インタビュー
株式会社茨城県農協電算センター 推進部長 浅川紀久夫氏に、V-CUBE ミーティング導入の背景、活用状況、そして今後の取り組みについて詳しくお伺いしました。
広大なエリアを持つJAの誕生により、1か所に集まる会議開催に課題が生じた
V-CUBE ミーティング導入前、どのような課題があったのかをお教えください。
茨城県農協電算センターは茨城県内のJAおよび関係機関のシステム開発や運用、システムコンサルティングを行っています。 数年前から政府はJA改革を進めています。JA自体の体質強化が叫ばれ、盤石な事業基盤づくりのためにJA同士の合併が行われました。たとえば茨城県内では、2014年8月1日に北部5つのJAが合併して「JA常陸」が誕生しました。管轄区域は11市町村におよび、太平洋側から福島、栃木の県境の山間部までにいたる、広大なエリアになりました。その結果、本店までの移動に、高速道路を使っても片道1時間半かかる支店が多くなり、本店での会議開催をどのように行うかが課題となっていました。
県内のJAをシステム面でサポートする当センターは、解決に向けて必然的にIT活用を考え、3年ほど前から取り組みを始めました。
オンプレミスによるWeb会議とペーパーレス会議を実現
V-CUBE ミーティング導入までの経緯をお教えください。
お付き合いのある複数のメーカーやITベンダーにお声がけしました。各社からいろいろな製品を紹介していただき、のべ6社の製品を比較検討しました。その中で、キヤノンマーケティングジャパン株式会社に紹介いただいたのがブイキューブの「V-CUBEミーティング」です。当センターとつないで3回のデモンストレーションを行ってもらいました。
どのような要件で比較検討されたのですか。
「拠点間をつなぎ、映像や音声を使ったコミュニケーションができる」ことが最も必要な条件でした。店舗から本店に移動する際の距離的・時間的なロスをなくすことに主眼を置いて検討を進めました。
当センターと県内の各JA間には専用線によるネットワークを構築していますので、セキュリティの面を考慮して、オンプレミスによる導入を予定していました。
さらに、検討段階中、当センター内からペーパーレス会議の実現を望む声が上がりました。JA間での利用はもちろん、当センター自体でも利用できるものを探していましたので「ペーパーレス会議」の実現も要件となりました。
V-CUBE ミーティングを導入された理由をお教えください。
オンプレミスによるWeb会議とペーパーレス会議の実現が可能な製品となると、おのずと数は絞られました。
当センターでの利用だけでなく、各JAで使っていただくことが前提なので、導入に際して「カメラやマイク/スピーカーなどを買い揃える」「複雑な操作を覚える」といった利用者の負担が少なく、パソコンさえあれば利用できるサービスが必須でした。
また、私たちのサービス提供範囲は、県内の各JAと当センターに限られるため、導入に膨大なコストはかけられませんでした。
利用者の負担、操作性や機能、コスト面を考え、そしてカスタマイズ開発が可能な点からV-CUBE ミーティングの導入を決めました。
30数項目のリクエストに真摯に対応したキヤノンマーケティングジャパン とブイキューブ
現在、V-CUBE ミーティングをどのように活用されていますか。
2015年4月にV-CUBE ミーティングを導入し、まずは当センター内で試用して操作性について検討しました。当センターにはシステム開発部隊が30名以上おり、JAに提供しているグループウエアや電子決済システムなどはほとんどワンクリックで操作できるよう、シンプルな設計にしています。V-CUBE ミーティングにおいても、同様の使いやすさを追求するため、使い勝手をチェックしました。私自身もWeb会議を一人で開催するなどして、一連の操作について検討しました。
V-CUBE ミーティングは確かに使いやすく作られています。しかし当センターが想定する利用者に使っていただくには、いささか仕様変更の必要があったので、30数項目のカスタマイズをブイキューブに依頼しました。リクエスト内容は主に操作性や使い勝手の部分で、たとえば「Web会議終了の際に表示されるメッセージが、JA内での運用にそぐわないため、見合うように改善してほしい」といった点をお伝えしました。
30数項目のリクエストに対してブイキューブはどのように対応しましたか。
ベンダーであるキヤノンマーケティングジャパン、そしてブイキューブのSE担当の方々が親身になって開発やカスタマイズに当ってくださいました。すべての項目に対応していただけたわけではありませんが、カスタマイズ不可な点について技術的な説明をいただければ、当センターもシステム開発を行っているので「それは仕方ない」といった判断ができます。Web会議終了時の表示メッセージについては、要望を反映してもらいました。当センターの経験に基づいた提案について真摯に対応していただき、非常によい関係で開発・カスタマイズが進められたと思います。
時間・移動コストを削減し、生産性の高い業務へ
V-CUBE ミーティングの導入効果をお教えください。
2015年12月に当センター内での開発・カスタマイズが終了し、現在は当センターで使用しながら、2016年度からの各JAへの展開に向けて準備を進めています。
当センター内における導入効果としては、V-CUBE ミーティングのホワイトボード機能を使用したペーパーレス会議が実現できました。総務担当者が会議前に必要な資料を印刷するといった単純作業がなくなり、その時間をもっと生産的な業務に充てられるようになりました。会議で使用した資料はサーバーに保存されますので、会議後に資料を検索・閲覧することも紙ベースの運用時より容易になりました。資料の活用も導入前より進んでいるようです。
今後、各JAでの使用が実現すると、本店に集まって会議を行っていた時にかかっていた移動時間や高速料金を含む移動コストの削減が見込めます。移動時間は営業機会の創出などの時間に変えられ、JA体質強化に貢献できると考えています。
茨城県内のJAにV-CUBE ミーティングを展開
V-CUBE ミーティングの今後の活用予定についてお教えください。
2016年4月から、茨城県内のいくつかのJAにご案内して、V-CUBE ミーティングを展開していく予定です。どこかのJAが使用して「これは便利だ」といった声が出れば、徐々に県内の各JAに浸透していくと考えています。具体的な利用シーンは、
・県内JAと当センターとの遠隔会議の開催
・JAや関係機関との会議、説明会などでの使用
を予定しています。メールで資料を送付した後、電話で説明するといった日常的なコミュニケーションも、V-CUBE ミーティングを活用していければと考えています。
ブイキューブのサポートにより使い勝手のよいインターフェースにカスタマイズされたWeb会議が実現できました。各JAに向けてスムーズな展開ができると考えています。今後とも、使いやすさを追求したバージョンアップやご提案に期待しています。