高い音声品質で実現
- 音声遅延などの障害・トラブルは、ほぼゼロ
開発を低コストで、スムーズに行えるか?
開発や運用にかかるコストが低く、スムーズに実装できること。
- 開発期間中はコストゼロ、運用コストもリーズナブル
- 使いやすいSDKで簡単に実装
お客様の声
グループインタビューから生まれた「mocri」のアイデア
株式会社ミクシィ Vantageスタジオ 新規事業開発室 後藤 清豪 氏
ミクシィでプロダクトマネージャーとして、新しいアプリなどを企画し、実際に開発することをミッションとしています。「mocri」のアイデアは、高校生や大学生などの若者を対象に行ったグループインタビューの中から生まれました。
インタビューを元に「自己実現活動をコミュニケーションサービスで支援する」という方向性を見定めた段階で、さらに調査を進めたところ、目的意識やモチベーションの高い若者の中でも、特にデザイナーやイラストレーター、あるいは漫画家といったクリエーターと呼ばれる人たちの間で、通話アプリを使って「おしゃべり」をしながら一緒に作業をする文化が生まれていることを知りました。彼らは、まるで学校の自習室に集まって一緒に作業をするように、気軽に会話をしながらイラストや漫画を描いているのです。その新しい文化に対応したアプリを作るのはどうだろう、というアイデアを思いついたのです。
開発に際しては「簡単に使えること」「とっつきやすく気軽に参加できること」「音声の品質が高く安定していること」を条件に挙げました。
社内に音声専門のエンジニアがいないため、開発当初から音声通話プラットフォームは外部のものを使う前提でした。ですので、まずはWebRTCベースのプラットフォーム製品の情報収集からスタートしました。情報収集開始から数か月後、あるブログに「Agora」の情報が載っているのを見つけ、サンプルを取得し、評価を開始したのです。
品質と安定性に優れている点で「Agora」を評価
クリエーターたちの多くは、世界的に普及している無料の通話アプリを使って作業通話をしているケースが多いのですが、会話が途切れたり、遅延などが生じているという声を耳にしました。通話アプリで会話が途切れたり遅延すれば「おしゃべり」は成り立たないことから「mocri」ではそうした障害を発生させないことが大前提です。
各種の音声通話プラットフォームを試す中、「Agora」の音声品質の高さが際立ちました。トラブルはほぼなく、安定性もダントツでした。様々な競合製品とも比較しましたが、「Agora」は突出していました。
また、通話アプリとしての「mocri」は、今後もさらに進化を続けていきますので、バージョンアップなど、導入後の運用コストも自社開発に比して大きく抑制することも見込んでいます。
「Agora」を活用した作業通話アプリ「mocri」を正式リリース
2019年9月、ミクシィは「Agora」を活用した作業通話アプリ「mocri」を正式リリースした。「mocri」は、デザイナー、イラストレーター、漫画家といった「クリエーター」のための通話アプリ。若いクリエーターを中心に通話アプリで「おしゃべり」をしながら一緒に作業をする文化が生まれている中で、「mocri」は作業通話に特化し、シンプルなインターフェースで簡単に使えるのが特徴だ。
ふらっと集まれる作業通話アプリ
「mocri」をひとことで言うと「ふらっと集まり、簡単に会話できるアプリ」だ。従来、多くのクリエーターは、世界的に利用されている無料の通話アプリを活用して作業通話を行ってきたが、通話したい人のアカウントやIDを把握してコールする必要があった。「mocri」は、その場所に集まったら通話が自動的に始まる、まさにバーチャル空間における「気軽に作業通話ができる場」となっている。
とにかく簡単に使える通話アプリ「mocri」
「mocri」の最大の特徴が音声通話に特化したアプリであること。ビデオ通話などの機能を持たず、あくまでも音声通話に機能を集中させている。そのハイクオリティな音声通話を支えているのが「Agora」だ。
使い方は簡単、アカウントを作成してルームを作るだけ
「mocri」の使い方は極めてシンプルだ。App StoreかGoogle Playからアプリをダウンロード・インストールし、アカウントを作成。アカウントはメールアドレス登録かTwitterで連携登録する。Twitterでの連携登録では「mocri」の初期設定を自動で完了。アカウントを作成したらルームを作り、フレンドを追加する。登録されたフレンドがルームに入ると、自動的に通話が始まるという仕組みだ。
ルームのほかにフリースペースも
「mocri」ではルームの他に、フレンドなら誰でも入れるフリースペースも用意されている。ルームでは、最大6名のフレンドを限定して作業通話を楽しめるが、フリースペースではフレンドであれば誰でも入室可能(最大20人)。多くの仲間との作業通話からアイデアをつかんだりするなど、幅広い活用法を見込んでいる。