災害現場の様子を対策本部へ映像でリアルタイムに共有
スマートグラスを活用した大規模訓練を実施
大規模災害に迅速かつ的確に対応するため、毎年九州各県持ち回りで「緊急消防援助隊九州ブロック合同訓練」を実施している。沖縄県開催となった令和4年度(2022年度)、豊見城市は応援隊として訓練に参加した。これまでの災害対策を振り返り、アナログな現場状況の共有では認識のズレが発生することを課題とし、今回は「スマートグラス」と「V-CUBE コラボレーション」を効果検証のために採用。現場隊員のヘルメットに装着したカメラから、消防本部など複数箇所で現場状況をリアルタイムに共有する方法を検証した。
従来の災害対策における課題
言葉や資料だけでは状況を伝えきれない
言葉やホワイトボードに記した情報だけでは、災害現場のリアルな状況が伝わらず、消防本部と現場で認識のズレが生じてしまう。
スマホでの共有は現場作業に課題
スマホのカメラで映して現場状況を共有することも可能だが、救助や災害対応中に片手がふさがってしまうと作業ができない。
本部や病院など遠隔で共有できず
現場からの情報を消防本部だけでなく病院など複数拠点に共有しづらい。認識のズレが発生し、迅速かつ正確な意思決定ができない。
「スマートグラス」でこう解決!
スマートグラスを通じた映像共有で現場状況を正確に伝達できるように
アナログに共有していた現場状況をリアルタイムに映像で共有。現場指揮と本部で認識を合わせられ、意思決定の迅速化・的確化に繋がる。
ヘルメット装着型のスマートグラスで現場状況を撮影して、映像をそのまま共有する。消防本部など遠隔にいる関係者全員が、言葉から想像するのではなく、モニターに投影された映像を見て把握できる。
ヘルメットに装着するため救助活動の手を止めずに撮影できる
現場隊員のヘルメットにカメラを装着することで、救助活動に両手を空けられる。消防本部には隊員視線の映像をそのまま共有できる。
音声認識型スマートグラスは、カメラコードやイヤホンコードなどが一切なく、音声操作により完全ハンズフリーで遠隔作業が可能。現場作業の手を止めず、狭い空間でも映像を撮影できる。
リアルタイムに共有できるから複数拠点でも的確な判断・共有が可能
遠隔拠点とも常時接続が可能。現場から本部など複数拠点に映像を共有でき、その情報をもとに的確な判断が可能。認識の齟齬が生まれにくい。
「V-CUBE コラボレーション」により常時接続が可能。現場隊員からの映像をリアルタイムに受信しモニターに投影することで、各拠点の関係者が一斉に状況を把握できる。迅速な意思決定に繋がる。
「スマートグラス」と「V-CUBE コラボレーション」選定のポイントは?
現場隊員がハンズフリーで使用できるか?
救助活動を妨げない装着性で、両手が空き、視界を遮らないなど、安全に作業できること。できること。
リアルタイムに遠隔地で情報共有できるか?
離れた拠点間で映像をリアルタイムに表示してコミュニケーションを行えること。
- 「V-CUBE コラボレーション」により常時接続を行い、リアルタイムに情報共有できる
お客様の声
大規模災害に備えた九州ブロック合同訓練で、現場状況の共有方法を見直し
今回ブイキューブが提供する「スマートグラス」と「V-CUBE コラボレーション」を合同訓練に使用したのは、言葉や紙の資料などアナログな情報共有では現場の被害状況を正確に把握できないことが大きな課題として挙げられていたからです。
これまでの救助活動でも、現場隊員とリーダー、そして消防本部の間で認識のズレが生まれ、情報をスムーズに連携できなかったり、意思決定が遅れたりすることがありました。そこで、状況をリアルタイムに正確に共有できるような方法がないかと検討し始めたのです。
また、現場と消防本部など、遠隔にある複数拠点で情報をリアルタイムに共有できないことも課題でした。より正確に現場状況を把握して、複数拠点とも連携を取りながら、スピーディーな意思決定ができるような体制を実現できるかを検証してみることにしました。
現場隊員の視線をそのまま映像で共有し、複数人の認識合わせが同時に可能
今回使用した「スマートグラス」は、現場で救助活動を行う隊員のヘルメットに装着するものでした。常にヘルメットは装着しているため、現場作業に必要な両手を塞ぐことなく使用できました。スマートフォンでWeb会議を立ち上げて映像共有することも可能でしょうが、やはり狭い空間などでわざわざ撮影するのは困難です。
また、「V-CUBE コラボレーション」によって、隊員の視線がそのまま映像としてリアルタイムに消防本部に届き、大画面のモニターに投影できました。現場にいない人もリアルに状況を把握でき、判断がしやすいと感じました。俯瞰的かつ客観的に映像を見て気付くこともあります。
沖縄県で災害が発生した際、県や各市町村の消防では人手が足りないときに九州の他県の消防が応援として来ます。このような大規模災害を想定して実施されたのが、今回の「令和4年度緊急消防援助隊九州ブロック合同訓練」です。
大規模な災害であれば、複数拠点とも常時接続してリアルタイムにコミュニケーションを取り、迅速な意思決定を行うことが求められます。「スマートグラス」と「V-CUBE コラボレーション」を活用すれば、正確な情報共有・認識合わせが可能になると感じました。
沖縄県豊見城市消防本部様における「スマートグラス」を用いた大規模訓練
沖縄県豊見城市消防本部の災害対策における課題
これまでの災害発生時の救助活動では、現場から無線で情報共有が行われ、消防本部でホワイトボードや紙に情報を集約していた。しかし、言葉による情報だけでは、現場状況が分かりづらいことが課題で、どのくらいの被害があるのかをイメージしづらかった。
現場隊員がスマートフォンで状況を撮影して共有することも検討したが、現場作業の妨げになってしまうことから現実的ではなかった。そのため、リアルタイムに現場状況を共有でき、現場と消防本部で認識のズレが生まれないような対応策が求められていた。
「スマートグラス」と「V-CUBE コラボレーション」を用いた大規模訓練
ヘルメットに装着した「スマートグラス」から、現場隊員の視線がそのまま映像として共有できる。狭い現場に這って入る際や、救助用の機器を使用する際にも両手を空けられるため、救助活動を止めることなく、現場のリアルな状況を伝えられるようになった。
「V-CUBE コラボレーション」で現場映像を本部にリアルタイムに共有。大画面モニターに投影することで、複数人が一斉に状況を把握でき、迅速な意思決定に繋がる。
また、音声による通信も安定しているため、本部からの指示も現場にクリアに届けることができる。
導入に向けて「スマートグラス」に求める要件
今回、大規模訓練のなかで実証実験として「スマートグラス」を採用し、離れた本部側に鮮明な映像が届いたことは大きな評価となった。一方で、スマートグラス本体に求める要件も明確になった。
今回の評価ポイント
- ハンズフリーで狭い場所でも操作しやすい
- ヘルメットについているので、カメラが自然と目線の方向に向く
- 遠隔拠点と映像を常時共有できる
- 操作が簡単(電源を入れるだけで自動接続)
今後求める要件
- ヘルメットに装着するため、更なる軽量化が求められる(訓練時利用のスマートグラス380g 現行品約270g)
- 狭隘空間活動においてはモバイルWi-Fiを携行せずに利用できること(現行品では対応モデルあり)