2023年03月10日

ライブコマースシステムで必要な開発項目

live-commerce

アジア圏ではライブコマース(Live EC)で顧客とのエンゲージメントが高まる傾向にあります。物販であったり、オークションであったり、オンラインゲームを絡めて楽しみながらショッピングができる事例もでています。又、ライブコマース視聴者の5割強が商品を購入したというレポートもあります。物販ではありませんが、占いやオンラインサロンもライブコマースと同様の機能が必要となります。

このブログではライブコマースシステムで必要となる機能一覧と実装方法、活用できるSDKやライブラリについて解説します。

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機能一覧と実装方法

映像音声の配信と受信

一番重要であり、独自での実装難易度が高い機能になります。採用する技術としてはHLSかWebRTCが主流となっています。インタラクティブ性の高い配信にする為には低遅延であるWebRTCが最適になります。又、インターネット上での映像音声についてはジッタやレイテンシ、パケットロスに注意する必要があります。ジッタやレイテンシ、パケットロスについてはこちらの関連記事をご参照ください。
ジッター(ジッタ)とレイテンシー(レイテンシ):違い・原因・解決方法
パケットロス(パケロス)とは?
独自実装が困難な場合はPaaSの活用で高品質な配信が実現できます。AgoraやAmazon IVS、Amazon Chime等が候補としてあげられます。

チャット(運営側・視聴者側)

配信者と視聴者のコミュニケーションはチャットがメインになります。質問や感想等、視聴者とのエンゲージメントを高める機能になります。

視聴者が多い場合は負荷対策をしっかり行わないと端末やサーバーの負荷で配信が止まる可能性もあります。負荷テストについては以下の記事をご参照ください。

スケーラビリティテスト(負荷試験)ガイド

活用できるPaaSとしてはAgoraのSignaling SDKやFirebase Realtime Database等が候補としてあげられます。

リアルタイムアンケート

アンケートは市場のニーズ等を把握できる機能になります。今後の販売戦略や集客に重要な情報が得られるかもしれません。アンケートフォームはシンプルなWebフォームでの実装になりますが、アンケート表示や結果表示のするイベントの送信にはシームレスなテキストデータの送受信が必要となります。
活用できるPaaSとしてはAgoraのSignaling SDKやFirebase Realtime Database等が候補としてあげられます。

リアルタイムクイズ

クイズは視聴者参加型の配信で簡易にライブ配信を盛り上げられる機能です。視聴者の離脱を減らす施策として有効と思われます。こちらもリアルタイムアンケートと同様の実装になります。

リアクションスタンプ

スタンプはハートやイイね等、盛り上がりを表現できる機能になります。スタンプの数が多い時間帯が視聴者にとって魅力的なシーンであったと想定できます。送受信するテキストデータにどのスタンプ画像を表示させるかを含めて実装するのが一般的ですデータの送受信部分はリアルタイムアンケートと同様の実装になります。

SNSシェア

SNSへの拡散は現在かかせない機能です。認知拡大や新規顧客獲得の重要な機能になります。
独自で設置も可能ですが、「SNSリンクまとめサービス」等を利用すれば工数短縮にも繋がります。

アーカイブ動画収録/配信

リアルタイムで参加できなかった視聴者へ向けてアーカイブを配信することで配信の成果を高める事もできます。高度な機能としてはカットや字幕等の編集機能が考えられますが、映像を残す事が基本的な実装になります。
Agora SDKはS3等に映像を録画する機能があります。Amazon IVSでも配信設定の時に録画をする設定項目があります。

バーチャル背景

配信場所の背景を隠したい時や、華やかな雰囲気を出したい時はバーチャル背景が有効です。今では当たり前の機能になってきました。独自で実装するのは難易度が高く、人物の認識と映像加工の技術が必須になります。
Agora SDKでは簡単にバーチャル背景の実装が可能です。

(ポータルサイト等に)視聴画面の埋め込み

視聴画面を既存のサイトに貼り付ける運用はよく見かけます。埋め込み機能は既存のポータルサイトに記事を書くようなイメージで視聴画面の生成が可能です。基本的にはiframeを活用した実装になります。

ユーザーブロック

残念ながら配信に悪影響を及ぼす不適切な視聴者がいる場合もあります。その場合はテキストデータで退室(別ページへのリダイレクト等)の指示を送信したり、映像の視聴をストップさせ、ユーザーをBANする必要があります。
テキストデータの送信はAgoraのSignaling SDKやFirebase Realtime Database等が候補としてあげられます。又、Agoraには指定ユーザーに対して視聴を切断させるREST Full APIの提供もあります。

OBSからの配信

OBSはオープンソースながら、多くの配信者に愛用されている配信ツールです。映像の加工や音声のMix等多くの機能が備わっています。配信スタジオに準備されているPCにインストールされているケースもあります。
OBSはRTMPでの送信に対応しているのでAmazon IVSに手軽に配信ができます。AgoraはOBS用のプラグインを公開しているので実装不要で映像の配信ができます。

スマホによる簡単配信

ビルトインカメラの性能が高い為、スマホでの配信も非常に多いと思います。スマホ用の配信アプリ(Native or Web)の実装が求められる場合もでてきます。実装のポイントとしては、使いやすいUI/UX、端末の負荷軽減、最適な画質コントロール等があげられます。
Agora SDKは各種Nativeアプリ用のSDKやWebSDK、さらにUnityやFlutterのSDKも提供していますので簡単に実装できます。

非機能要件

どのようなアプリケーションでも非機能要件は発生します。ライブコマースシステムにおいて重要な非機能要件について解説します。

負荷(配信端末・サーバー)

ライブコマースにおいて、安定配信を行う事は必須要件です。負荷によって、配信が停止すると集客や事前準備のコストが無駄になってしまいます。特に重要なのは、配信端末とサーバーの負荷対策です。この2つのうち、どちらかが機能しなくなると、だれも視聴できなくなります。配信規模に合わせた入念な負荷テストが必要となります。

ラストワンマイル問題

インターネットの回線にも品質が存在します。中継する機器(ケーブル、ルーター、ハブ等)によっては安定した品質が得られない場合もあります。以下に詳しい記事がありますので詳細はこちらでご確認ください。
ジッター(ジッタ)とレイテンシー(レイテンシ):違い・原因・解決方法

事前確認ツール

配信者、視聴者ともに初めて利用するアプリや環境が変わった時に初めてシステムにアクセスする際、正常にアクセスできるか心配になる場合もあります。気にかけてなく、本番でいきなりアクセスできなかったり、快適に配信できなかったりするとリアルタイム性が失われます。このようなトラブル対策には事前確認ツールが有効です。事前確認ツールについては以下に詳しい記事がありますので詳細はこちらでご確認ください。
ビデオ通話のトラブルに対する実装のコツ

メタバース×ライブコマース

2022年頃からメタバースが急速に加速してきました。エンタメ要素が強いメタバースですが、ライブコマースや展示会等の物販でも十分活用できる可能性を秘めています。
メタバース空間内で、ステージのようなものを構築し、一方向で多くの人にデモンストレーションやデモを配信したり、気になった商品があれば現場の販売スタッフと個別に通話するというような機能も非常に魅力的です。
Agora SDKは一方向の配信と個別の通話どちらも対応しているので映像音声部分については工数短縮が可能になります。

 

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藤本 諭志

執筆者藤本 諭志

株式会社ブイキューブ 技術本部 Agora担当。 2007年ブイキューブ入社。 自社開発サービスであるV-CUBE セミナーの開発に携わる。現在はAgoraとTencent Cloudのプロダクト担当SEをしている。 スキル:Docker/AWS/Linux/DB/Ruby/PHP/JavaScript

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※この投稿は、Agoraの日本総代理店であるブイキューブが、Agoraブログを翻訳した記事です。 ライブ・ショッピングは、世界中のeコマース・ビジネスにとって、最も急速に成長している収益チャネルの一つです。オンラインショッピングの利便性とリアルタイムのエンゲージメントが組み合わさることで、消費者がブランドと交流し、購買決定を下す方法が再定義されつつあります。 中国だけでも、マッキンゼーの報告書によると、ライブ・ショッピングは2025年までに1.2兆ドルに達すると予想されていて、欧米ではまだ初期段階ですが、ジュニパー・リサーチのレポートによると、ライブショッピングの売上は2026年までに550億ドルに達する見込みとなっています。 ライブコマースのこの巨大な可能性は、オンライン小売業者やマーケットプレイスが、ショッピング可能なライブストリームを自社の戦略に統合することを調査すべきことを示唆しています。ブランド、マーケットプレイス、eコマースプラットフォームのコンバージョン率を高めるために、Agoraは最近、最新のライブコマースのトレンドとベストプラクティスを探求する4部構成のウェビナーシリーズ、RTEライブショッピング2023を開催しました。 ここでは、業界の専門家からのこれらの学習に基づいて、ライブショッピングがどのようにコンバージョン率と売上を増加させることができるかを取り上げます。

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