「画質の向上」と「タイムラグの発生」を一気に解決
システム管理の負担も大幅に軽減
実際のクレーンゲームをスマホやPCから操作して楽しめるオンラインクレーンゲーム。DC7では、同ジャンルの黎明期からサービスを提供している。一般的なオンラインゲームと異なり、ユーザーは実際の筐体を複数のカメラで同時に撮影した動画を見ながら操作するため、タイムラグのない動画や、トラブルの少ない配信システムが必須となっていた。同社では、サービス開始5周年を迎えたタイミングで、サービス品質の向上を目的に「Agora」を導入。「Raspberry Pi」(ラズベリーパイ)を用いたシステムから脱却し、今後5年を見据えた運用環境を構築するとともに、現場の管理業務の負担を軽減した。
オンラインクレーンゲーム配信における課題
Raspberry Piに高負荷がかかりトラブルが頻発
配信は24時間365日。カメラ内のSDカードに載せたRaspberry Piからmotion-JPEGで配信していたが、高負荷からトラブルが頻発していた。
サーバーを手動で管理するため、メンテナンスが煩雑
トラブルの解決のために筐体ごとにサーバーを起動するなど、運用コストが増大していた。
動画の仕様は日々変化するため、自社開発の負荷が
Flashの終了、4Kや8Kの高画質への対応など動画の視聴環境は日々変化している。配信システムを自社開発した場合、新たな仕様に対応するコストが懸念されていた。
「Agora」でこう解決!
Raspberry Piを置換
複数カメラを1台のPCで一括管理
連続使用による負荷が大きいためRaspberry Pi自体が物理的に故障するケースが多かったが、「Agora」導入後は複数のカメラを1台のPCで管理できるため、トラブル数が激減。
Raspberry Piの故障は対応できる人材が限られており、毎日1件は起きる故障の対応に2時間以上かかっていた。「Agora」導入で、トラブル発生率は10%以下に減少。また、発生時もPCの再起動などですぐに復旧でき、現場の負荷の解消につながった。
サーバーの管理は一切不要
APIコールだけのシンプル配信に
Raspberry Piからのmotion-JPEG配信では、リバースプロキシサーバーの手動管理が必要だった。「Agora」はAPIをコールするだけで、配信ネットワークを使用することができる。
高画質、低遅延、大規模配信の、3点を担保してくれる「Agora」の高いネットワーク技術によって、サーバーの運用コストの削減が実現した。
動画の配信解像度を細かく設定
視聴環境の変化に柔軟に対応
従来使用していたFlashが終了。「Agora」なら、配信する動画の画質を適宜設定が可能。また最新テクノロジーに合わせたアップデートもSDKの提供側で行うので、数年先を見据えたサービス内容を構築できる。
5Gの普及などによって4Kでの配信サービスが必要となった場合などでも、新たなフォーマットに対応した製品を自社で再開発する必要がなくなった。
「Agora」選定のポイントは?
運用コストを抑えることが可能か?
高画質、低遅延を前提としながらも、サーバー管理やデバイス故障の削減ができるか。
- SDKのシンプルな実装で、サーバー運用は不要かつトラブルも少ないシステムを構築
より大規模なスケールで配信することはできるか?
視聴者数が現状より増えても対応が可能であること。
- 双方向通話は10,000人まで対応可能で、「コラボ配信」として100万人もの視聴者へ届けることができる
変化する視聴環境に対応していくコストは? 長期的な運用が可能か?
最新テクノロジーに合わせたアップデートに対応できること。
- 最新テクノロジーに合わせたアップデートはSDKの提供側で実施
- 配信動画の画質を細く設定でき、ユーザーの視聴環境やニーズに合わせた配信システムを迅速に構築
お客様の声
「5年先まで見据えたシステムを構築できる」新サービスも視野
株式会社DC7 河合 剛志 氏(写真右)
5年前にサービスを開始した時から、「遅延の可能性」と「映像のクオリティ」のバランスに、すごく気を遣ってきました。弊社が参入した直後から競合サービスも増えてきて、必然的に映像のクオリティも上がってくるなかで、既存のシステムの置き換えは必至だと考え、最適なシステムを探すなかで「Agora」を知りました。
さまざまなSDKをリサーチしましたが、「Agora」を使ってみてまず驚いたのは、高精細かつ低遅延なこと。そして私自身が「楽しい」と感じました。同時に、安定して動作し続けるという部分も、高く評価できると思います。
5Gの提供も間近に控えているなか、提供側でアップデートに対応してもらえることで、自社でシステムの再開発をする必要がないという点も、採用した大きな理由の一つです。今後5年先まで見据えたシステム構築ができる点は、非常にありがたいです。
また、さまざまなAPIが提供されているので、一人のプレーヤーをみんなで応援できるようなシステムなども導入していければと思っています。
現場の負担が大幅に減少。トラブル対応も容易に
株式会社DC7 大木 敏夫 氏(上写真左)
「Agora」の導入で、とにかく現場の負担が大幅に減りました。複数あるカメラ一つひとつにRaspberry Piを載せた既存のシステムは、高負荷からかトラブルが非常に多く、毎日必ず1台は故障していて、現場はその対応に追われ続けていたんです。
「Agora」を導入した筐体では、トラブルが2週間に1回程度まで減りました。また、1筐体に対して1台のPCしか必要なくなり、Raspberry Piよりも操作がしやすいので、トラブルも簡単に解決できるケースがほとんどです。ケーブル類も必然的に減りました。
また、すべてのカメラ映像を監視するオペレーター業務も、画面一つにまとめられるようになり負担軽減につながりました。プレイ動画のログも精細な映像で記録できるので、ユーザーの遊び方を詳しく検証して、新サービスも検討できるのではと思います。
株式会社DC7様における「Agora」の活用法
高精細かつ低遅延な動画配信にこだわり、「Agora」を導入したDC7。サービス提供のために筐体に使用していたシステムを、SDKを使用したものにすべて入れ替えた。今後は、1対nの配信やプレイ動画の詳細な解析などにも活用の幅を広げていく予定だ。
オンラインクレーンゲーム「どこでもキャッチャー」
ブラウザやアプリでリアルタイムに実写映像を配信し、臨場感のあるクレーンゲームが楽しめるサービス。
ゲームとECがミックスされており、ユーザーは景品を選択し、ゲームをプレイ。獲得した景品は全国一律送料無料で配送される。誰でも簡単にプレイできるよう、シンプルさを追求。アイテムが際立つよう工夫して展開されている。


「Agora」の採用で“5年先”を見据えたシステムへ
【従来】1つのクレーンゲームに8台のRaspberry Piが必要
景品を「正面」「横」「上」の各アングルから複数のカメラで撮影するため、1筐体に対し8〜10台のカメラが必要。(右写真、赤丸部分)それぞれの制御のため、従来はカメラ1台につきSDカード状のRaspberry Piを1台搭載していた。
さらに、景品の種類などに応じて、同様のシステムを多数運用しているため(右下写真)、全体として非常に多くのハードウェアを管理しなくてはならず、運用負荷が非常に高かった。
【Agoraへのリプレース後】トラブルがほとんど発生せず運用負荷を大幅に低減
- 「Agora」導入後は、今まで1日1台はRaspberry Piに発生していたトラブルが、2週間に1回程度まで減少。
- 1筐体に対して1台のPCで運用できるため、ハード面の維持管理・運用負荷が大幅に減った
- 現在のトラブルの大半は、PCのメモリ負荷。専門的技術がなくてもPCの再起動などで容易に解決可能に。
- すべてのカメラ映像を監視するオペレーター業務も、画面一つにまとめられるように。