2024年02月13日

CDNとは?CDN(Content Delivery Network)の仕組みから重要性と利点等について解説!

cdn-image

CDNとは何か、その概要や仕組み、メリット、選定ポイントまでをわかりやすく解説します。

 

CDNとは

CDNの概要

CDNは、ウェブコンテンツやデータを高速で効率的に配信するためのインフラストラクチャーサービスです。これは、ユーザーがウェブサイトやアプリケーションにアクセスする際に、そのコンテンツを最も効果的かつ迅速に提供することを目的としています。

インターネット利用の急増とその影響

インターネット利用の急増は、インフラ、サーバー、トラフィックに対しても大きな影響を与えています。以下にその主な観点での解説を行います。

 

インフラの需要増加: インターネット利用が急増すると、通信インフラの需要も同様に増加します。特に高速かつ安定した通信インフラが必要であり、高性能なネットワークインフラの整備が求められます。

サーバー負荷の増大: ウェブサイトやアプリケーションへのアクセスが急増すると、サーバーへの負荷も増大します。これに対応するために、クラウドサービスや分散型サーバーシステムが利用され、柔軟性と拡張性を確保する必要があります。

データセンターの拡充: インターネット利用の増加に伴い、大規模なデータセンターが必要とされます。これには高度な冷却システムや省エネルギー技術の導入が含まれ、データセンターの運用コストも考慮する必要があります。

トラフィックの急増: インターネット利用の急増により、ネットワークトラフィックも急増します。これに対応するために、ネットワークインフラのアップグレードや最適化が求められ、キャパシティの拡充が必要です。

セキュリティの重要性の増大: トラフィックの増加とともに、サイバーセキュリティの脅威も増加しています。大量のデータが送受信される中で、セキュリティ対策が強化され、不正アクセスやデータ漏洩などから保護する仕組みが不可欠です。

CDNの利用増加: インターネットのトラフィックを最適化するために、CDNが広く利用されています。CDNはコンテンツを地理的に分散配置し、ユーザーに最適なサーバーからコンテンツを提供することで、高速で安定したアクセスを実現します。

これらの要因を考慮して、インフラとサーバーの管理、ネットワークの最適化、セキュリティ対策などが急務となり、これらの技術とインフラの進化が引き続き求められています。

CDNの基本原則

CDNの仕組みと動作原理

CDNは、ウェブサイトやオンラインアプリケーションのパフォーマンスを向上させるための技術です。以下に、CDNの仕組みと動作原理を解説します。

 


ネットワークの配置: CDNは、世界中に分散配置された複数のサーバーで構成されています。

 

キャッシュ: CDNは、静的なコンテンツ(画像、スタイルシート、JavaScriptなど)をサーバーにキャッシュし、ユーザーのリクエストに応じてこれらのキャッシュを提供します。これにより、コンテンツの取得が高速化されます。

DNSの変更: ウェブサイトやアプリケーションをCDNに接続するためには、DNSの設定を変更する必要があります。ユーザーが特定のドメインにアクセスすると、CDNはそのリクエストを最適なサーバーに転送します。

最適なサーバーの選択: CDNは、ユーザーの地理的な位置やネットワークの混雑状況などを考慮して、最も適切なサーバーからコンテンツを提供します。これにより、ユーザーにとって最も高速で信頼性のある接続が確保されます。

負荷分散: CDNはトラフィックを分散し、オリジンサーバーへの負荷を軽減します。ユーザーのリクエストがCDNに到達すると、CDNは最適なサーバーにリダイレクトすることで負荷を均等に分散します。

動的コンテンツの最適化: CDNは静的なコンテンツだけでなく、動的なコンテンツも効果的にキャッシュし、最適化します。これにより、動的なコンテンツのパフォーマンスも向上します。

セキュリティ強化: CDNは、セキュリティを向上させるためにさまざまな機能を提供します。例えば、DDoS攻撃からの保護、SSL/TLS暗号化の実装、Bot対策などがあります。

CDNの動作原理は、これらの要素が協力してウェブコンテンツを最適な状態で提供することにあります。ユーザーエクスペリエンスの向上や負荷軽減、セキュリティの向上などがCDNを導入するメリットとなります。

オリジンサーバーとキャッシュの役割

オリジンサーバーとキャッシュは重要な役割を果たしています。

 

オリジンサーバー: オリジンサーバーは、コンテンツやウェブアプリケーションの元となる情報を保持するサーバーです。
クライアントが特定のコンテンツやデータをリクエストすると、最初にそのリクエストはオリジンサーバーに送られます。オリジンサーバーはクライアントのリクエストに応じて、必要なデータを生成または提供します。

キャッシュ: CDNは、コンテンツをユーザーに迅速かつ効率的に提供するために、世界中に分散されたキャッシュサーバーを使用します。
キャッシュは、コンテンツのコピーを保持し、必要に応じてそれを迅速に提供できるようにします。
キャッシュには複数の階層があり、ユーザーに最も近いエッジキャッシュが最初に検討されます。これにより、コンテンツのロード時間が短縮されます。
キャッシュは、一度リクエストされたコンテンツを保持し、同じコンテンツが再度リクエストされた場合にはオリジンサーバーにアクセスすることなく、キャッシュから提供できます。

オリジンサーバーとキャッシュの連携により、以下のメリットが生まれます:

高速なコンテンツデリバリー: キャッシュは世界中に分散されており、ユーザーに近い場所でコンテンツが提供されるため、ロード時間が短縮されます。

トラフィック削減: キャッシュがコンテンツを提供できる場合はオリジンサーバーへのアクセスが減り、トラフィックが削減されます。

冗長性と可用性: キャッシュは複数の場所に分散されているため、特定の場所で障害が発生しても他の場所からコンテンツを提供できるため、冗長性と可用性が向上します。
CDNにおいては、オリジンサーバーとキャッシュが協力して、効果的で高性能なコンテンツデリバリーを実現しています。

CDNの利点

遠隔地からの高速アクセス: CDNは複数のサーバーを世界中に配置しており、ユーザーがウェブページにアクセスする際に最も近いサーバーからコンテンツを提供します。これにより、遠隔地からのアクセスでも高速な読み込みが可能となります。

負荷分散: CDNはトラフィックを複数のサーバーに分散させることができます。これにより、オリジンサーバーにかかる負荷が分散され、サーバーのパフォーマンスが向上します。

キャッシュ機能: CDNはコンテンツをグローバルなネットワークにキャッシュすることができます。一度取得されたコンテンツは、ユーザーが同じコンテンツに再アクセスする際に再度オリジンサーバーにアクセスする必要がなくなり、高速な読み込みが可能です。

セキュリティ向上: CDNはセキュリティの向上にも寄与します。一部のCDNプロバイダは、DDoS攻撃から保護するための機能や、SSL/TLS暗号化を提供しています。これにより、ウェブサイトがより安全に利用できます。

コスト削減: CDNを利用することで、トラフィックが分散され、オリジンサーバーへの負荷が軽減されるため、ホスティングコストを削減することができます。また、高い可用性とパフォーマンス向上により、ユーザーエクスペリエンスが向上し、ビジネスの成果を促進します。

これらの利点により、CDNはウェブページ読み込みの高速化とパフォーマンス向上に寄与し、ユーザーエクスペリエンスの向上とサーバーコストの最適化に貢献します。

ビジネスにおけるCDNの価値

CDNは、ビジネスにおいて重要な役割を果たすテクノロジーです。以下は、CDNがビジネスにもたらす価値のいくつかの要点です。

高速なコンテンツ配信: CDNは、世界中の複数のサーバーにコンテンツを配置し、ユーザーに近いサーバーからコンテンツを提供することができます。これにより、ウェブページやアプリケーションの読み込み速度が向上し、ユーザーエクスペリエンスが向上します。高速なコンテンツ配信は、ユーザーの満足度を向上させ、離脱率を減少させる効果があります。

負荷分散とスケーラビリティ: CDNは、トラフィックを複数のサーバーに分散させることで、負荷を均等に分散し、ウェブサイトやアプリケーションのスケーラビリティを向上させます。急激なトラフィックの増加に対応でき、サーバーの過負荷を防ぐことができます。

セキュリティ向上: CDNは、セキュリティのための機能を提供することがあります。DDoS(分散型サービス妨害)攻撃から保護するための手段や、SSL/TLSを使用してコンテンツを暗号化する機能が含まれています。これにより、データのセキュリティが向上し、ユーザーの信頼性が増します。

地理的な制約の克服: グローバルな視点で見ると、ユーザーが遠隔地からアクセスする場合、通信遅延が発生する可能性があります。CDNは、ユーザーに近いサーバーを利用することで、地理的な距離による通信の制約を克服し、快適なアクセスを提供します。

コスト削減: CDNは帯域幅の使用効率を最適化し、トラフィックの最適な経路を選択することで、ネットワークコストを削減します。また、高い可用性とスケーラビリティにより、インフラストラクチャ全体のコストも低減させることが期待されます。

総合的に見て、CDNはビジネスにおいてウェブパフォーマンス、セキュリティ、可用性の向上といった面で大きな価値を提供しています。ウェブサイトやアプリケーションのユーザーエクスペリエンス向上やビジネスの競争力強化に寄与します。

CDNの選定ポイント

CDNは、ウェブサイトやアプリケーションのコンテンツを効果的に配信し、ユーザーエクスペリエンスを向上させるための重要な要素です。CDNを選定する際に考慮すべき主要なポイントは以下の通りです。

地理的な配置とポイント数: CDNサービスが提供するポイントの数と配置が重要です。ユーザーに近いサーバーからコンテンツを提供することで、応答時間を最小限に抑え、ページの読み込み速度を向上させることができます。

帯域幅とスケーラビリティ: CDNが提供する帯域幅がサイトやアプリの需要に対応できるか確認しましょう。また、将来的なトラフィックの増加に対応できるスケーラビリティも重要です。

セキュリティ機能: CDNはセキュリティにおいても重要な役割を果たします。DDoS攻撃への対策やSSL/TLSのサポートなど、セキュリティ機能が充実しているか確認しましょう。

カスタマイゼーションと制御: CDNが提供するカスタマイゼーションオプションと制御機能は、特定の要件やポリシーに適合するかどうか確認する必要があります。キャッシュの設定やリダイレクトの管理などが含まれます。

コンテンツ最適化機能: 画像や動画の最適化、圧縮、キャッシュ機能など、コンテンツの最適化機能がCDNに組み込まれているかどうかを確認しましょう。これにより、ページの読み込み速度が向上し、データ転送量が削減されます。

監視と分析ツール: CDNが提供する監視ツールやアナリティクス機能は、トラフィックのモニタリングや性能の分析に役立ちます。問題が発生した際に素早く対応できるよう、適切なツールが揃っているか確認しましょう。

コスト構造: CDNの利用料金体系はプロバイダによって異なります。トラフィックの量や機能の利用に応じて料金がどのように発生するかを理解し、予算内で運用できるか確認してください。

これらのポイントを考慮することで、特定のプロジェクトやビジネスニーズに最適なCDNプロバイダを選定することができます。

CDNの課題と注意点

CDNにはいくつかの課題や注意点が存在します。以下にそれらを解説します。

費用: CDNの利用は一般的に費用がかかります。特に大規模なトラフィックを処理する場合や高度な機能を利用する場合には、コストが上昇する可能性があります。企業は利用状況に応じてプランを選択する必要があります。

データセキュリティ: CDNはコンテンツをキャッシュして世界中のサーバーに分散するため、セキュリティの懸念が生じることがあります。特に機密性の高いデータやプライバシーに関連する情報が含まれる場合、適切なセキュリティ対策が必要です。

キャッシュの問題: CDNはキャッシュを利用して高速なコンテンツの提供を実現していますが、適切な設定が行われていない場合、更新されたコンテンツが反映されないといった問題が発生することがあります。キャッシュの運用と無効化の管理が重要です。

ネットワークの障害: CDNサービスは多くの地域やネットワークを組み合わせてサービスを提供しています。そのため、ネットワークの障害やサービス提供者の問題が発生した場合、サービス全体に影響が及ぶ可能性があります。

制限された機能セット: CDNプロバイダによっては、特定の機能やカスタマイズが制限されていることがあります。必要な機能や要件に対応できるかどうかを検討する必要があります。

適切なCDNの選定: CDNプロバイダはさまざまであり、性能、価格、機能などが異なります。適切なCDNを選定するためには、自身のニーズや要件をよく理解し、比較検討が必要です。

これらの課題や注意点を適切に対処することで、CDNを効果的に導入し、ウェブサイトやアプリケーションのパフォーマンス向上を実現することができます。

次世代を担うCDN=EdgeOne

商用サービスの一つであるTencent CloudのCDNは長年培ってきたネットワークパフォーマンスとセキュリティにおけるノウハウを統合し、一元化された高速で信頼性の高いワンストッププラットフォームを実現しました。それがEdgeOneです。

既存のメリット強化と拡大

CDNとWAFを別々に設定しているケースが多いかと思いますが、EdgeOneはワンストップで設定が可能です。WAF以外のセキュリティ対策としてDDoS対策、Bot対策等が機能として備わっています。

また、特筆すべき機能の一つとしては、QUICプロトコルにも対応している点です。
QUIC (Quick UDP Internet Connections) は、新しい汎用、安全、多重化トランスポート層ネットワークプロトコルです。標準的なHTTP/3プロトコルはQUICに基づいて実装されており、0-RTT接続、非HOLブロッキング多重化、ユーザーモード輻輳制御の容易な実装をサポートし、より少ない帯域幅でより多くのデータを転送し、パケット損失率やネットワーク遅延の高い劣悪なネットワーク条件下でも高品質なデータ転送を可能にします。また、モバイル・デバイスのネットワークが頻繁に切り替わる場合でも、中断のない接続を保証できるコネクション・マイグレーションをサポートしています。

既存のデメリット削減

EdgeOneはコスト削減を実現できる複数の要素を兼ね備えています。

 

・画像やコンテンツの圧縮でトラフィックを削減
・攻撃等による想定外のトラフィックをブロックすることでトラフィックを削減
・さらにMPSと組み合わせる事でトラフィックを削減

 

セキュリティの向上や管理を楽にするだけではなく、コストメリットもあります。

製品の特徴

静的アクセラレーション: 静的コンテンツはエッジノードにキャッシュできます。グローバルロードバランス技術により、ユーザーは身近なエッジノードに接続してリソースを取得することができます。

動的アクセラレーション: 動的データに対して、動的ルーティング探索やスマートルーティングなどの技術を利用し、最適なback to originリンクを選択することで、エンドユーザーのアクセス遅延を大幅に減らし、動的コンテンツのロードが遅い問題や操作遅延などを解決し、ユーザービリティを向上させます。

グローバルアクセラレーション: エッジサーバーとリージョナルセンターの2レイヤーアーキテクチャを採用しており、ノード間のインテリジェントなルーティングと専用経路の最適化により、アクセラレーションの効果をさらに向上させます。グローバルなback to originリンクの品質低下とback to originが遅い問題を効果的に解決し、国同士のアクセス品質を向上させることができます。

Anti-DDoS: Anti-DDoSは、包括的で効率的かつプロフェッショナルなDDoS攻撃防御機能を備えており、企業・組織にAnti-DDoS Pro、Anti-DDoS AdvancedといったさまざまなDDoSソリューションを提供し、DDoS攻撃に対応します。十分かつ優れたAnti-DDoSリソースは、持続的に進化する「自社開発+AIインテリジェント認識」クリーニングアルゴリズムと組み合わされ、ユーザーの安定かつ安全な業務遂行を確保します。

Rate-Limiting(CC)適応識別: 自社開発した特許取得済みのRate-Limiting(CC)スマート判別・ブロック技術は、プラットフォームが推奨するブロックポリシーとユーザーがカスタマイズしたルールに従って、攻撃を分析・ブロックし、頻度制御やトラフィック制御による悪意のあるアクセスへのブロックをサポートします。

スマートWeb防護: Tencentの膨大なWeb攻撃サンプルライブラリをベースに、アクセスに対して特性のマッチングを行うことで、SQLインジェクション、XSS攻撃、ローカルファイルインクルードなどの各種Web攻撃を効果的に防御し、ユーザーのオリジンサーバーをリアルタイムに保護します。独自のAIエンジンに、Tencentの億単位の脅威情報が取り込まれ、更なるスマートな脅威識別仕組みを構築し、正確かつ効果的にWebの脅威をブロックします。

BOT行為解析: Tencent CloudのBOTプログラム管理機能と融合し、Bot行為DBにより広告、スクリーンショットツール、検索エンジン、サイト監視、リンク照会などのクローラータイプをカバーし、独自のAI技術で、ユーザーのすべてのリクエスト行為をモデリングし、異常なトラフィックをインテリジェントに選別します。また、セッション保護ポリシーのカスタマイズをサポートします。

高度なアクセスコントロール: 一般IPアドレス、referer、UAブラックリスト/ホワイトリストの他に、カスタマイズした複雑なアクセスコントロールルールにも対応し、クライアントIP、URI、Referer、User-Agent、Paramsなどのフィールドを指定し、「等しい」、「含む」、「含まない」などのルールによるマッチングを行うことが可能です。運用シーンによって、複数の条件を組み合わせてフィルタリングを行うことができます。

豊富な監視・レポート確認機能: 豊富なレポート確認機能を提供し、リンクアクセス速度/アクセラレーション効果の統計、キャッシュ内容に対するリアルタイム検索、DDoS/CC攻撃のリアルタイム監視・アラーム、Web攻撃の回数/タイプ/ソースの多要素チャート分析、Web攻撃の詳細ログのエクスポートをサポートします。

データセンターのロケーション: EdgeOneは70以上の国と地域に展開されています。

最後に

CDN導入のメリットは高速なコンテンツ提供、負荷分散、セキュリティ向上です。ユーザーエクスペリエンス向上とサーバーの安定性を実現します。
導入の際はEdgeOneも是非ご検討ください。

藤本 諭志

執筆者藤本 諭志

株式会社ブイキューブ 技術本部 Agora担当。 2007年ブイキューブ入社。 自社開発サービスであるV-CUBE セミナーの開発に携わる。現在はAgoraとTencent Cloudのプロダクト担当SEをしている。 スキル:Docker/AWS/Linux/DB/Ruby/PHP/JavaScript

関連記事

先頭へ戻る