消防法とは
消防法とは、火災の発生防止や万が一の際の速やかな鎮圧、傷病者の搬送などについて定めた法律です。防火管理者の設置や消防用設備の整備・点検などに関するルールがまとめられており、すべての建築物は消防法に従う必要があります。
ただし、建築物の規模や用途によって消防法で定められたルールは異なります。多くの人が訪れる百貨店や映画館は特定防火対象物と呼ばれ、安全確保のために厳しいルールが設定されている施設です。
一方、オフィスは特定防火対象物ではありませんが、床面積に応じた消火器の設置義務などが定められています。消防法にしたがって建築物の安全性を保つことや、消防用設備の整備・点検を適切に行うことは、火災による人命や財産への被害を防ぐうえで重要です。
そのため、消防法に違反している建築物などに対しては行政指導・行政処分が行われることもあります。
個室ブース(Web会議ブース)の設置は消防法の対象となる可能性あり

社員の働きやすさを高めるため、オフィスのレイアウトは進化し続けています。特に最近ではWeb会議に参加する際や集中して仕事に取り組みたいときなどに便利な個室ブースを設けるオフィスが増えてきました。
個室ブースはオフィスのレイアウトの一つである一方、形状や設置状況によって消防法の対象となる可能性があります。中でもクローズドと呼ばれる、天井や壁が覆われているタイプの個室ブースは居室とみなされるため消防法の対象となります。
なお、一般的にはこうした居室とみなされる個室ブースを可動式ブースと呼んでいます。一方、オープンやセミクローズドといわれる半個室タイプは消防法の対象とならないケースもありますが、判断が難しいため各自治体の消防に相談すると良いでしょう。
また、消防法の対象でない場合でも、ビル管理における消防の規定に違反しないように注意する必要があります。たとえば、パーテーションに防火素材を使用するという規定があるビルでは、違反すると撤去や退去などの厳しい罰則が課されるおそれがあります。
個室ブース(Web会議ブース)設置で消防法に違反した場合の罰則
個室ブース設置に伴い消防法に違反した場合、是正命令、使用停止、罰金・懲役などの行政処分を受ける可能性があるため注意が必要です。
通常、消防署の立入検査で不備や不適があればまず指導が行われます。指導は罰則ではなく、あくまで行政からの意思表示であるため、この時点で適切に対処すれば問題ありません。しかし、指導にしたがわない場合は、法的拘束力のある命令や罰金などの罰則が課されることになるため、前提として違反しないことが重要となります。
個室ブース(Web会議ブース)設置に伴う消防法の内容
Web会議などのためにオフィスに個室ブースを設置する際は、いわゆるクローズドタイプを選ぶことが多いでしょう。天井や壁を覆うタイプのブースは消防法の対象となるため、第17条で定められた基準を満たすことが大切です。
ここでは個室ブース(Web会議ブース)設置に伴い、遵守すべき消防法の内容について説明します。
消防設備の設置
個室ブースには、オフィス内の他の居室と同様に消防設備や自動火災報知設備の設置義務があります。
これらの設備は火災発生時の被害を最小限に抑え、迅速な対応を可能にする重要な役割を担っています。
- 消防設備とは、屋内消火栓設備・スプリンクラーなど火を消し止めるための設備のことです。
- 自動火災報知設備とは、一般的に感知器や表示灯などで構成された設備のことで、火災発生時に自動的に外部へ知らせる役割があります。
スピーカーの設置
個室ブースには原則としてスピーカーの設置が必要です。火災発生時、外部からの警報音などが聞こえないために対処や避難が遅れるのを防ぐためです。
消防法では火災警報音が建物内のすべての場所で聞こえることを求めており、個室ブースのような閉鎖空間では外部の警報音が遮断されやすいため、専用のスピーカー設置が不可欠となります。
なお、参考までに「閉鎖された空間において、警報音を聞き取るための最低限の音圧」は東京消防庁のガイドラインによれば65デジベルとなっています。Web会議ブースという性格上、防音対策がされているブースが多いためスピーカーの設置は必要と考えるほうがよいでしょう。
防火対象物の管理義務
オフィスや店舗などと同様に、個室ブースに対しても防火対象物の管理義務が発生します。防火管理者を選任し、所轄の消防署へ届け出ましょう。なお、防火管理者となるには以下の2つの要件を満たす必要があります。
- 防火管理業務を適切に遂行できる管理的・監督的地位にある
- 防火管理に必要な知識・技能がある
2つ目の要件である知識・技能については、自治体の消防長や一般社団法人日本防火・防災協会などが実施する防火管理講習を修了することによって得られます。
避難経路の確保
万が一火災が発生してしまった際、被害を最小限に抑えるために重要なことの一つがスムーズに避難できることです。2001年に東京都新宿区の雑居ビルでの火災に際し、避難経路となるべき階段に荷物などが放置されていたために多くの人が逃げ遅れたという事件が起こりました。
この事件を機に、消防法では避難経路を妨げないよう階段口や非常口に配慮することなどを定めています。消防法の基準を満たす廊下や階段の幅は建物の階数や面積、屋内か屋外かなどによっても異なるため、最新の規定をよく確認しましょう。
不燃素材の使用
消防法において居室とみなされる個室ブースには、不燃素材の使用が義務付けられています。不燃素材とは熱が加わっても20分間は燃焼せず、変形や損傷のおそれがない、有害なガスや煙を発生しないという特性を持つ認定建材のことです。
不燃材を使うと火災発生時の延焼を遅らせられるため、被害の拡大を抑えられます。一般的な木材や布製素材は不燃素材でないため、万が一の際に火の回りが早くなる可能性があり危険なだけでなく、消防法違反とされるおそれがあります。

消防法に準拠しつつ個室ブース(Web会議ブース)設置を成功させるポイント

理想のオフィス環境を構築するため、個室ブースの導入を検討している企業にとって消防法の規定は不安材料の一つといえます。しかし、いくつかのポイントを押さえれば消防法を遵守しつつ個室ブースを設置することは難しくありません。
実際、一定の条件を満たせば消防設備のないブースの設置も可能です。ここでは、消防法への対応が必要なブースを導入する際に押さえておきたいポイントを紹介します。
前に消防署へ確認・相談する
消防法は建物の用途や面積、階数などによって細かな規定があります。特に初めて個室ブースを設置する場合は、自己判断せずにまずは図面や仕様書を持って所轄の消防署などへ相談するとよいでしょう。
消防法についてはインターネット上でもさまざま情報を見つけられますが、不定期に規則が改正されたり、自治体による解釈の違いが見られたりする可能性があります。インターネット情報のみを鵜吞みにして設置することには、意図せずに法令違反となるリスクがあるため、事前確認で正確な情報を得ることは必須要件といえます。
消防法対応の個室ブースを導入する
個別ブースの中でも消防法に対応した設計のものを選ぶのも一つの方法です。消防法や建築基準法を考慮して消火設備や火災報知器が組み込まれていたり、内外装に不燃材が使われていたりすることが特徴です。
また、デザインに関してもオフィスに置いても違和感のないおしゃれなものが少なくありません。こうした消防法対応の個室ブースであれば、どのようなオフィスにも設置できる可能性が高いといえます。消防法に対応するためのさまざまな手間を省けるメリットがあることも魅力です。
特例申請を活用する
消防法には基準の特例等適用という、一定条件を満たすことで消防設備の設置義務が免除される仕組みがあります。申請により、消防法の規定に沿っていなくても他の方法で安全性を確保していることを消防署長が認めれば特例が適用されます。
特例適用の審査基準は公開されているため、制度を利用できる可能性がある場合は申請するのも一つの方法です。なお個室ブースの場合は今まで記載した基本的な情報に加えて、いくつかの基準が存在します。東京消防庁を例にとって一部記載します。
参考:東京消防庁 基準の特例等適用申請書
ブースの床面積が6㎡以下である
ブースの床面積が6㎡を超えない場合、消防設備の設置が不要になる可能性があります。以前は3㎡が基準とされていましたが、2023年に6㎡へ拡大されました。Web会議などの際に主に一人で利用するタイプの個室ブースであれば、特例の対象になるかもしれません。
しかし面談ミーティングなどで使用できる2人以上が座れるタイプのブースについては、特例適用が難しいでしょう。
ブース内に可燃物がない
個室ブース内に燃えやすいものがないことも審査基準に含まれています。ブース内に設置する椅子やソファなどは合成皮革やポリウレタンが使用された製品は避けることが望ましいでしょう。
なお、一定以上の大きさの背面のあるソファが設置されているブースは、特例申請が認められません。住宅用下方放出型自動消火設備では、火を消し止められないと考えられる場合も特例の対象外となるため、注意が必要です。
ブース内の音圧が65㏈以上である
個室ブースは基本的に遮音性が高いため、外部からの警報音などが聞こえず、もしものときに対応が遅れるリスクがあります。しかし、ブース内の音圧が65㏈以上であればオフィスや建物の放送設備からの警報音が聞こえると考えられるため、消防設備の設置が免除される可能性があります。
消防法対応の個室ブース(Web会議ブース)ならテレキューブ(TELECUBE)がおすすめ!
消防法に対応した個室ブースを検討している企業には、株式会社ブイキューブが提供する「テレキューブ(TELECUBE)」がおすすめです。テレキューブ(TELECUBE)はWeb会議や面談など、さまざま用途で使用できる高機能な個室ブースです。
ここでは、テレキューブ(TELECUBE)のメリットを3つ紹介します。

消防法に配慮した設計と素材で安心
テレキューブ(TELECUBE)は消防法に配慮して設計されているため、導入しやすく、安全性も高いことがメリットです。ブースの内装には国土交通省認定の不燃材が使用されており、内部のソファも原則として難燃性の素材を原材料としているため、火が燃え広がりにくい構造です。
内部にスプリンクラーを設置しているため、外部はもちろん、中で火災が発生した際も速やかに対応できます。
また、株式会社ブイキューブでは特例申請や設置場所確認など各種手続きの代行サポートも充実しているため、初めて個室ブースを導入するオフィスでも安心してご利用いただけます。
オフィス設置に最適な高機能
テレキューブ(TELECUBE)はオフィスで必要とされるさまざま機能を備えています。業界トップクラスの高い防音性は、Web会議・電話・面談に最適です。また、広くて作業しやすいテーブルや座り心地のよいソファなどを備えているため、集中力が求められる作業の効率もアップします。1~6名まで複数のサイズの中から目的に応じてお選びください。
加えてテレキューブは可動性のため、既存のレイアウトに対応させやすいことも特徴です。短納期で設置できるため急なレイアウト変更にも対応できます。
実績多数&信頼性が高い
テレキューブ(TELECUBE)は防音個室ブースの設置台数シェアNo.1(2024年10月期_指定領域における市場調査 調査機関:日本マーケティングリサーチ機構)を獲得しており、すでに大手企業・自治体・大学などを含む10,000社以上に採用された実績があります。高い防音性能はもちろん、消防法対応や耐震性検査など安全性の高さもテレキューブが選ばれている理由です。
最近では駅やショッピングモールなどでの導入も進んでいます。初めて個室ブースを導入するのであれば、実績豊富で信頼性の高いテレキューブをぜひお試しください。
テレキューブ 導入事例はこちら

まとめ
オフィス環境向上のため、個室ブースを導入する際に注意したいのが消防法の規定です。特に防音性の高いクローズドと呼ばれるタイプのブースは居室とみなされるため、消防法への対応が必要です。
消防法への対応に不安を感じる場合や、手間をかけずに導入したい場合は、消防法適応の個室ブースの設置を検討しましょう。テレキューブは内装に不燃材を使用し、スプリンクラーを設置した安全性の高い個別ブースです。防音性や居住性が高く、導入実績と経験豊富な「テレキューブ(TELECUBE) 提供:株式会社ブイキューブ」は安全かつ高機能なブースをお探しの企業に おすすめです。ぜひお気軽にお問い合わせください。
