2026年02月25日
チームビルディングとは?組織力を最大化する5つの段階とおすすめゲーム・具体例を徹底解説
「チームの雰囲気がなんとなく停滞している」
「メンバー間の連携が取れておらず、ミスが起きる」
リーダーやマネージャーの皆さんは、このような悩みを抱えていませんか?
チームビルディングは、単なる「仲良しごっこ」ではありません。組織としての成果を最大化するための、極めて戦略的な手法です。この記事では、チームビルディングの「基礎知識」から、組織の成長段階を示す「タックマンモデル」、そして明日からすぐに実践できる「具体的なゲーム」までを徹底解説します。
目次
[非表示]チームビルディングとは何か

チームビルディングとは、文字通り「チームを作り上げること」ですが、ビジネスにおいてはより明確な定義があります。それは、単なる飲み会や親睦会のように仲良くなることだけを指すのではありません。個々の能力を活かしながら、組織全体のパフォーマンスを向上させることを目的とした、意図的な取り組みのことです。
チームビルディングとチームワークの違いとは何か
「チームビルディング」と「チームワーク」は混同されがちですが、以下のように定義を分けると理解しやすくなります。
- チームワーク:チームが機能している「状態」や、メンバー間の連携そのものを指します。
- チームビルディング:その良い状態(チームワーク)を作り上げるための「プロセス」や「手法」を指します。
家づくりに例えるとイメージしやすいでしょう。「チームワーク」が住み心地の良い「完成した家」だとすれば、「チームビルディング」はその家を建てるための「基礎工事」や「建築作業」です。良い家(チームワーク)を手に入れるためには、適切な建築プロセス(チームビルディング)が欠かせません。
チームビルディングが注目されている背景
なぜ今、多くの企業でチームビルディングが重要視されているのでしょうか。その背景には、大きく3つの社会変化があります。
- ビジネス環境の変化(VUCA):変化が激しく正解のない現代において、リーダー個人の力だけで戦うには限界があります。多様なメンバーの知恵を集めた「チーム知(集合知)」による、迅速な意思決定が必要不可欠です。
- 働き方の多様化:リモートワークの普及やフリーランスの活用により、メンバーが同じ場所にいないことが当たり前になりました。物理的な距離を埋め、信頼関係を築くためには、意図的な関係構築の場が必要です。
- 人材の流動化:「このチームで働きたい」という従業員エンゲージメントを高めることは、優秀な人材の離職を防ぐ(リテンション)上で非常に重要な要素となっています。
Googleが証明した「成功するチーム」の共通点
チームビルディングにおいて、「個人の能力」以上に「環境作り」が重要であることを示す有名なエビデンスがあります。Googleが実施した生産性向上プロジェクト「プロジェクト・アリストテレス」の研究結果です。このプロジェクトでは、「成功するチームの最大の要因は、メンバーの知能やスキルではなく『心理的安全性』である」と結論づけられました。つまり、誰が何を言っても拒絶されず、安心して発言できる「場」を作ることこそが、最強のチームを作る鍵であることが証明されたのです。
参照:Google re:Work - ガイド: 「効果的なチームとは何か」を知る
ハイブリッドワーク時代のチームビルディング
対面とリモートが混在する中での課題は、情報格差による「疎外感」です。成功の鍵は、偶然の会話を待つのではなく、デジタル上で「意図的な雑談」を設計すること。週一回のオンラインランチや、チャットでの称賛文化(サンクス共有)が心理的安全性を高めます。物理的な距離を埋めるのは、最新ツールと「互いの状況を想像し合う」仕組み作りです。
チームビルディングを行うメリット

経営層やリーダーにとって、新たな施策を導入する際に気になるのが「投資対効果(ROI)」ではないでしょうか。時間やコストをかけてチームビルディングを行うことで、組織にどのような具体的な利益(ベネフィット)があるのか、代表的な5つのメリットを解説します。
組織の「羅針盤」が揃い、目標達成のスピードが上がる
チームビルディングのワークショップなどを通じて、会社の目指す方向(ビジョン)と、メンバー個人の目標をリンクさせることが可能になります。組織のベクトルと個人のベクトルを合わせる(Align)ことで、単に作業をこなすだけでなく、組織全体としての一体感が生まれ、目的地に向かって迷わず進めるようになります。
互いの強みを活かし合い、1+1が2以上の「シナジー」を生み出す
メンバーがお互いの「強み」や「弱み」を深く把握することで、適切な役割分担が可能になります。「苦手なことは得意な人が補い、得意なことはさらに伸ばす」という補完関係が築ければ、チーム全体のパフォーマンスは向上し、1+1が2以上になるシナジー効果(相乗効果)を生み出すことができます。
「心理的安全性」が確保され、隠し事のない建設的な議論が生まれる
チームビルディングによって「心理的安全性(Psychological Safety)」が確保されると、コミュニケーションの質が劇的に変化します。「こんなことを言ったら怒られるかもしれない」という不安がなくなるため、報連相の遅れやミスの隠蔽が減り、建設的な意見交換が活発に行われるようになります。
チームが「自走」し始め、リーダーが戦略業務に集中できる
メンバー間に信頼関係が構築されると、問題が発生しても自律的に助け合うようになります。チームが自走し始めれば、リーダーは細かい進捗管理や監視(マイクロマネジメント)をする必要がなくなります。その結果、リーダーは本来注力すべき戦略業務や、より高度なマネジメント業務に時間を使えるようになります。
相互の承認が自信となり、「主体的」に仕事に取り組む意欲が湧く
良好なチーム関係の中で働くことは、「自分はこのチームに貢献している」「仲間から認められている」という自己有用感を高めます。この感覚は強力な動機付けとなり、メンバーが「やらされ仕事」ではなく、主体的に仕事に取り組む意欲(モチベーション)を向上させる効果があります。
チームビルディングの段階(タックマンモデル)

チームは結成された瞬間から機能するわけではありません。人間が成長するように、チームにも成長の法則があります。これを体系化したのが、心理学者ブルース・W・タックマンが提唱した「タックマンモデル」です。チームは「形成」から「解散」まで、以下の5つの段階を経て成長していきます。現在の自分たちのチームがどの段階にいるのかを把握することで、今打つべき対策が見えてきます。
プロセス1. 形成期
チームが結成された直後の段階です。メンバーはお互いのことをよく知らず、性格やスキルも把握できていません。「このチームでうまくやっていけるだろうか」という不安と緊張が漂っており、様子見の状態です。この時期は、リーダーが明確な目標やルールを示し、不安を取り除くトップダウンのコミュニケーションが必要不可欠です。
プロセス2. 混乱期
業務が進むにつれて、意見の食い違いや対立が表面化する時期です。「やり方が合わない」「方向性に納得できない」といった不満が出るため、一見するとネガティブな状態に見えます。多くのリーダーが「失敗した」と“勘違い”して心が折れるポイントです。しかし、これはメンバーが本音をぶつけ合い、お互いを深く理解するために避けては通れない「雨降って地固まる」ための重要なフェーズです。ここを恐れて表面的な付き合いに終始すると、真のチームにはなれません。
プロセス3. 統一期
混乱期の衝突を乗り越え、お互いの価値観や役割を受け入れ始める時期です。「自分たちにはこのやり方が合っている」という共通の規範(ルール)が確立され、目標に向かって協力する体制が整います。主語が「私(I)」から「私たち(We)」へと変化し、チームとしての一体感や安定感が生まれてきます。
プロセス4. 機能期
チームとしての結束力が固まり、パフォーマンスが最大化されている状態です。メンバーは自分の役割を理解し、リーダーの指示を待たずに自律的に判断・行動できます。阿吽の呼吸で連携が取れるため、リーダーは管理監督者から「支援者」へと役割を変え、現場に権限委譲することでさらなる成果を生み出すことができます。
プロセス5. 散会期
プロジェクトの完了やメンバーの異動などにより、チームが解散する時期です。単に終わるだけでなく、達成感や成果を共有し、「このチームで良かった」とお互いを称え合うことが重要です。良い終わり方は、メンバー個々人の成長を促し、次の新しいチームでの活躍(次なるステージ)へとつながるフィナーレとなります。
企業がチームビルディングの効果を高める方法

チームビルディングを成功させるためには、年に一度の大きなイベントよりも、日々の業務の中に「関係構築の仕組み」を組み込むことが重要です。ここでは、日常的に取り入れられる効果的な施策を4つ紹介します。
サンクスカード(感謝の可視化)
「手伝ってくれてありがとう」「資料が見やすかったよ」といった、業務上の些細な感謝や称賛をカードやチャットツール(スタンプ等)で送り合う仕組みです。日本人は照れくさくて面と向かって褒めるのが苦手な傾向がありますが、ツールを介して感謝を「可視化」することで、チーム内にポジティブな空気が醸成されます。互いに認め合う文化は、心理的安全性の土台となります。
ナレッジ共有会(失敗の共有)
成功事例だけでなく、あえて「失敗事例(しくじり先生)」を共有する勉強会やLT(ライトニングトーク)大会を開催します。通常、失敗は隠したいものですが、リーダーや先輩が率先して「自分の失敗談」を開示することで、「失敗しても大丈夫」「挑戦した結果なら評価される」という雰囲気が生まれます。これにより、メンバーのチャレンジ精神や、悪い情報を早期に報告する姿勢が育まれます。
役割・期待値の見える化ミーティング
「ドラッカー風エクササイズ」などのフレームワークを活用し、メンバー同士の取扱説明書を作る取り組みです。「自分は何が得意で、どう貢献できるか」「相手に何を期待しているか」「大切にしている価値観は何か」を明文化してすり合わせます。なんとなくの理解ではなく、言葉にしてギャップを埋めることで、無駄なストレスや相互不信を防ぐことができます。
団結力を高める共同プロジェクト
通常業務とは別に、チーム全員で達成するサブプロジェクトを立ち上げるのも効果的です。例えば、「社内報の作成」「オフィス環境の改善(DIYなど)」「社内イベントの企画」などが挙げられます。利害関係の少ない業務外のプロジェクトで協力し合い、一つのものを完成させる体験(成功体験)を共有することで、通常業務にも活きる強い結束力が生まれます。
チームビルディングにおすすめのゲーム5選

座学で学ぶよりも、実際に体を動かし、頭を使うゲームを通じた体験は、メンバーの記憶に強く残ります。ここでは、明日から実践できるおすすめのゲームを、目的や期待できる効果とセットで5つ紹介します。
マシュマロ・チャレンジ(PDCA・役割分担)
世界的に有名な、チームビルディングの定番ゲームです。乾燥パスタ、テープ、ひも、そしてマシュマロを使い、制限時間内に自立するタワーを作ります。最も高い位置にマシュマロを置けたチームが勝利となります。
- 効果:机上の空論で議論するよりも、まずは手を動かして試してみる「試行錯誤(プロトタイピング)」の重要性を学べます。また、限られた時間と資材の中で、誰が設計し、誰が組み立てるかといった役割分担と協調性が自然と養われます。
NASAゲーム(合意形成・論理的思考)
「月面で遭難した」という設定のもと、生き残るために必要な15個のアイテム(酸素ボンベ、水、地図など)の優先順位を決めるコンセンサス(合意形成)ゲームです。まずは個人で順位を考え、その後チームで話し合って一つの順位を決定し、最後にNASAの模範解答と照らし合わせます。
- 効果:多数決や諦めによる「妥協」ではなく、全員が納得する「合意」を導き出す訓練になります。自分の意見を論理的に伝える力と、他者の意見を尊重して聴く力の両方が求められます。
Good & New(ポジティブ思考・アイスブレイク)
アメリカの教育学者ピーター・クライン氏が開発した、非常にシンプルで効果的な手法です。24時間以内にあった「良かったこと(Good)」や「新しい発見(New)」をメンバーが一人ずつ発表し、周囲は拍手で受け入れます。
- 効果:会議の冒頭や朝礼で行うことで、場の空気をポジティブにし、活性化させる効果があります。仕事の話だけでは見えてこない、メンバーのプライベートな一面や価値観を知るきっかけにもなります。
条件プレゼン(自己開示・表現力)
与えられたキーワードやお題に沿って、自己紹介や他己紹介(ペアの相手を紹介すること)を行うゲームです。「実は〇〇です」「自分を家電に例えると」といった条件を加えることで、単なる自己紹介以上の面白さが生まれます。
- 効果:とっさの対応力(アドリブ)や、相手に興味を持ってもらう表現力を養います。意外な一面や共通点が見つかることで親近感が湧き、心の距離を縮めることができます。
オンラインお絵描き伝言ゲーム(リモート・非言語)
テレワーク中心のチームにおすすめなのが、「Gartic Phone」などのブラウザツールを使ったお絵描きゲームです。お題を見て絵を描き、次の人はその絵を見て何のお題か推測してまた絵を描く、という伝言ゲームを行います。
- 効果:オンライン環境でも盛り上がりやすく、非言語コミュニケーションの難しさと楽しさを体験できます。絵が上手く伝わらないこと自体を楽しみ、笑いを共有することで心理的な距離が一気に縮まります。
おすすめのチームビルディング研修

社内でできるゲームだけでなく、外部の専門機関やフィールドを活用した研修も非常に効果的です。「非日常」的な環境に身を置くことで、普段のオフィスワークでは見えないメンバーの意外な一面や、潜在的な能力が発揮されやすくなります。
アウトドア研修
キャンプ、登山、無人島サバイバル、ラフティングなど、大自然の中で行う研修です。天候の変化など予測不可能な自然環境の中で課題を解決するには、全員の協力が不可欠です。困難を共に乗り越える体験は、オフィスでは得られない強烈な連帯感(Comradeship)を生み出します。また、普段大人しいメンバーが意外なリーダーシップを発揮するなど、新たな発見も期待できます。
スポーツ研修
カーリング、ボート(レガッタ)、ブラインドサッカーなど、個人の身体能力以上に「チームの連携」が鍵となるスポーツを行います。例えばボート競技では、全員が息を合わせてオールを漕がないと真っ直ぐ進みません。「タイミングを合わせる」「声を掛け合う」という身体的な同期体験を通じて、理屈ではない一体感を醸成することができます。運動が苦手な人でも参加しやすい種目を選ぶのがポイントです。
料理研修
チーム対抗でカレー作りやフルコース料理に挑戦する研修です。実は、料理は「メニュー決め(計画)」「買い出し・下準備(役割分担)」「調理(実行・タイムマネジメント)」「実食(評価・共有)」という、ビジネスのプロジェクト進行そのものです。段取り力が試されると同時に、最後に美味しいものを一緒に食べる喜びが共有できるため、満足度が高く、自然と会話が弾むのが特徴です。
これだけは避けて!チームビルディングを台無しにする3つのNG行動

良かれと思って企画したことが、かえってメンバーのモチベーションを下げてしまうこともあります。リーダーが陥りがちな、チームビルディングにおける3つの「NG行動」を解説します。反面教師として押さえておきましょう。
強制参加・業務時間外の開催
「チームの結束のためだから」という大義名分のもと、休日や業務終了後のプライベートな時間を強制的に奪うことは逆効果です。ワークライフバランスが重視される現代において、業務時間外の拘束は「ブラック企業的」と捉えられ、会社への不信感(エンゲージメント低下)につながりかねません。可能な限り業務時間内に実施するか、どうしても時間外になる場合は自由参加にするなどの配慮が必要です。
目的が曖昧なまま実施する
「とりあえず皆で集まって飲めば仲良くなるだろう」といった、目的のない飲み会やイベントを繰り返しても、チームビルディングの効果は限定的です。「今回は新メンバーとの親睦を深める(アイスブレイク)」「今回は部署間の壁を取り払う(コミュニケーション)」など、何のためにやるのか(目的)を明確にし、それに合ったコンテンツを選ぶという「戦略性」が不可欠です。
上司が一方的に話す・説教の場にする
せっかくの交流の場で、上司がずっと過去の武勇伝を語っていたり、仕事の説教を始めてしまったりしては、メンバーは萎縮してしまいます(心理的安全性の欠如)。チームビルディングの主役はメンバー全員です。リーダーは「主役」ではなく、メンバーが話しやすい雰囲気を作る「ファシリテーター(進行役)」や「黒子」に徹することが成功の秘訣です。
まとめ

本記事では、チームビルディングの基礎知識から、組織の成長段階(タックマンモデル)、そして具体的な実践ゲームまでを解説してきました。
チームビルディングは、一朝一夕で完成するものではありません。「タックマンモデル」で見たように、混乱や対立を乗り越え、長い時間をかけて育てていくプロセスそのものです。しかし、その過程で築かれた強固な信頼関係と心理的安全性は、困難なビジネス環境を勝ち抜くための最強の武器となります。
まずは、明日からできる「サンクスカード」や、会議のアイスブレイクとしての「Good & New」など、小さな一歩から始めてみてはいかがでしょうか。あなたのチームが、個人の総和を超えた素晴らしい成果を生み出す「最強のチーム」へと成長することを応援しています。
執筆者山本脩太郎

