インタビュー
課題
見込み客獲得へ向けてセミナーを開催。営業エリアは日本全国であるため、各地域の見込み客開拓のためにも、東京で行われるセミナーを地方に訴求する手段を考えていた。
コニカミノルタビズコム株式会社(以下、コニカミノルタビズコム)、コニカミノルタビジネスソリューションズ株式会社(以下、コニカミノルタビジネスソリューションズ)では、2009年度より、ターゲットとする顧客が抱える課題や関心に合わせた多様なセミナーを企画、スタートさせた。当初は3ヵ月に1回程度の開催だったが、好評を博したため、2010年度は月1回の開催にまで増やした。セミナー申込者増員に威力を発揮したのは、実はテレマーケティング(以下、テレマ)なのだとコニカミノルタビズコム 青山成道氏は語る。
「セミナーへの勧誘または告知はテレマやメディア掲載、ターゲティングメールなどを用いていますが、その主力としているのはテレマです。テレマは、従来は顧客から敬遠されるなど、営業活動としては、かなり非効率的だった。しかし、セミナーの案内には、オプトイン(承諾)する傾向が高いのです。セミナーに関心を示すのは、私たちの見込み客ですから、ここでインフォメーションのためにいわゆる“名刺情報”を取得します。これが非常に貴重なことなのです」
コニカミノルタビズコム株式会社 第1事業部 第1営業部 部長代理 青山 成道氏
テレマは、他のマーケティング手段と比べて、圧倒的に名刺情報の取得率が高いと青山氏はいう。「当社ではこうした情報をハウスリストとして蓄積し、営業活動や、継続的に行われるセミナーへの勧誘の資源としています」
コニカミノルタビズコム、コニカミノルタビジネスソリューションズ両社のセミナーは、2011年度には年間10数回を数えるにいたった。これらのセミナーは、丸の内や新宿など都心で行われる(規模は最大50名)。両社は、全国的に営業展開しているため、地方の見込み客にも、このセミナーをなんらかの形で訴求できないかと考えた。そこで検討されたのが、webinar(ウェビナー)だった。
決め手
V-CUBE セミナーは接続安定性が高い。またブロードキャスト品質向上に努めた製品であること、IDが必要なクローズドな配信環境であること。
両社では、まずwebinarに、Ustream(ユーストリーム)の利用を考え、テストを試みたが、画像や音声の途絶が度々あることから他のwebinar利用を検討、以前から認知のあったV-CUBE セミナーを試験的に導入した。
セミナーを視聴するのは、貴重な見込み客であることから、画像・音声が途切れることはあってはならない。「いろいろな環境でテストをしました。自宅とつないでみたり、関連会社や仕入れ先にも協力してもらったりして通信を試みました。あえて環境の劣悪な状況を作って試用したりもしましたが、V-CUBE セミナーはつねに安定していましたね」(青山氏)
また、V-CUBE セミナーは、web会議システムなどとは基本的に仕様が異なり、ブロードキャスト品質向上に努めた製品であることも、評価のひとつとなった。
さらに青山氏は、V-CUBE セミナーは受講者を、発行したIDにより限定できる点を評価している。「私たちのセミナーでは顧客が講師となって、私たちの商品の導入事例を講義する場合があります。ここでは、秘匿性の高い情報を語ることもあるので、誰が受講しているのかがしっかり管理できること、特定できることが重要となってきます。クローズドな配信環境であることが望ましいのです」
また、受講者の入退室ログの確認が可能で、ユーザの閲覧状態などを分析できるツールが揃っている点、さらには充実したサポート体制なども、選定ポイントとして挙げた。
効果
セミナー参加者はオンサイト、オンラインとも増加。拠点数は25から50へ増強、商談発生率向上に貢献。マーケティングの結果、地方の見込み客との商談発生率が高いことが分かる。
コニカミノルタ ビジネスソリューションズ株式会社 ソリューション事業推進センター ICT営業部 コンテンツマネージメントグループ 山本 晋也氏
2010年5月、V-CUBE セミナーによる、コニカミノルタビズコム、コニカミノルタビジネスソリューションズ両社主催のセミナーのライブ配信はスタートした。接続は25拠点とした。導入当初こそ、このwebinar利用者は少なかったものの、フォローコールなど着実な努力が実を結び受講者は増え続けた。 「ついに2011年末、申込みは25件を上回るに達しました。そのため、先頃V-CUBE セミナーの契約を50拠点にまで増やしました」。そう語るのは、コニカミノルタビジネスソリューションズ 山本晋也氏だ。
両社の調査によると、セミナー参加者のうち商談にまで辿り着く、いわゆる「商談発生率」は、約2割に当たるという。現在オンサイト(会場)は、50名に近づく満杯状態。webinarは、参加者枠が倍になったことにより、まだまだ伸びしろがある。商談数の増加にも貢献すると考えられる。
これまでの統計によると、webinar利用者は、東京圏とその他地域で半々の割合だった。東京圏は、距離的な点からもフォローしやすく見込み客として優位性を持つが、しかし先頃、地方からのwebinar利用者にマーケティングをかけたところ、商談発生率が格段に高いことが分かった。「この課題に対する施策はまだまだこれから」と青山氏はいうが、webinarが思いもしない効果を上げた一例といえるだろう。
コニカミノルタ ビジネスソリューションズ株式会社 ソリューション事業推進センター ICT営業部 コンテンツマネージメントグループ 石原 俊氏
また、webinarは、アンケートの回収・集計の効率化にも貢献している。 「私たちは、講義内容にあわせ、独自にwebのアンケートフォームを作成し、V-CUBE セミナーのバナー広告欄にリンクさせる手法を取っています。これは講義の内容によってアンケート内容を作りかえているからです。webinar参加者の約半数から回答がきますが、効率的に集計できています」そう語るのは、コニカミノルタビジネスソリューションズ石原俊氏だ。
会場では、紙ベースでアンケートを取るため集計に手間を取るが、webベースのアンケートは自動集計されるので手間がかからない。「V-CUBE セミナーのアンケート機能活用は今後の課題」と同氏は語る。
展望
両社では、今後はV-CUBE セミナーを顧客獲得のプロモーションツール以外の用途で活用することを検討している。
「例えば、私たちがシステム導入をしたお客様へ、その活用方法の説明会を開催するのに、V-CUBE セミナーは使えると思います」(青山氏)。 またweb構築サービスを提供したお客様に対し、アフターサポートとしてwebサイトの営業効率向上やSEO対策といった講習を、全国へ向けてV-CUBE セミナーで展開していくことも考えているという。
さらには、コニカミノルタグループ内での、各種会合にもV-CUBE セミナーを用いたいという。グループ内での会合は数十人から百人単位に上ることもあるため、web会議システムよりも、V-CUBE セミナーのような、1:N型(1万拠点に同時配信が可能)のシステムのほうが向いているのだ。
取材後記
セミナーは、見込み客獲得の貴重な場であるが、遠隔地からはどうしても足を運びづらいという難点がある。しかしV-CUBE セミナーのようなライブ配信システムを用いれば、距離・場所といった問題は払拭できる。双方向性が高いため受講者の関心・参加意識も高く喚起できる。今回の「地方のほうが商談発生率が高い」というデータも、地域顧客に対してアプローチを行うことが、マーケティング上、どれほど重要かということを物語っている。
※本事例は2012年3月に取材した内容を基に作成・掲載しております。