インタビュー
株式会社エスクロー・エージェント・ジャパン 取締役 システム業務本部長 漆原達弥氏にV-CUBE ミーティング導入の背景、経緯、そして活用状況と今後について詳しくお伺いしました。
非対面取引による決済に対応するためにV-CUBE ミーティングを導入
現在、V-CUBE ミーティングをどのように活用されていますか。
当社では、金融機関様と業務委託契約を締結し、金融機関様がWeb会議システムを活用しお客様本人と面談し住宅ローン契約締結までの支援サービスを提供しています。そしてこの支援サービスの面談ソリューション部分は、V-CUBE ミーティングを活用しています。
具体的には、Web会議システムを活用した住宅ローン契約の際には、お客様側には、当社と委託契約を結んだ司法書士が立会います。住宅ローンの説明は金融機関様側で行いますが、PC操作、Web会議システム操作は、司法書士が行います。
本人確認を司法書士が行い、金銭消費貸借契約が完了します。
このスキームのITソリューション部分をV-CUBE ミーティングが支えているのです。
金融機関様の機会損失を防ぐソリューションの提供
すると金融機関様とお客様本人は直接お会いにならないわけですね。
その通りです。
このスキームの利用は、地銀、第二地銀、新興の銀行の御利用が多く、住宅ローンを申し込まれたお客様の契約希望日時に遠方より出向く事が出来にくいケースが出て来ます。通常そうした契約の際は、金融機関の担当者が出張して契約を交わしています。ところが金融機関のどなたでもローン商品の説明ができるわけではありません。契約に立ち会える方の数は限られています。その方自身が動かないと契約が交わせないことになると、機会損失にもつながりますし、コスト増にもつながりかねません。
そこで当社が不動産エスクロー事業の一環として、クロージング事業のご提案を行わせて頂きました。面談にはWeb会議を利用し、契約の立ち会いには、Web会議の操作を覚えた司法書士があたります。
金融機関様はWeb会議の活用に対して抵抗感はなかったのでしょうか。
当初はありました。ただ、今まで実行しにくかった土日に契約ができることで、機会損失を防げるとお話しました。出張経費の削減にもつながり、かつ契約件数を増やすことができるのではと提案し、2008年にトライアルでWeb会議を利用した面談を実施して頂いたのです。
この時はV-CUBE ミーティングを含め4製品を比較検討しており、それぞれトライアルで使用してみました。
金融機関様の情報要項をクリアしたのはV-CUBE ミーティングのみ
V-CUBE ミーティングを導入された理由をお教えください。
金融機関様の情報要項ではプラグインが必要になるシステムは採用されませんので、プラグインが必要ないシステムはV-CUBE ミーティングだけでした。さらに、4〜5年前もデータ通信カードでの運用を考えていましたので、電波が弱い時に映像帯域の調整を行えることが必須でした。この2つの条件をクリアしたのがV-CUBE ミーティングだったのです。また、運用上のトラブルに対して、ブイキューブの親身なサポートに助けられたことも理由の一つです。
トライアルではクラウド型を利用していましたが、Web会議を運用するのは当社委託先の司法書士の方々になります。操作リテラシーにばらつきがある中、できるだけシンプルな操作でWeb会議に参加できるようにしたいと相談したところ、カスタマイズも可能なオンプレミス型があるとの提案を受け、導入を決めました。
現在では、面談開始30分前に司法書士のパソコンとテスト接続を行い、環境を確認した上で、当社から金融機関様とお客様本人に立ち会う司法書士双方に招待メールを送ることでWeb会議を行っています。司法書士の方のパソコン操作そのものはずいぶん楽になっていると思います。また、お客様本人と司法書士が集まる場所はご自宅や住宅展示場などになり、通信環境が整っていないケースがほとんどですから、当社から司法書士に向けて「PCキット」と呼んでいる、パソコン、マイク・スピーカー(YAMAHA PJP-10UR/20UR)、データ通信カード、そしてマニュアルなどのセットを貸出しています。
毎年140%の伸率で成長を続ける
V-CUBE ミーティングを導入された効果を教えてください。
導入以来の累計で、金銭消費貸借契約件数は、2,013件を数えました。年間140%の伸長で推移しています。今年は会議室不足が予測されましたので、サーバーを増やし会議室も追加いたしました。
V-CUBE ミーティング単体でのトラブルに関しては、導入以来契約が出来なかった例は1件しか発生していません。昨年実績では、実行実績の5%程がデータカードによる電波に起因するトラブルが発生しましたが、それら原因は特定出来ている事から、別のキャリアを利用する、もしくは今後も成長する通信速度環境を考慮すると、事故率は年々低下して行くことが予測出来ます。
金融機関様の効果としては、先にも述べましたが、土日に契約を交すことでの機会損失を防ぎ、出張コストの削減ができる点が大きいと思います。当社で扱わせていただくうち約6割が土日の契約ですので、金融機関様のメリットも大きいと思います。
金融機関様に成功事例として認識される
今後のV-CUBE ミーティングの活用予定をお教えください。
金融機関様の中では成功事例として当社サービスを扱っていただけますので、より業務の深堀につなげたり、あるいは他の金融機関様をご紹介いただいたりと、今後さらにV-CUBE ミーティングの活用度合は増えるものと思われます。V-CUBE ミーティングを使ったサービスという点では、エスクロー事業ではありませんが、国土交通省が開始したWeb会議を利用した宅建主任者による不動産決済における重要事項説明の実証実験には注目しています。
また、現在使用しているオンプレミス型は業務量の増加に伴い設備投資が必要になってきます。改めてクラウド型の利用も検討したいと考えています。接続方法をより簡易にしたサービス提供に期待しています。
※取材日時 2014年4月
※記載の担当部署は、取材時の組織名です。