遠隔支援で作業品質と効率向上!スマートグラス・Web会議の連携も
2020.06.12
遠隔支援とは
遠隔支援とは、現場の作業者に向けて、インターネット接続により映像や音声を共有し、リアルタイムに遠隔から作業の支援を行うことです。この遠隔支援に使われるツールなどを総称して、遠隔支援ソリューションと呼ばれることもあります。
遠隔支援によって、技術者や熟練者が現場に赴くことなく指示や確認ができるため、現場作業者の作業効率や正確性を向上させることが可能です。また、現場作業者はスマートグラスなどウェアラブルデバイスの着用により、従来のように片手でカメラを持つ必要がなくなったため、作業を止めることなく支援を受けられます。
具体的な活用現場は、機器・設備保全やメンテナンス、点検作業、工事現場、海外の工場・プラント、イベント警備、遠隔医療など。実際に遠隔支援ソリューションを使うのは、現場作業者と遠隔からサポートする熟練者の双方です。
現場作業のよくある課題
一体どのような現場作業の課題に対して、遠隔支援が活用されるのでしょうか。よくある課題を見ていきましょう。
作業品質の低下
- 現場の作業品質にバラつき、作業遅延が生じる
- 事故、ヒューマンエラーを削減できない
- 対象設備の増加に伴い求められるスキルが煩雑化している
作業生産性の低下
- 現場移動やトラブル時の復旧に時間がかかる
- 電話で現場の状況を伝えるのが難しい
作業技術の属人化
- 熟練者の退職により技術継承ができない
- 適正な人材配置ができない
当てはまる課題はありましたか?これらの「作業品質の低下」「作業生産性の低下」「作業技術の属人化」など、現場作業の課題を解決できるのが遠隔支援です。
遠隔支援で解決できる課題・得られる効果
では遠隔支援を活用して、どのように現場作業の課題を解決できるのでしょうか?「作業品質の低下」「作業生産性の低下」「作業技術の属人化」の3つの課題ごとにご紹介します。
作業現場に対する遠隔支援で、品質を担保可
遠隔支援では、作業現場と事務所をインターネットで繋ぎ、映像と音声で現場の状況を共有したり具体的な指示を出したりできます。これにより現場作業者は技術者や熟練者の指示のもとで作業を進められるため、作業品質を保つことができます。
また、作業者のスキルや技術のレベルに左右されることなく一定の品質で作業できるので、対象設備が増加してスキルが煩雑化する中でも品質担保に繋がります。
遠隔から映像で指示し、移動コストも作業時間も短縮
一般的には現場で事故やトラブルが発生したときに、詳しい技術者が現場に赴く必要があります。その移動コスト、トラブル時の復旧にかかる時間を抑えることができるのが遠隔支援です。
インターネット接続で映像と音声を介し、技術者が現場の様子を見ながら指示を出すことができるため、移動が不要になります。結果、全体の作業時間の短縮にも繋がります。また、移動がなくなることにより、技術者や熟練者が少ない場合でも複数の作業現場を遠隔から支援できるのも特徴的です。
映像を記録・保存し、技術継承用の教育コンテンツに
技術者や熟練者が指示を出しているシーンを映像として記録・保存することで、マニュアルや教育コンテンツとして活用できます。紙のマニュアルであれば、実際の操作手順が伝わりづらかったり、何度も実地研修をしていると移動コストや人件費がかかったりします。そこを遠隔支援を活用して実際の作業事例を共有することで、より現実味をもった技術継承や技術力向上が見込めます。
ウェアラブルデバイスとWeb会議の組み合わせでできること
遠隔支援の際に、ウェアラブルデバイスとWeb会議を組み合わせると、さらに得られる効果が大きくなります。
ウェアラブルデバイスは、現場作業者がスマートグラスと呼ばれるPCと繋いだカメラ付メガネをヘルメットにつけて被り、作業現場や手元を映像で共有する際に活用します。Web会議は、映像や音声をクリアな状態で作業現場と事務所を繋ぎ、共有する際に活用します。
では、どんな効果があるのか見ていきましょう。
カメラズームや書き込み、資料共有が簡単にできる
現場作業者がスマートグラスで映した現場の様子をWeb会議で共有する際、カメラズームを行うことで遠く離れたところにある対象物も作業員が移動することなく映すことができます。
また、共有された画面に直接書き込むこともできます。静止画だけでなく映像にも、多拠点から双方向に書き込めるので、スムーズで分かりやすい指示出しが可能です。図面やCAD、データシート、マニュアルなども共有できます。
リアルタイムに複数端末での共有、撮影録画も可能
PCやタブレット、スマートフォンなど、リアルタイムに複数端末で接続ができ、複数人の作業者・技術者で共有可能です。また、指示を出す技術者・熟練者側から録画や静止画を撮影し、対応記録・証跡として残すこともできます。
遠隔支援の活用事例
具体的に遠隔支援を活用して、現場作業の効率を高めたり、教育コストを下げたりしている企業の事例をご紹介します。ご自身の会社と似た課題があれば、照らし合わせて考えてみてください。
経験の浅い検査員にも立体的な映像で遠隔支援|オルガノ株式会社
課題:現場でのOJT教育や、海外へのスタッフ派遣に時間やコストがかかる
成果:遠隔支援で本社から映像共有しながらサポート、海外の現場とも連絡が可能に
水処理の総合エンジニアリング企業であるオルガノでは、納入機器の検査員にとって技能やスキルを身につけるためにOJTによる現場での教育が必須となっていました。また、海外展開に向けて国内からスタッフを複数名派遣する時間やコストが課題となっていました。
そこで、遠隔支援を活用し4G回線でストレスなく映像を共有することで、経験の浅い検査員に対しても同じ目線の映像を共有しながら本社から遠隔サポートしたり、海外の現場ともコミュニケーションをとったりできるようになっています。
リンク:https://jp.vcube.com/case/14501.html
事例2.ハンズオン研修は、機種ごとの短時間の遠隔研修へと置換|エプソン販売株式会社
課題:ハンズオンの集合研修だと、参加者・対象製品の制限や現場へのしわ寄せがある
成果:遠隔研修により、参加率向上、現場作業に支障のない時間での開催、製品ごとの開催ができる
エプソンブランドの情報機器の販売を手掛けるエプソン販売では、機器のメンテナンス委託先である全国各地のサービスパートナー企業に対し、事務所でのハンズオンによる集合研修を実施していました。しかし、参加者が一部に限られたり、スキルの高い人材が研修で拘束され現場にしわ寄せが発生したり、対象製品に限りがあったりと課題がありました。
そこで、自社拠点にいながら出席できる遠隔研修に切り替えることで、全員が参加できるようにしたり、現場作業に支障のない時間に開催できたり、製品ごとに研修頻度を高めたりできています。
リンク:https://jp.vcube.com/case/10501.html
新人教育や現場での対応力向上に遠隔支援を活用|東洋テック株式会社
課題:実務に影響が出たり、不測の事態に新人が対応できなかったりと、OJTのコスト効率とサービスレベルの維持が課題
成果:遠隔からの指示出しにより、複数人のOJT実施や新人の現場警備も安心して実施可能に
機械警備やビルメンテナンスなど、警備全般を幅広く手がける東洋テックでは、現場での実地研修(OJT)が長引いて本来の業務に影響が出たり、研修期間中に経験しなかった事態が発生するとベテラン警備員を派遣する必要が発生したりと、コスト効率とサービスレベルの維持が課題になっていました。
そこで、遠隔支援ソリューションを活用し、教育担当が現場と遠隔のWeb会議でアドバイスや指示を出したり、上長やコントロールセンターがトラブル時にも指示を出したりすることで、複数の新入社員の研修も効率的に実現し、新入社員も安心して現場の警備が可能になっています。
リンク:https://jp.vcube.com/case/8001.html
まとめ|遠隔支援で現場作業の品質・効率をアップできる
働き方改革が求められる一方で、設備保全、保守、点検作業の現場では、作業の属人化や作業者の人手不足などにより、作業品質の維持、作業効率の悪化への懸念が高まっています。
こうした状況を解決するために遠隔支援を活用すれば、作業品質・効率アップだけでなく、現場作業者の負担軽減やコスト削減が可能です。
デモや実験利用もできるので、スマートグラスとWeb会議の組み合わせも検討してみてください。