【事例あり】オンライン営業ガイド|メリットと成功させるコツ
2021.08.12
オンライン営業とは
そもそもオンライン営業とは、Web会議システムを用いた営業活動を指す言葉として使われる場合が多いです。
本章ではオンライン営業の代表的な2つの営業形態について解説します。
1.インサイドセールスが利用するケース
インサイドセールスとは、自社のセールスリード(=見込み客)に対して非対面でセールス活動を行う手法です。従来であれば電話やメール・FAXといったツールを用いて行うことが多かったのですが、最近はWebを用いて行う手法が徐々に広がっています。
インサイドセールスは、フィールドセールスがクロージングを行う前段階、つまり商品やサービスに対する理解促進を図り購入への道筋をつけるプロセスを担うことが多く、受注確率を上げた顧客をフィールドセールスに引継ぎを行いクロージングすることになります。
本来、クロージングへ至るこのプロセスもフィールドセールスで行うケースが多いのですが、業務効率や移動コストの観点からインサイドセールスを導入する企業も増加しており、Web会議システム活用することでさらなる効率化とコスト削減を実現することが出来るようになります。
2.フィールドセールスが利用するケース
フィールドセールスとは、顧客のオフィスへ足を運び先方担当者とフェイスtoフェイスで商談を行う手法です。初回訪問からクロージングまで商談活動におけるすべてのプロセスをフィールドセールスが担当することもあれば、インサイドセールスと役割分担をして重要なプロセスだけをフィールドセールスが行うこともあります。
フィールドセールスがWeb会議システムを使うケースですが、顧客とのアポイント調整が難しい場合や顧客が遠方の場合などがあります。
オンライン営業のメリット・デメリット
Web会議システムを用いたオンラインの営業活動には多くのメリットがあります。一方、デメリットもあるため、メリットとデメリット両方について解説します。
メリット
オンライン営業のメリットは以下のとおりです。
自社の課題を踏まえ、業務効率化が実現できそうかチェックしてみてください。
1.移動時間の短縮・旅費交通費の削減
営業活動における移動時間の増加は生産性低下の一因となります。HubSpot Japan株式会社が2019年に行った「日本の営業に関する意識・実態調査」によると、日々の商談の移動時間が無駄であると感じている人は24%も存在します。また、キーパーソンとの面会ができず再訪問についても26.6%が無駄と感じており、移動時間を短縮・削減することが生産性向上のキーとなることを裏付けています。
Web会議システムを使うと、この移動時間が大きく削減できます。あわせて移動にかかるコスト、つまり旅費交通費の削減も期待できます。もちろん、社用車の維持コストもこれに含まれるでしょう。
参考:「日本の営業に関する意識・実態調査」 HubSpot Japan株式会社
2.商圏の拡大
移動時間やコストの削減とともに、Web会議システムを使うことによる商圏の拡大もメリットの一つです。対面営業の場合、営業社員が移動できる範囲内での活動に限定されます。つまり顧客の所在地によっては、どれだけ有望な見込み客であろうと訪問不可という物理的な制限を受けてしまうのです。
Web会議システムであれば、インターネット環境がありさえすればどこへでも営業に出かけることが出来ます。これにより自社の商圏が拡大するとともに、遠方に営業拠点を設けるコストも削減することが可能となります。
3.電話営業よりも高い訴求効果
上記2つのメリットは電話営業でも可能です。しかし、電話営業では自社の商品・サービスを詳しく説明することが非常に難しいでしょう。誰もが知っている商品・サービスであれば電話営業でも問題ないですが、コンサルティングを要する商品・サービスの場合はそれなりのプレゼンテーションも必要となります。顧客の心をつかむようなプレゼンテーションは、Web会議システムを介して視覚的に訴えた方がより効果的です。オンラインでの資料共有や商談中の仕様変更もWeb会議システムなら容易に対応できます。
4.リモートワークが可能になり、離職率の改善や企業の魅力度向上につながる
オンライン営業を導入すると、ネットワークとデバイスさえあれば営業活動ができるため、営業でもリモートワークが可能となります。近年転職活動の際には「リモートワーク」など働き方の自由度を重視する求職者も珍しくありません。
パーソルキャリア株式会社の「第2回リモートワーク・テレワーク企業への転職に関する意識調査」では、転職先を検討する際の条件として「『リモートワーク・テレワーク』が重要」と回答した人は54.4%でした。
オンライン営業を導入すれば、求人情報に「リモートワーク可」と記載できるので、求職者から見た魅力度の向上が期待できます。
デメリット
コストの削減や電話より高い訴求効果が期待できるオンライン営業ですが、デメリットもあります。
利用するシステムの機能や営業の進行で改善できる点もありますので、確認してみてください。
1.ツールによってはセットアップが必要になる
一方、Web会議システムのデメリットですが、ツールによってはセットアップが必要になるものがあるという点に注意しなければなりません。システムそのもののインストールや初期設定、あるいは周辺機器の接続など顧客側に何かしらの準備が必要となることがあります。
2.一方的なコミュニケーションになってしまいがち
オンライン営業ではWeb会議システムの画面越しに相手とコミュニケーションをとるため、対面時より相手の反応を見ながら進めることが難しくなります。
エンジャパンが行った「300社に聞く!『オンライン商談』実態調査」では、オンライン商談において懸念点に感じることとして、59%の企業が「コミュニケーションの難しさ」と回答しています。
顧客にビデオオンで参加してもらえるよう依頼したり、通常の営業時より質問を挟む箇所を多くしたり、円滑に意思疎通する工夫が必要です。
デメリットを払拭し、オンライン営業を成功させるコツについては次章で解説します。
オンライン営業を成功させるコツ
オンライン営業を成功させるためのポイントとして、こちらでは以下の4つの項目に分けて解説していきます。
オンライン営業がうまくいっていない方、これから導入する方はぜひこちらで解説する内容を実践してみてください。
1.インターネット環境やツールを整える
オンライン営業では、快適に商談を行える環境を整えることが大切です。途中で途切れないようにインターネットの通信回線を整えたり、相手が見やすく聞こえやすいようにマイクやカメラの性能が良いものを利用したりするなどの対策を行いましょう。
2.見え方や聞こえ方のテストをする
相手からどう見えるか、どう聞こえるかに気をつけるようにしましょう。
クライアントから良い印象を受けるよう明るい場所を選んだり、周りの雑音が入らない場所を選んだりして、声がよく聞こえる環境に整えることが大切です。
商談を始める前に、見え方や聞こえ方を一度テストすることをおすすすめします。
静かな環境をなかなか作れない場合は、ノイズキャンセリングソフトを導入して通話のノイズが入らないようにするのもよいでしょう。自分の周りの環境音や参加者から聞こえるノイズをカットできるので、快適に通話できます。音声処理はローカルで行うため、セキュリティ面でも安心して利用可能です。
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3.双方向のコミュニケーションを意識する
オンライン営業では、対面の営業よりも双方向のコミュニケーションを意識することが大切です。
画面越しでは、相手の表情や反応が対面時よりも分かりにくく、話している内容が相手に伝わっていないまま、商談を進めてしまう可能性があります。
株式会社アンドワーズの調査(複数回答可)で、オンライン商談での課題や悩みについてアンケートを取ったところ、以下のような結果となりました。
カメラ越しだと相手の反応が分かりづらい:55.9%
PCを前にした際の目線の置き方が分からない:29.7%
相手がカメラオフの際に相手の反動が一切わからない:28.8%
多くの営業マンが、コミュニケーションが上手く取れているか不安と感じています。
オンライン営業を行う際は、聞き取れなかったところはないか確認したり、話す速度を調整して聞きやすい速度にしたりするなどの工夫を行い、双方向のコミュニケーションを意識することが大切です。
4.事前に資料を共有する
オンライン営業を始める前に、資料を作って共有しておくとスムーズに商談を進められます。
商品の説明や細かいデータなどを伝える場合、商談時間が長くなってしまい、相手が聞き疲れてしまうことがあるためです。
あらかじめ資料を送付して商談前に目を通してもらうと、スムーズにオンライン営業を進められるようになります。商品説明の時間を省き、質問などの時間を増やせるため、よりクライアントが課題に感じている点の解決に時間を使えます。
オンライン営業をスムーズに進めるために、「資料の事前共有」と「理解してもらいやすい資料の作成」を意識しましょう。
なお、事前資料には動画コンテンツを取り入れるのも有効です。「ラーニングピラミッド」と呼ばれる学習定着率の研究では、文字よりも動画の方が2倍ほど記憶に残りやすいと言われています。動画を使うことでお客様の商品・サービス理解度を高めることができるでしょう。
オンライン営業で動画を使うメリットについては「オンライン営業を動画で効率化!営業人材・組織を強化するための活用法を紹介」で詳しく解説しています。
オンライン営業の成功事例
では、具体的にWeb会議システムを使ってオンライン営業を行っている企業の事例をご紹介します。国内シェアNo1のV-CUBEを導入し、前述したメリットを享受している企業です。
パパママハウス株式会社
オンライン営業導入の目的
愛知県名古屋市に本社を置くパパママハウス株式会社。顧客が自由にデザインできる注文住宅の設計・販売を行っている企業です。完全注文住宅であるため、顧客との商談は数十回にも及び、遠方の顧客との商談がなかなか進まないという課題を抱えていました。また、「家が狭いから自宅での商談はNG」という顧客もいたため、営業のスケジューリングが難しく、生産性が低下する要因にもなっていました。
オンライン営業導入の成果
オンライン営業の導入後、移動時間が削減されたことによりきめ細かな商談スケジュールの作成が可能となりました。また見本や資料などの持ち運びが不要となったことで営業の負担も軽減。商談相手が個人客のため、家事の合間で短時間の商談を行うといったスタイルも行えるようになりました。また、離れて暮らす家族も一緒に商談に参加できるため、顧客満足度の向上も図れるようになっています。
◇企業名:パパママハウス株式会社
◇事業内容:デザイナーズハウス・個性派注文住宅建築事業 他
◇従業員数:37人
オンライン営業用Web会議システムの選び方
Web会議システムを営業で活用する場合、システムの選び方には注意が必要です。自社側・顧客側双方で活用することになるため、可能な限り手軽で操作が複雑でないものを選ぶ必要があります。
特に重要な「ダウンロードの必要がないもの」と「電話と組み合わせて利用できるもの」について紹介します。
1.ダウンロードが必要ないもの
導入に際してダウンロードが必要なシステムの場合、顧客側に大きな手間が発生します。それが個人客の場合、たとえ無料であったとしても心理的なハードルは高くなり、顧客のパソコンスペックによっては対応していないシステムもあるでしょう。
営業活動で使うWeb会議システムは、ダウンロードやセットアップが不要であり、できればデフォルトのブラウザなどに対応しているシステムがベストです。
2.電話と組み合わせて利用できるもの
Web会議システムはインターネットを通したやり取りとなるため、そのクオリティはネット環境に大きく依存します。顧客のいる場所によっては満足な通信環境が得られない可能性もあるため、万が一のバックアップとして電話回線(音声)と組み合わせて利用できるものだと安心です。
オンライン営業のためにあると便利なツールと周辺機器
オンライン営業にはWeb会議システムに加え、以下2つのツールを用意しておくと、営業活動がスムーズに進みます。
- MA・CRM・SFA
- マイクやカメラなどの周辺機器
準備が必要なものがないか確認しましょう。
MA・CRM・SFA
MA(マーケティングオートメーション)やCRM(カスタマーリレーションマネジメント)、SFA(セールスフォースオートメーション)といった営業周りのシステムもあると良いでしょう。
特にインサイドセールスとフィールドセールスが役割を分担して活動を行うケースでは、CRMやSFAといった顧客管理システムは必須です。商談機会を逃すことなく適切なタイミングで適切な営業活動を行うためには、これらのシステムの支援を借りることが重要となってきます。
周辺機器
Web会議システムをより効果的にかつようするためには、マイクやカメラといった周辺機器も必要です。商談に臨む人数が一人ないしは少人数の場合は、ノートパソコン内蔵のマイクとカメラで対応することも可能ですが、大人数の場合は別途調達が必要となるでしょう。
また、インサイドセールスをコールセンターの業務として行う場合、CTI (Computer Telephony Integration)も必要です。顧客情報や通話内容の記録、通話のモニタリングなど、インサイドセールスを行うのに必要な機能を実装したCTIは、前述したSFAやCRMと組み合わせることでより効果的になります。
まとめ
営業活動をWeb会議システムで行うことは、特にコストをはじめとする生産効率的なメリットが大きく、多くの企業で導入が進んでいます。対面での営業活動を重視しつつ営業プロセスの進捗状況に応じて適切にWeb会議システムでの営業活動を取り入れることは、ある意味時代の流れともいえるでしょう。
多くのメリットがあるWeb会議システムによる営業活動。手軽に導入できるツールも多くあります。まだ体験していない企業の方は、ぜひこの機会に導入を検討されてみてはいかがでしょうか。
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