テレワークの導入時に必要な情報を総まとめ!テレワーク導入ガイド
2020.07.10
テレワークの導入プロセス
テレワークの導入は、以下のプロセスに沿って行うことで業務環境の移行をスムーズにできます。
- 導入目的を明確化する
- 現状を把握する
- 導入計画を作成する
- 実施環境の整備
- 労務管理方法の検討
- 情報通信システム・機器の検討
- テレワーカーの執務環境の検討
- 研修等説明会の実施
- テレワークの試行・実施の開始
- 推進のための評価と改善
この導入プロセスは総務省の「テレワーク導入手順書」に則り解説しています。
一つひとつ詳しくみていきましょう。
導入目的を明確化する
テレワーク導入の第一歩は、「目的を明確にする」ことです。当たり前のように聞こえるかもしれませんが、実はこれが曖昧なままになっているケースがあります。
例えば、コロナウイルスの感染拡大が始まってからは、「オフィスに出社できないからテレワークを導入したい」というケースが増えているでしょう。確かに、現実的な問題として、テレワークの導入が迫られていたのは事実です。
しかし、本質的な問題はそこではありません。テレワークの導入は、あくまで企業の発展のためであり、それを実現するために進めるべきです。そこに直結するかが、テレワーク導入の成否の鍵を握るでしょう。
対象範囲を決定する
テレワークの導入前に考えておきたいのは、目的だけではありません。テレワークをどの職種に適用するかなど、対象範囲を決めるのも重要なプロセスです。
例えば、営業職や一部のバックオフィス業務、IT系のエンジニアなど、パソコンやVPN環境が整えば、テレワークへの移行ができるかもしれません。
しかし、店舗業務や工場の生産ラインを担当している社員が、テレワークに移行するのは難しいでしょう。企業内部でも、職種によってテレワークができない社員も当然出てきます。全社一斉でテレワークに移行できるのは、限られた企業になるかもしれません。
現状を把握する
テレワークに移行できる職種の社員が、現状どのような働き方をしているか。その現状を押さえるのも欠かせません。
多くの企業は、オフィスに出社することを前提にワークフローが組み立てられているでしょう。そのワークフローのどこを変えればテレワークへ移行できるのか、調査を通じて見えてくるはずです。
パソコンをデスクトップではなく、ノートPCに変える。オフィスで対面で行っていたミーティングをオンライン化する。現状を踏まえて、解決策を考えておきましょう。
導入計画を策定する
テレワーク導入への道筋が見えたら、次はゴールへ向けてのプロセスを描きます。
突然テレワークへの移行を宣言すると、オフィスでの業務に慣れている社員に動揺を生んでしまうかもしれません。いつから、どのような段階を経てテレワークへ移行するのか、社員に対して丁寧に説明が必要です。
また次の節で詳しくお伝えしますが、テレワークの移行で新たに必要となるシステムやハードウェアを用意する必要もあります。
実施環境の整備
オフィスでデスクトップを使っていれば、ノートPCの導入が急務になり、社内システムが外部から接続できないのであれば、VPNやクラウドサービスを導入して解決する必要があります。
またオフィスで顔を合わせてコミュニケーションをする代わりにSlackなどのメッセンジャーツール、ミーティングを実施するためのテレビ会議システムも欠かせません。
テレワークを円滑に進めるにはIT環境の整備が必要不可欠です。それにかかる費用なども見積もっておきましょう。
労務管理方法の検討
社員がオフィスに出社すれば、タイムカードなどで勤怠や労働時間を管理できます。
しかしテレワークになると、これは不可能になります。労働時間の管理については、そのツールの導入を含めて、検討する必要があるのです。
企業によっては、裁量労働制を敷いて対応するケースもあるでしょう。その場合、社員の賃金体系の見直しなども必要になるかもしれません。
情報通信システム・機器の検討
テレワークの大枠の仕組みが整ってきたら、いよいよ具体的な検討を進めます。
先ほどもお伝えしたとおり、テレワークの成否を握るのは、IT環境の整備が大きなウェイトを占めます。実際に導入するシステムやサービス、ハードウェアは慎重に検討を進めたいところです。
例えば、価格を重視するあまり、安価なテレビ会議システムを導入すると、大人数の会議に対応できないなど、不都合も生じます。事前に使用要件を固めた上で、比較検討を進めましょう。
テレワーカーの執務環境の検討
テレワークは自宅でするケースを想定しているかもしれませんが、お子さんがいる方などは自宅で執務環境を整えられない可能性もあります。
これらの事情を踏まえて、会社としてコワーキングスペースを予め確保することも念頭に置きましょう。
研修等説明会の開催
準備が整ったら、いよいよ社員への説明を開始します。
なぜテレワークを導入するのか、そして労務上の注意点などを伝えます。またテレワーク移行に伴い、人事評価などを改正する場合は、社員が納得するよう説明しましょう。
テレワークの試行・実施の開始
テレワークの本格導入前に、一部の社員を対象にトライアルを実施しましょう。
ここでトラブルなどを潰せば、本導入がスムーズに進みます。社員がどのようなことで困っているか、このフェーズでしっかり捉えましょう。
推進のための評価と改善
テレワークは開始したら終わりではありません。その後、様々な改善プロセスが発生します。
IT周りのサポート、顔を合わせないことを不安に思う社員のケアなど、やるべきことは多々あります。
さらに重要なのが、テレワーク導入による社員のパフォーマンスチェックです。冒頭にお伝えしたとおり、テレワークを導入する最大の目的は「企業の成長」にあります。それが達成できているか、いくつかKPIを設定してトレースしましょう。
テレワーク導入時のポイント
テレワークの運用を進めると、オフィスで仕事していた時のように進められないこともあります。
その中でも、「マネジメント」と「コミュニケーション」は、導入企業がぶつかる壁です。
マネジメント
オフィスに出社すれば、すぐ近くで部下の様子がわかり、業務の進み具合や精神的な状態なども比較的把握しやすいです。
しかしテレワークになると、直接顔を見て判断するのが難しくなります。
また働いている時間ではなく、成果物ベースで評価をするなど、人事制度の刷新も余儀なくされるかもしれません。OKRの導入などで、従業員1人ひとりの職責を明確にして、その進捗と成果で、給与や昇降格を決定するなど検討が必要です。
コミュニケーション
直接、顔を合わせることができないことより、コミュニケーションの取り方を大きく変わるでしょう。
テレワークではチャットツールなどを活用した文字ベースのコミュニケーションが中心になります。対面のコミュニケーションよりニュアンスが伝わりづらく、表情や口調から相手の様子を読み取ることもできません。
テレワークでコミュニケーションが希薄になるのではないか。このような懸念が生まれるのは当然と言えます。
これを解決する手段の1つとして、テレビ会議システムの導入が挙げられます。テレビ会議システムを利用することで、画面越しに相手の表情が見え、話す時の口調も認識できます。テレワークを導入している企業によっては、テレビ会議システムを活用して頻繁にコミュニケーションをとり、業務を進めています。
このように、コミュニケーションの問題は、テレワークを導入する上で工夫が求められます。
助成金について
テレワークの導入については、国や地方自治体も後押ししています。こちらでは、代表的な支援制度を3つご紹介しましょう。
働き方改革推進支援助成金(厚生労働省)
こちらの助成金は厚生労働省が取りまとめています。時間外労働の制限など、労働時間の改善や仕事と生活の調和を推進するため、テレワークに取り組む中小企業事業者を対象に、費用の一部を支援しています。
支給要件を満たすと、テレワーク用の機器などの導入、研修や外部専門家のコンサルティングに対する補助を受けられます。
また予め設けられた成果目標を達成すると、補助率75%(1人当たり上限額40万円、1企業当たり上限額300万円)が助成されます。
IT導入補助金(経済産業省)
IT導入補助金は、中小企業・自営業者のITツール導入の支援を行うものです。
補助は費用の半分(最大450万円)まで受けられ、テレワークの推進を目的とした場合は特別枠(C類型)の適用を受けられ、補助率が75%までアップします。
補助の申請にあたっては、審査があり、業種ごとによって申請できる資本金、従業員数に制限があります。
参考:IT導入補助金
事業継続緊急対策(テレワーク)助成金
コロナウイルス感染拡大を受けて、事業者を支援する動きは地域にも広がっています。その1つが、東京しごと財団が進めている事業継続緊急対策(テレワーク)助成金です。
この助成金は、企業の事業継続対策のために、テレワークを導入する都内の抽象事業者を中心に、導入する機器やソフトウェアなどにかかった経費を助成します。助成金は令和2年9月30日までに取り組みが完了するのが条件となっており、上限以内(助成上限額:250万円)であれば、100%支援があ受けられます。
参考:事業継続緊急対策(テレワーク)助成金|東京しごと財団 雇用環境整備事業
まとめ
ここまで、テレワークを導入するためのステップ、導入時のポイント、そして助成金をはじめとした公的支援の情報をお伝えしました。
今後の情勢次第では、テレワークの必要性はますます高まるかもしれません。その時に備えて、今からテレワーク導入の準備を進めてはいかがでしょうか。
働き方の実践!「ゼロから学べるテレワーク導入完全ガイド」
働き方改革が始まり、「何から手をつければ良いかがわからない……」そうお困りの企業担当者さまも多いことでしょう。そのような課題解決の一手として導入を検討していきたいのが、テレワークです。
テレワークの導入には以下のようなメリットがあります。
- 災害や感染症の蔓延時にも通常と同じように業務を継続できる
- 通勤や移動の時間を有効活用し、大幅なコスト削減につながる
- 地方や海外にいる優秀な人材をスムーズに確保できる
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