同世代の友達が極端に少ない極小規模校同士の接続で児童のコミュニケーション力を向上
市内22校の小学校のうち3校が、全校児童数が10名に満たない極小規模校である岐阜県郡上市。極小規模校同士を遠隔教育で接続することを目的として、極小規模校と教育委員会にV-CUBE Boxを導入し、児童のコミュニケーション力向上を図っている。また、他の小中学校ではV-CUBE ミーティングを導入し、市内全校と教育委員会との間で遠隔会議が行える体制を構築。教職員の働き方改革という面でも大きな効果を上げている。
極小規模校が抱えていた課題
極小規模校を中心に同級生の数が少ない
大人とのコミュニケーションはできる、同級生に自分の考え方を理解してもらうためのコミュニケーション力を育てる機会が少ない。
道徳の授業などで意見交換できない
対話型の授業を行いたくても、同級生がいなかったり少数であったりするため、他の児童の意見をもとにした議論ができず、多様な見方・考え方に触れることができない。
限られた数の教職員が学校を離れる負担
極小規模校は教職員数が限られているにもかかわらず、市域が広域にわたるために、往復で2時間以上かかるような場所へ教職員が研修、会議に出向く機会が多かった。
V-CUBE BoxとV-CUBE ミーティングでこう解決!
極小規模校同士をリモコン操作でテレビ会議接続
極小規模校にV-CUBE Boxを導入し、安定した画質、音声でのテレビ会議を簡単に接続できるように。対話する同級生が増えたことで、子ども同士でのコミュニケーション力が向上。
従来も年に数回、近隣の姉妹校を訪問しての共同授業を行っていたが、十数人の中に1〜2名が加わると転校生やお客様のような状況になりがちであった。遠隔会議システムの導入により、同じ状況にある極小規模校同士の交流が実現可能になり、子どもたちが対等な関係で打ち解けることができている。
2校を接続した遠隔教育により多様な考え方に触れる機会を創出
距離が離れており実地での交流が難しい極小規模校同士をV-CUBE Boxで接続することで、道徳や総合的な学習における意見交換が可能に。
学校によっては複式学級どころか“飛び複式”(学年を1つ以上空けて2つの学年を1クラスに編成する学級方式)というケースもあるが、同じ学年の同級生がいる他校と接続することが可能になる。
自校にいながら研修や会議に参加、教職員の移動負荷が大幅に低減
極小規模校以外にV-CUBE ミーティングを導入したことで、市内の全小中学校を遠隔会議で接続できる体制を構築。
教職員は学校業務が終わってから、峠を越えて往復2時間以上かかる場所での研修や会議に出向くケースも多かったが、学校にいながら参加できるようになったことで移動負荷が低減。勤務時間が長時間化しがちな教職員の働き方の改善を実現。
V-CUBE BoxとV-CUBE ミーティング選定のポイントは?
簡単な操作で学校間の接続ができる製品であるか?
ITに詳しくない教職員でも、迷うことなく扱える製品であること。
- V-CUBE Boxはボタンの数を厳選した簡単操作のリモコンで直感的に操作可能
- 電源を入れるとすぐに立ち上がり、3ステップで会議を開始
極小規模校以外の全小中学校も低コストで遠隔会議を利用できるか?
既存のパソコンの利用により、手軽にWeb会議に接続できること。
- V-CUBE ミーティングは多彩な端末で利用可能
- クラウドサービスなので低コストで導入
お客様の声
「テレビの向こうに同級生がおる!」と児童が大はしゃぎ
郡上市教育委員会学校教育課
課長 國居 正幸 氏
私自身が石徹白小学校の校長を務めていたときの全校児童数はわずか4名でした。V-CUBE Boxを導入し、初めて他の小学校と接続したときの「テレビの向こうに同級生がおる!」と児童が興奮していた光景は忘れられません。
ある程度の人数がいる学校にとっては、極小規模校とテレビ会議で交流するメリットは薄いのが実情です。そこで極小規模校同士をつないでみたところ、同級生がほしいという思いがマッチしたんでしょう。水を得た魚のように大喜びで意見交換をするんです。
私が学校にいたときには、昼休みも他校とテレビ会議でつなげていました。そうすると子どもたちが画面の前に集まって、テレビの向こうの同級生たちと会話しているんです。
遠隔教育により、多様な考え方に触れる機会ができることも大きなメリットですが、それ以上に「日常的なコミュニケーション」ができるという点が、大人も含めて限られた人間としか接することのできない地域では重要だと実感しています。
移動しなくても研修や会議に出席できることで教職員の負担が減った
郡上市教育委員会学校教育課
主査 村土 尚 氏
教育委員会に異動してくる前は中学校に教諭として赴任していましたが、どの学校でも、他校での打ち合わせや研修は月に1度以上はありました。地理的な要因で峠を越えたりするケースも多く、移動に1時間以上かかるため、正直しんどかったのですが、学校業務が終わってから、時間をかけて移動して会議をし、また時間をかけて帰ってくることがなくなり、負担がかなり減りました。
また、学校に配属されている教職員は、都市部と異なりとても少人数です。例えば石徹白小学校の教職員は担任が2人、校長が1人、養護教諭が1人の計4人というように、1人ひとりの役割が多岐にわたるので、長時間学校を空けるリスクが低減できるのも大きいと思います。
岐阜県郡上市教育委員会様における
V-CUBE BoxとV-CUBE ミーティングの活用法
岐阜県郡上市は、東京23区の約1.6倍という広さの上に山間部という地形のため、峠越えの移動が日常的である。そこで、岐阜県郡上市教育委員会は、テレビ会議システム「V-CUBE Box」とクラウド型Web会議システム「V-CUBE ミーティング」を導入。学校間での遠隔教育のほか、教職員会議や研修でも利用している。また、他の自治体との交流により遠隔教育の効果的な活用を模索するなどの動きもスタートするなど、幅広い活用を視野に入れている。
市内の全小中学校でテレビ会議、Web会議を行える体制を構築
極小規模校をはじめとした5校と教育委員会にはV-CUBE Boxを設置。それ以外の小中学校にはパソコン利用によるV-CUBE ミーティングを導入している。
「もともとは、極小規模校の児童のコミュニケーション力向上のための施策として遠隔会議システムを導入。さらに、広大な市域で、学校業務終了後に移動が必要となっていた教職員の研修、会議でも遠隔会議システムが活用されている。
極小規模校を接続しての遠隔教育
写真は、50Km以上離れた西和良小学校(3年生の児童3名)と石徹白小学校(同1名)をそれぞれのV-CUBE Boxで接続しての道徳の遠隔教育の様子。
教職員の研修や会議を遠隔で
教職員の数が都市部に比べて少ないため、1人の教職員が研修や会議で学校を離れた場合に、残された教職員への負担も大きい。また、養護教諭が現場を離れるリスクの低減にもつながる。
今後の展開:市内小中学校の教育環境充実のほか、市外との連携なども視野に
プログラミングやALTによる一斉授業
小学校におけるプログラミングや英語の必修化による指導者不足は全国的な課題だが、プログラミング教育についても、市内のテレワークオフィス「HUB GUJO」から講師を招き、教育委員会のシステムを利用し各校に配信することも予定。市内に7人いるALT(外国語指導助手)についても同様に、一斉に英語教育を展開する構想を持っている。
東京都港区の学校との遠隔での交流
郡上市と東京都港区は、江戸時代の郡上藩主が現・港区青山に屋敷を構えていた歴史的背景もあり、友好交流都市として子どもたちの交流事業を行っている。
その一環として、郡上市と港区をV-CUBE ミーティングで接続しての交流を予定している。
岐阜県白川町との間で開く、ぎふ遠隔教育協議会を組織
山間部に位置し、各校が離れているという共通の課題を持つ岐阜県の白川町と郡上市が合同で協議会を立ち上げ、岐阜大学や県教育委員会の情報担当の先生をアドバイザーとし、遠隔教育の効果的な活用について、交流を図りながら模索。2018年7月には両市の教育委員会や小中学校で遠隔会議システムを利用して会議が実施された。